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駆け出しPMの君に。”絶対なる王”を見つけよう。PJ立ち上げたら直ぐに。

はじめに(このノートって何?)

42歳のおっさんになり、思うようになりました。

自分自身が勉強してきたことや、経験してきたこと。
それらをある程度、伝えていかなきゃなーと。

そんなわけで、この文章は、駆け出しPMの君に向けて、つらつらと書きます。仕事の合間にでも読んでみてくださいませ。

最初の今回は、プロジェクトの成否を決める最も重要な要素、ステークホルダーに関してです。

プロジェクトを成功に導く第一歩は?

プロジェクトは、計画が全てです。

中でも、立ち上げフェーズでプロジェクトのステークホルダーを洗い出し、どのように彼らとコミュニケーションを取っていくかを計画する。

これが最も大事な作業です。

プロジェクトマネージャーの仕事の90%は、コミュニケーション関係の仕事に費やされると言われています。

自分が失敗したプロジェクトでは、プロジェクト終盤に、突然現れたステークホルダーのアンブッシュ攻撃でプロジェクトがストップしてしまった・・・。

なんてことが、ありました(ちゃんと計画できてないやん)。

事前にステークホルダーを特定しきれておらず、その人と全くコミュニケーションを取っていなかったのが要因でした。

上記の例でいうと、そもそもアンブッシュだと思ってるのが良くないのです。

事前に諜報活動を確実に行い、ステークホルダーを藪の中からあぶり出す計画活動が必要なんです。

確実に、安全にプロジェクトを進める為に、シギント(※1)、ヒューミント(※2)、オシント(※3)など、あらゆる手法で、徹底的に情報収集しましょう。

しっかりとした諜報活動で、ステークホルダーにカウンター・アンブッシュを決めたいものです(突然の軍事用語)。

※注釈
※1:電子情報などから聴取する諜報活動
※2:人を媒介として諜報活動
※3:公的な文書を調べること

そもそもステークホルダーって誰?

ステークホルダーという言葉はよく聞きますが、PMBOKの定義では以下の様に表現されています。

プロジェクトに影響を与えたり、プロジェクトによって影響を受けたりする可能性がある個人やグループまたは組織

ステークホルダーという言葉にネガティブなイメージを持つ人もいるようですが、そんな意味はありません。

利害関係者って言われ方もしますが、直接的にも間接的にも、プロジェクトにやいのやいの言いそうな人たちです。

ステークホルダーをどう洗い出す?

プロジェクトを始める前に「ステークホルダーを特定する」これは、プロジェクトを始める前の必須作業です。

ステークホルダーを洗い出す上で、念頭に置いておく必要があるのは、「すべてのステークホルダーを特定すること」につきます。

プロジェクトが進行する中で、増えていくのはよいです。が、最初に特定しつくすんだ!という意識が必要です。

以下にその方法とポイントを記載します。

●洗い出しの方法
・似たようなプロジェクトをした人に聞く
・プロジェクトオーナーに聞く
・ブレインストーミングを実施する
・アンケート調査を実施する
・フォーカスグループインタビューを実施する
・過去のプロジェクト文書を漁る
●洗い出しのポイント
・プロジェクトチーム全員で、ステークホルダーとのエンゲージメントをするんだと意識する(PM任せにしない)
・プロジェクトの成果は、ステークホルダーと共創するんだと意識する(ステークホルダーを排除しない)
・ときには、ステークホルダーにも聴いてみる・大きな影響受けるステークホルダーは、体制図に組み込んじゃう
・強力なステークホルダーは誰かを見極める

上記をポイントに、ステークホルダーを洗い出しましょう。

行動に困ったら、自分より経験があるPMに、まずは聞きに行くのがいいかなと思います。

ステークホルダーをリスト化しよう

洗い出したステークホルダーはEXCELなどでリストにしておきましょう。
列項目は以下のようなモノが良いかと思います。

●識別情報
・名前やできれば性別や年齢などのデモグラフィック情報
・所属組織
・所属組織での役職、立場
・在籍場所
・連絡先
・その人のプロジェクトでの役割
●評価情報
・主な要求事項
・プロジェクトの成果に与える可能性
・プロジェクトのどのフェーズで一番絡んできそうか
●その他分類
・社内の人か社外の人か
・関与度、影響度、権力、関心度

さてさて。

上記でできたステークホルダーのリストを、もう一歩進んでセイリエンス・モデルというフレームで整理してみましょう。日本語では、突出モデルなんて言われます。

関わる人数が多いときや複雑な構造のプロジェクトで、ステークホルダーを分析するときに、非常に便利なフレームワークです。

突出モデル(セイリエンス・モデル)とは?

セイリエンス・モデル(Salience Model)というステークホルダーの分析手法があります。

非常に便利なフレームワークなので、洗い出したステークホルダーの分析に使ってみましょう。

このモデルでは、プロジェクトのステークホルダーを、先ずは大きく以下3つに分類します。

①権力(Power)
②正当性(Legitimacy)
③緊急性(Urgency)

①権力(Power)
言わずもがなそのプロジェクトに対する「力」、権力や影響力があるかどうかです。

プロジェクトのアウトカム(成果)に対する関与度を見極ます。
「力」はプロジェクトメンバーに仕事をさせる、またはさせない事も可能になものです。

②正当性(Legitimacy)
プロジェクトに対して、正当に要求する権利や権限があるかどうかです。

ステークホルダーの要求が至極真っ当なものであるなら、プロジェクトとしては、そのステークホルダーにはより注意を向ける必要がでてきますよね。

③緊急性(Urgency)
プロジェクトに早急な対応を求めたり、緊急の要件を求めたりする人たちかどうかです。

緊急性はある意味「関心」と捉えると良いかと思います。
プロジェクトに対しての関心のある無しと考えましょう。

例えば、商品やサービスに対してクレームを言う顧客(クレーマー)などがこの領域に分類されます。

「絶対なる王」の登場

上記3つのフレームでステークホルダーを分類したとき、3つの円で重なる中心の部分がありますよね。権力がありつつ、正当性のある主張をし、さらに緊急性が高いこと言うステークホルダーです。

彼が最も注意すべき人ということになります。
ここに属する人がステークホルダーの王様、絶対なる王です。

ベン図を見てみると、その他の領域にも重なりがありますよね。

実は、その重なりそれぞに定義があります。7タイプのステークホルダー各円の交わる部分や領域には、それぞれ定義がつけられています。

7タイプのステークホルダー

それぞれを対応優先順位で並べると以下のようになります。

1. Definitive(決定的)
2. Dominant(優勢)
3. Dangerous(危険)
4. Dpendent(依存)
5. Dormant(休眠状態)
6. Discretionary(自由裁量)
7. Demanding(過酷な要求)

1のDefinitiveが、最も配慮スべきステークホルダー。
7のDemandingが、無視してもよいステークホルダーです。

それぞれ、詳しく見てみます。

①Definitive(決定的) 通称:絶対なる王
権力、正当性、緊急性を兼ね備えた最重要なステークホルダー。

何に置いても、関心をもち接する必要があります。この人物だけは確実に特定しておきましょう。

②Dominant(優勢) 通称:優位なる者
権力も正当性も持ち合わせているステークホルダー。

主張は正しく、的を射たことを言ってくるため無視するわけには行きません。ボードメンバーやプロジェクトの中身に詳しい人などがこれにあたります。

適切なことは言ってくれるのでしっかりと話しを聞き、適宜相談しましょう。

③Dangerous(危険) 通称:革命を起こす者
正当性のない権力を用いて、緊急度高く要求してくる人たち。

ときには、暴力的にも振る舞うこともありとても危険な存在。

自分たちの信じているものを押し通してくることもあり、ずっと遠ざけておくか、徹底的に封じ込める必要がある。

④Dependent(依存) 通称:庇護を受ける者
正当性と関心はあるが、権力を持たない者たち。

正当性はもっているが、権力はもっていないためときには徒党を組むか、他のステークホルダーを頼って団結することがあります。

ときには、その団結で妨害をする者に変わることもあるので、時折注意して観察する必要があります。プロジェクトメンバーなどがこれにあたります。

⑤Dormant(休眠状態) 通称:眠れる獅子
プロジェクトに対する意識は無く、休眠しているステークホルダー。

「力」はあるければ、正当性もなければ、関心(緊急性)もない人たちです。認識しておく必要はありますが、そのまま眠っててもらいましょう。識しておく必要はありますが、そのまま眠っててもらいましょう。

ラリホー。

逆に起こしたら大変です。その権力を持って、全力でプロジェクトに関わってくるので要注意。

⑥Discretionary(自由裁量) 通称:公正な市民
プロジェクトに関与する正当性は有しているけど、権力も関心(緊急性)も薄い人たち。正当な主張をもっているため、プロジェクトを健全に動かすために定期的にコミュニケーションをとっていく必要があります

法務部門や経理部門。
外部であれば穏健なNGO団体などがこれにあたります。

⑦Demanding(過酷な要求) 通称:妨害する者
とにかく要望だけしてくるある意味、輩(やから)。

ここに属する人は、自分の仕事はとにかく自分自身に注意を向けさせ、自分自身の重要性を認識させたいと思っている人たちです。

 ここの人に、時間と労力をかけてもプロジェクトにベネフィットはさほどありません。他に目を向けましょう。

**

リストで特定された、ステークホルダーそれぞれがどこに当てはまるかを考え、ステークホルダーそれぞれに対する優先順位を決めましょう。

ちなみにできたリストはかなり「危ういリスト」になるので、扱いは絶対に注意してください。

おもにプロジェクトメンバーだけが見るとこに置くようにしときましょう。多分傷つく人がでてきちゃうし、プロジェクトもうまく進まなくなっちゃう。

さいごに

プロジェクトマネジメントにはある程度の型があります。

学習である程度成長できる分野、というのがよいところ。型を知ってるか知ってないかでは、プロジェクト成否の確率が大きく変わってきます。

オン・ザ・ジョブで、成功プロジェクト体験を増やしていきましょう。
次回は、プロジェクト憲章とかPRDとかについて書こうかなと思います。


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