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一人でもピクニック

 何年か前に、スタバでピクニックシート(一人用)がもらえることがあって、その時以来めちゃくちゃスタバのファン。いわゆるレジャーシートね。芝生に座るとき使うやつ。
 いや使う? って思う人多いかもしれないけど。使うね! 私は結構使ってます。

 私はわりと一人でお花見に行くやつなので(いや友達とも行きたいけど、誘って、日程調節して、待ち合わせ場所とか約束してっていう手間を考えるといいや一人で…ってなる。予定してても当日天気悪かったりするし。自分が体調悪いこともあるし。てかそもそも友達がいないし)、ピクニックシートはとても有難かったノベルティ。何がいいって、一人用のは全然かさばらない。花のシーズンだとベンチ全部埋まってたりするから、シートがあると、適当な木陰に敷いて即休んだりできる。イエーイ。土でおけつが汚れない。草が露で濡れててもヨユー! 自分のおしりと、昼ご飯と飲み物と、あとリュックが乗ればいいわけよ。
 まじで一人用ピクニックシートいいぞ。人目を気にせず本を読んだりスマホしたり。公共のベンチだと、空くのを待ってる方がいらっしゃったりすることもあるからねえ。ベンチが空いてて、スカートちょっとかわいいやつだから汚れるのやだな~ってときもピクニックシートあれば完璧である。ベンチ座る前にベンチに敷けばいいんだから。

 コンビニで買ったおにぎり。
 またはフルーツサンド。
 スタバでコーヒーいれてもらった水筒。
 またはペットボトルのお茶。
(飲み物はフタがついているのがいいです! 大地は…平らではないので…)
 まあ、そんなのを広げながら、ぼーっとしたり、遠くの花壇を見たり、本を読んでみたり、スマホの写真整理してみたり。短歌作れんかな~って目を閉じてみたり。開けてみたり。

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 フルーツサンドばっか食ってるな…。

 まあ、花や緑に囲まれて、指の隙間を光や風がすり抜けていくのが心地よくて、現実と幻想がごぶごぶになるような、何か感じているのに何も感じていないような、そういう時間が自分にはすごく大事で、だからよくお花見に行く。カフェも悪くはないんだけど、カフェって現実的なんだよな~~。現代的な会話とか課題とか仕事とかが氾濫してて。勉強とか書き物とか調べ物のときはカフェがはかどるんだけどね。

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 話は変わるんだけど、私は小さいころ母にこんなことを言われたことがある。たぶん言われたのは一回きりなんだけれど。

『花と本とお友達になりなさい。公園と図書館は、どこに行ってもあって、あなたを裏切らないからね』

 今にして思えば、これはすんごい呪いで導きだった。私の家は転勤族だったから、長くて3年しかその土地にいられんのね。まあ、だから母は私にそう言ったんだと思う。実際小学校では3回転校を経験したし、中学校も途中で変わった。友達という味方が必要な時期に、転校ってメッチャしんどいわけよ。大人になって思うのは、母も大変だったろうなってこと。あれ母の実感だったんじゃないかな。だってコミュニティーとか病院とか何から何まで一からでしょ。つ、つらい……。
 確かにね。図書館って学校に必ずあって、望めばすぐ友達になってくれる。電車やバスを使えば、もっと大きな図書館が自分を抱きしめてくれる。惑わしてくれる。知らない単語。知らない世界。知らない色。一番覚えてるのは函館図書館だなあ。函館公園内の、森の中にあった図書館で……、今はもう閉館しちゃってるんですよね? めちゃくちゃ老朽化してたのを覚えてる…(笑) 玄関入ってすぐの廊下、よく雨漏りしてたし!(調べたら昭和3年に建てられた図書館だったらしい。昭和3年!)
 高い書架。そこにぎっしり本が詰まってて、迷路みたいで、圧迫感があって、騒いでいる人はいなくて、迷い込めそうで。ほんと大好きだったな。夕方まで図書館で過ごして、夜は図書館の近くにある博物館の天体観測会に参加したりしてた。
 通学路に咲いてる花も大好きだった。グラジオラスとか、立葵とか、ギボウシとか。プラタナスの幹に触れたり、雨上がりにはげおちる樹皮のにおいを嗅いだり。あとは特に五稜郭の花が好きだった。五稜郭に一番近い小学校に通っていたもので。給食のパンをね、残しといてお堀の鯉にあげるんですよ。橋のとこに立ってパンをちぎって投げる。濁ったお堀の水の中から、鯉がゴパァ! っておっきい口開けてパンを取り合うのが飽きなくてね。
 五稜郭の花は…、全部好きだったな。桜にスミレにアザミにつつじに…。ハマナスの香りととげ。ライラックの色と香り。シロツメクサにアカツメクサにギシギシに……、あとは藤棚。なんかもうめっちゃ思い出せるんだよな。本になりたかったし花になりたかった。
 学校は嫌いじゃなかったけど、私の友達はどこへ行っても本と花だった。

 だからね、だからたぶん今もお花見に行くんですよね。一人で。花を見に行くっていうより、会いに行けば会ってくれる友達に会いに行くみたいな感じ。こないだ『藤花園』って場所に一人で行ったんですが、素晴らしかった。藤の花房の中を歩くような体験、あしかがフラワーパークまで行かないとできないと思ってたから。蜂は……、いっぱいいました……。でも藤棚の醍醐味は、蜂に怯える人々のひとりとなることだから(笑) 本当に優雅な時間だった。四方八方が薄紫の、香る花房なんですよ。その花房がそよ風にきらきら鳴ってるの。めっちゃいい時間を過ごした〜。すてき~! ってなりながら、でも誰もが蜂を高速で躱してる。見知らぬひとにクスっとされて、見知らぬ人にちょっとクスっとなって、藤棚っていうのはあれが楽しい。

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 私は上京して、この首都圏ってものに本当に感謝してることが一つある。それはね、一人ピクニックに対して、誰も変な目を向けないこと。
 無視してくれるとか、そんなんじゃないの。
 わざわざなことじゃない。首都圏のひとたちは女子が一人で公園にいることを全然特別なことだと思ってない。本当に。多分見慣れたものとして目に映ってるんだろうね。それが地方出身者からするとめっちゃありがてえんだわ。んな大げさな…、って思う人もいるかもしれないけど、札幌の大通公園ですら、変な目で見てくる奴は時々いるからね。えっ、一人で? みたいな。えっ、何してんの? みたいな。これたまたまとかじゃなくて、地方ではありがちなことなんですよ!
 そんなの気にしなきゃいいじゃん、って話なんですけど、イヤイヤそもそもお前らが私を気にしないでくれ? って話なんですよ。イヤ、話だったんですね? 上京してウ~ワ~! 一人で一人を楽しんでる私を誰も変な目で見ないマジ最高! って感動した。周りを見渡すと、自分以外にも一人で自分らしい時間の使い方をしてらっしゃる方がたくさんいらっしゃって、これこれ! これ~~~~! 多様! 価値観多様! いろんなひとがいてそれが普通みたいな。居心地の良さがすごい! 都会の公園は!

 そんなわけで私はたぶんこれからも一人でピクニックはする。好きだから。スタバまたピクニックシートのノベルティやってくんないかな。一人用ピクニックシートに腰掛けて考えていることは……、ピクニックする推しカプのことなんですけどね……。ピクニックする推しカプ、最高でしょ?

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