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379 PTA


はじめに

今日は、PTA(Parent Teacher Association)について考えてみたいと思います。日本語ではPTAは「父母と先生の会」とも言われますが、様々な家庭事情がありますから父母に限らず、保護者と先生の会といった方が適切かと思います。
会員は、もちろん保護者と教職員が務めますので双方が協力をして、学校、家庭、地域社会に及ぶ子どもの教育環境を向上するよう活動をしていきます。しかし、昨今このPTAの活動について法的根拠もないのになぜ強制加入なのか、また活動の大半が平日で勤務の関係で難しいなどといった保護者にのしかかるPTA活動の負担について見直すべきまたは、運営のあり方を考えてほしいという声が、最近ある出来事をきっかけにまた上がっています。
そこで、今日の教育コラムでは、PTAの活動について少しお話してみたいと思います。

事例

神奈川県内のある公立小学校でのお話です。話題となっているのは、その学校でのPTA加入に関する文書です。どのような文章かを説明する前に基本的なPTAへの加入の実態についてごく簡単にお話しておくと、PTAへの加入は基本的には任意ですので、強制されるものではないということをおさえておきます。しかし、ほとんど強制的に加入させられているのが現状だということも認識しておく必要があります。
その上で、少数派の非加入世帯に対して、PTA会費などで購入しているような防犯ホイッスルや防災備品を配布したり、用意したりまた防災備品であれば会費を払っていないので提供できないなどといったお知らせが出たようです。つまり、児童生徒の災害時の対応について区別するというお知らせとも受け止められるような状態になっているということです。

どのように考えるか

大切なのは、負担感を軽減することだと感じます。教員の経験からも感じていることは、保護者と言っても意識の上でも生活スタイルの状況からもそれぞれに差があるということです。
意識が高い低いではなく、PTAとしての活動としてどのようなスタイルが望ましいのかという考え方の違いという点においてということです。
例えば、年に数回ある学校の清掃やグラウンドの草取りなどについてですが、もちろん子どもたちや生徒が使う場所ですから日常からそのような作業を学校生活の中に組み込んでいくことも教育の一環としてできるでしょう。しかし、作業の内容や学校の規模では手が足りないこともあるでしょう。そのようなときに外注するという発想に至ってもなかなか踏み切れない学校が多いように思います。ある一定の時期のみ学校の美化整備に必要な労働力を雇えば、保護者が仕事を休んで参加する様な事は必要ありません。
又は、日ごろから学校に常駐している学校用務員さんの数を増やすことだってできるはずです。同様に責任ある労働として安全指導員を雇うことだってできるはずです。教育にお金をかけるとは、何も学校の先生が授業をすることや学校の設備を良くすることだけを指しているのではなく、保護者や教員がそれぞれの仕事に集中できる環境を作ることにお金を適切にかけることだって大切な要素なわけです。
PTAの活動で学校新聞や学校行事の際の記念品を制作することもありますが、これもまた同様で学校の活動は短い言葉で日々SNSで紹介するとか、記念品は専門業者に企画から配布まで含めて全部お任せするとか、地域の産業と協力してビジネスとして受注関係を結ぶとか、できることが多いように思います。

学校と家庭に必要なことを

日本で言うところのPTAの活動として、アメリカではPTOと呼ばれる保護者の会があり子どもたちのお楽しみ会を企画し、参加した子どもたちと保護者が共に楽しむような場をつくります。ドイツでは、Elternbeirat(親による会議)などがあり、教育について親が提案をしたり、校長先生と面談をしたりすることで、教育の向上につながるような活動があります。
いずれも、参加は自由で日本のPTAよりは負担も少ないですし、気が楽なものが多いようです。
学校の教育に地域や家庭が参画することは重要なことです。一方で、国や地方自治体が教育にかけるお金が低すぎる日本では、学校や保護者がやらなくてもよいことをPTA活動という名の強制的な奉仕活動で賄っているのではないでしょうか。あまり過度にならないように、負担にならないようにという思考の下で、行っている活動をしっかりと予算を付けて行うことでそれぞれの質も向上しますし、労働の機会も増えます。
無料で善意でできる範囲でといった考えで、今後人口減少していく社会において学校教育をサポートし続けていくとすれば、それこそ多様な立場の人が学校や子どもたちの成長や教育活動を支援する営みを委縮させるような気がします。
ましてやPTA活動の参加の有無で学校教育の現場で差別や区別があることが子どもたちの成長にプラスになるとは思えません。必要なものは、必要に応じてお金を払い、責任をもってやってもらうことこそが、シンプルでわかりやすく、多くの人にとって納得がいくように思います。
仕事を休んで学校の清掃をするよりも、その分お金を払って清掃業者を頼んでほしいと願う親は決して少なくないように思います。教師と保護者のコミュニケーションはもっと他の機会にもとれるようにも思います。
皆さんは、どのようにPTA活動について考えますでしょか。

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