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53 ラーメン(ramen)


はじめに

今日のコラムは、ラーメンがテーマです。ラーメンというと昔受験生だったころ、夜中に勉強をしていて、お腹が減ると袋めんの札幌みそらーめんを開いて小さな鍋に麺をお湯と粉のスープを一緒に入れて、だるまストーブの上に置き、少しくつくつと来た頃に鍋のままずるずると食べるなんてことをたまにしていたことを思い出します。
海外から、日本のラーメンを目当てに観光に訪れる方もいるほど、今や日本の国民食となった食べ物こそがラーメンではないでしょうか。

はじめてのラーメン

日本で初めてラーメンを食べた人と言えば、水戸光圀(みとみつくに)というのが社会の学習などでも、よく耳にする歴史的な出来事です。水戸光圀は、江戸時代の人物で、天下の副将軍でした。近年の時代劇では、「水戸黄門」としてもおなじみです。諸国漫遊をしながら、各地の悪事をくじいて歩く姿は、勧善懲悪の世界観が好きだという方も多いのではないでしょうか。
さて、好きと言えば日本人の大好きな食べ物に「ラーメン」があります。だれもが、お気に入りのラーメンの一つや二つがあるのではないでしょうか。今日では、日本の食文化の代表格と言ってもよいであろう、このラーメンを今から300年以上も前に、日本人としては初めて食したと長らく言われてきたのが、水戸光圀なのです。
食したのは、1697年頃のことだということです。中国から日本に来日していた、儒学者(じゅがくしゃ)の朱舜水(しゅしゅんすい)という方が、水戸光圀に中国の汁ソバ(日本のラーメンに近いもの)をふるまったそうですす。つまり、この時、日本人で初めてラーメンを水戸光圀は口にしたということになります。そこから、一般の町人にまでこの味が広がっていくことはありませんでしたが、歴史の記録に残る出来事であったわけです。現在もこの時の味が水戸ラーメンとして楽しめます。薬味が特徴的で、ネギ、ミョウガ、ニラなど5種類のものをブレンドしたものを入れて味わいます。興味のある方はぜひ出会ったら食べてみてください。私は、とても好きな味です。

室町時代にラーメン

なんと、水戸光圀よりも200年ほど前に室町時代に「経帯麺(けいたいめん)」と呼ばれる中華麺の料理を食べていたという説が浮上していることを知っていますか。「蔭涼軒日録(いんりょうけんにちろく)」と呼ばれる室町時代の僧の日記によれば、来客のあった際にこの経帯麺と呼ばれる料理をふるまい食べたというのです。この麺料理がいかなる料理であったのかを研究し再現するという試みも行われており、もしかするとラーメンを日本で最初に食べた人が変わってしまうのではないかとも言われています。

即席ラーメン

ラーメンは、インスタントラーメンという形でも世界中で愛されています。手軽に作ってすぐ食べられるカップラーメンなどの世界の消費量はなんと今や1000億食を超えています。1日当たりの消費量は約3億食となります。
この業界を支えている企業に日本の日清食品があります。即席めんの生みの親である安藤百福さんを創業者とする会社です。まさに、インスタントラーメン界のレジェンドというわけです。他にも、東洋水産、エースコック、サンヨー食品など多くの食品メーカーが日々、伝統の味を守り新商品を開発し続けています。
そんな、インスタントラーメンの世界市場のシェアを見ていくと、日清食品の世界第2位を筆頭に、5位 東洋水産 4.58%、7位 サンヨー食品 3.66%と上位に日本のメーカーもしっかり食い込んでいます。全体では、中国が約40%でトップ、インドネシアが約10%で第2位、インドや日本が約5%ずつでそれに次いでいる状態です。

ラーメン検定

ラーメン検定というものがあることを皆さんご存じでしょうか。初級の検定は、無料でホームページから受験することができます。問題の難易度に合わせて、グレードが上がっていくシステムで、合格した暁には証明書とその名誉をたたえるTシャツがいただけます。問題は、ラーメンの歴史や製法など、ラーメン店の経営者に関係するような問題まで幅広くラーメンを愛する心と知識が問われます。次の問題は、過去問として示されていたものです。

設問 ラーメン店を開業する上で店ごとに1名は必須の資格は次のうちどれ?A:日本ラーメン検定中級
B:食品衛生責任者
C:管理栄養士
D:調理師免許
(正解は、Bの食品衛生責任者です。)

このように、開業に関わる問題もあれば、面を打つ時の水分量に関わる問題も出題範囲となっています。初級のラーメニスト用の問題を受験された方はすでに1万6千人を超えているということで、ラーメンの魅力はすさまじいものがあることを改めて実感しました。
最高峰レベルの、ラーメンスペシャリスト、ラーメンプロフェッサーの問題にはどのような問題が出題されるのか、一度見てみたい気がします。
ラーメンをよりおいしく食べてもらうことを目的としたこの検定を通して、さらに、多くの人々のラーメンへの探究心が試されるという食を通した学びのサイクルにも大変関心をもちました。


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