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319 参議院補欠選挙

はじめに

参議院の補欠選挙が3つの選挙区で実施されます。
東京15区、島根1区、長崎3区の3補欠選挙です。投開票は、約1か月後の4月28日となります。
告示は4月16日ですから、1か月前となります。この選挙は自民党派閥による政治資金規正法違反事件後、初めての国政選挙となります。今日は、「選挙」とは何かという問いに、名言を残している二人の偉人の言葉を借りながら、今回の補欠選挙について考えてみたいと思います。

選挙とは

「イギリスの人民は(自分たちは)自由だと思っているが、それは大まちがいだ。彼らが自由なのは、議員を選挙する間だけのことで、議員が選ばれるやいなや、イギリス人民は奴隷となり、無に帰してしまう。」
                (哲学者 ジャン=ジャック・ルソー)

この言葉は、ルソーの言葉です。政治哲学者であった彼は「社会契約論」を書いたことで有名ですが、日本では教育論として読まれることの多い「エミール」の著者としても有名です。
この言葉は、実に選挙の現実の一面を的確に表現しているものだと感じます。選挙を通して議員を選択していることは事実としてもその後は、市民はいかに政治が腐敗しようとも愚策を並べても何も打つ手はないのです。

「悪い政治家をワシントンへ送るのは、投票しない善良な市民達だ」
                     
(ニクソン政権 第63代財務長官  ウィリアム・サイモン)

選挙とは、「支持するから入れる」という考え方だけでは、民主主義の可能性を活かしきれていないのです。例えば、悪い政治家を国会に送らないために何ができるかを考えてみると、「落とすため他の候補者に投票する」という有権者なりの戦略的な投票行動がとれるわけです。
民主主義が崩壊するのは、応援も批判もしない無関心が広がることなのです。民主主義の可能性を追求し続ける一つの方法として、選挙は大変重要な行動だということです。

変化を嫌う

東京15区、島根1区、長崎3区の3つの選挙区の内、長崎3区は一票の格差の是正に伴い、いずれなくなる選挙区かと記憶しています。その影響からか候補者を立てる各政党の熱量にも差があるように感じます。
問題は、島根県です。竹下元総理、細田前衆院議長などそうそうたるメンバーが王国を守り続けています。原発の誘致や箱もの行政など島根県は典型的な保守地盤との既得権益でつながっている地方自治体なわけです。
そうした選挙区では、これまでにもリクルート事件があろうとも、どんなスキャンダルがあろうとも、政権交代があったとしても自民党が勝利をおさめてきました。
保守的な地盤では、変化を嫌う傾向にあると言いますが、それは決して保守だからというわけだけでもなく、ただ単に変化させる気構えが無いだけなのかもしれません。
本来、保守または保守主義とは、従来からの伝統・習慣・制度・考え方を維持し、社会的もしくは政治的な改革・革命・革新に反対する思想のことを指します。そうであるならば、裏金問題による政治不信を招くような疑義に満ちた政治ではなく、従来の正しい民主主義の伝統を守ろうとすることこそ、保守的な考えの重要な視点なのではないでしょうか。
東京15区でも、萩生田元文科大臣の旧統一教会とのつながりや多額の不記載問題をどれだけの有権者が、どこまで重要視するかが焦点となるでしょう。

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