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110 シイタケは春も旬


はじめに

世の中には、様々な幸せがありますが、私は、おいしいものを口にできることが何よりの幸せです。
今日の教育コラムは、3年ほど前、連休を利用して長野にいる教え子が経営している農家の見学をさせてもらった時の経験がもとになったお話をしたいと思います。

教え子の指導

見学の目的は、キノコの品種改良について最新の技術を見せてもらうことでした。社会の授業で林業の学習を進める教材に必要な写真も欲しかったのでとても助かりました。
立派に成長した自分の教え子に手取り足取り最新の技術を教えてもらったり、惜しげもなく写真撮影させてもらったりと新しい教材作りが想像以上にはかどり、とても充実したことを覚えています。
すっかり、その道のプロになった教え子の後ろ姿に感動しながら、素直に自分の知らない世界を学べたことがうれしかった瞬間でした。
見学を終えると、遅いお昼をご馳走してくれると少し離れた山の中腹に案内してくれました。

シイタケ狩り

目的の場所に着くと「先生、好きなシイタケを採ってください。今が旬ですよ。」とシイタケがいっぱいに生えている原木を見せてくれました。
秋が旬とばかり思っていたシイタケですが、春も旬だと聞いて驚きました。しかし、さらに驚いたのはその味でした。私は、慣れない手つきでしたが、肉厚の大きなシイタケを2つ「ポキッ」「ポキッ」と採って教え子に手渡しました。

バターとしょうゆ

教え子は、手にしたシイタケを洗わずに軽くふいて、汚れを落として奥さんが準備してくれていた七輪の上にのせました。網の隙間からいいころ合いの炭火が見え、一層食欲をそそりました。
しいたけの軸が上になるように置かれたしいたけの傘の内側には、シイタケから染み出た汁がたくさん溜まってきていました。そこに、バターと醤油を少しのせたらもう、最高の香りが辺り一面に広がりました。
食べごろが訪れるまで、少し眺めているとシイタケから水分が少しずつ出てきていい香りがしてきました。「どうぞ」という教え子からのゴーサインが出ると、そのまま箸でつまんで「がぶっ」と一口で食べました。するとどうでしょう。シイタケのいい香りが鼻から一気に抜け、思わず飛び出た「うまい!」の一声が山に木霊しました。

学びの旬

旬は、食材だけではなく「学び」にもあります。例えば、11歳から14歳までの時期の学びの旬は、「自主性と協調性の両立」がその一つとしてあげられます。
体育祭の実行委員や児童会や生徒会、文化祭の司会などなど子の学びの旬を最大限に活かす機会は、たくさんあります。さらに、この自主性と協調性を磨くためには、教科の学習と結びつけていくことも重要となります。
例えば、社会科でこの時期、6年生や中学2年生は近代日本の自由思想や西洋文化、世界との様々な関係性や戦後の復興などの歩みを学びます。この時代の人々の努力や取り組みを学ぶことは、まさに、自主性や協調性に結びつく発見と出会うことができます。吉田松陰しかり、大久保利通しかり、ルソーしかり、カルバンしかりです。

来週から

鮮烈なシイタケの香りのごとく子どもたちが持ち味を最大限に発揮できるよう、もうすぐ再開する夏休み明けの学校生活に向けてダイバースタディでも自学の力をさらに高めていきたいと思います。

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