見出し画像

23 地域の目(EYES OF THE COMMUNITY) で守る

最近特に心掛けていることがあります。それは、「地元地域」を大切にすることです。ちなみにダイバースタディーのYouTubeチャンネルでは、主に南アルプス市やその周辺の市町村、山梨県を題材にして教育番組を制作しています。また、夜や早朝の車での移動の際は、果樹園や耕作地の近くを通るときは不審な車両や人物がいないか気にかけて移動するようにしています。これは、山梨県内で多発している農作物盗難に苦しむ農家の方とお話しする機会があってから続けていることです。南アルプスの果樹園でも桃の栽培、ブドウの栽培に関わる作業に多くの方が汗を流している様子をここのところよく目にします。棚を見上げて厳しい姿勢で作業を続ける様子を見ていると、思わず心の中で応援してしまいます。
山梨県に越してきて間もないころのことです、山梨県では、ブドウのことを「ぶどう」と呼び捨てにせず、「おぶどう」「おぶどう様」と呼ぶというお話をブドウ農家の方への取材をしている時にお聞きしたことがありました。生活だけでなく県内の様々な産業のかなめとなっている果樹の栽培は、大変重要な県内の基幹産業と言えます。おいしいケーキもワインもレストランも、観光施設も農家の皆さんの手塩にかけてつくるフルーツがその魅力を引き立てているのです。
そんな、果樹栽培を脅かしているのが農作物盗難なわけです。最近であれば、山梨県笛吹市の果樹畑で、手塩にかけて育ててきた収穫直前の桃が約5000個におよんで盗難にあった事件は記憶に新しいところであります。山梨県内だけではなく各地の農村地帯において、こうした農産物の盗難事件が多発しています。ちなみに、山梨県内の桃の産地で有名な某市町村では、6月の1カ月だけでも、桃が約1万5000個、とうもろこしが1250本、さくらんぼがおよそ100Kgにわたりこうした被害にあいました。これによる被害は、500万円以上にのぼり、農家の皆さんの経営に多大なる被害をもたらしています。
広大な農地に監視カメラや監視センサーを配置しきることは大変負担が大きく、ビニールハウス内にある高価な農機具なども窃盗のターゲットにされるなどその被害は拡大しています。警察やJAの皆さんがどれほど尽力されても、犯罪を企てる側の巧妙な手法は年々悪化しているため、その被害をなかなか食い止めることはできません。
こうした現象は、何も現代に限ったことではありません。平安時代の中期から後期にかけて様々な地域で自警団が必要とされました。その理由は治安維持のためであったり、村の維持のためであったり、農産物を外敵から守るためであったりといろいろです。そうした中で頼りになった人々が団結して、勢力を増していったのが「武士団」という存在です。
お話を現代に戻します。実は、農家の人々は、「地域の目」を必要としています。例えば、大量の果物の販売を持ち掛けてくる人はいないか、果樹園の周辺に不審車両が停車していないか、などなどといった情報を求めているのもそうしたことのあらわれです。他にも車のダッシュボードに、「農産物盗難防止パトロール実施中」などと書いた紙をおいて運転してくれるだけでも犯罪者は警戒している地域であると察知すると言われています。ちなみに私は、収穫の時期が終わるまで、自分の車のダッシュボードに掲載したようなA4サイズの紙を置くようにしています(作成したものを下に紹介しますよろしければ使ってください)。山梨県を支える産業を自分なりに応援する方法は様々ですが、毎日できることの一つがこうした取り組みです。
そして、農産物盗難について社会の学習の一つとして学ぶこともおすすめです。生産や販売、流通の学習は盛んにおこなわれます。農家の方の工夫や努力を学ぶことに、産物を守る取り組みを加えてみてください。地域の目が育ちます。私がおすすめなのは農林水産省が発行しているパンフレットです。リンク先を載せておきますのでよかったら見てみてください。
コミュニティーを大切にする気もちは、大切な力となります。まさにこの心がSDGsにもつながりますし、国際貢献にもつながります。もうすぐおいしい桃、ブドウと続く時期となります。いまから山梨の味覚が楽しみです。


よろしければご利用ください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?