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国立大学2次試験、受験生に幸あれ

今日は2/25(少し日付が変わって2/26)である。こんな日付を改めて言われてもほとんどの方は「そうですか」の一言で終わるだろうが、今日という日が人生1番の大勝負になる人たちがたくさんいる。

それは、大学受験を受ける高校3年生や浪人生の若者たちである。

国立大学の一般入試は全て統一されており、2/25, 26の2日間で行われるのである(医学部の面接試験が2/27に行われる場合もあるので、一部細かい例外は存在するが)。
京都大学でももちろん入学試験は行われており、制服をきた高校生たちが緊張の面持ちで試験会場に向かう姿が見かけられた。

今年度の大学受験生はこれまでの大学受験生と比べて、主に2つの要因から苦戦を強いられるスタートになったはずだ。

要因1:新型コロナウイルスの流行

これは受験生に限らず世界中に暗い影を落とし続けているので、もはや言わずもがなであろう。未知の感染症に対する恐怖と、「自分の責任で体調管理をしなくてはならない」という言い知れぬ緊張感は、受験生やその関係者を大いに苦しめたに違いない。

加えて、緊急事態宣言による学びの機会の減少は無視できない。2020年4月7日から5月21日に発出された第1回の緊急事態宣言では、1ヶ月半にもわたって学校でも予備校でも対面授業が中止された。学校では新学年に上がって間もない時期であり、特に現役生は「受験生になった」というマインドセットもなかなか学校側でできなかったはずだ。そうした状態で友人と顔を合わせることもできず、孤独を感じながら自室で集中して受験勉強を進めるのは大変だったであろう。

もっと言えば、部活などの課外活動が規制されたのも大きな痛手だ。2020年はインターハイに代表される全国大会がほぼ全て中止されたのである。仲間とともに部活に打ち込んだ3年間の集大成を見せる機会が奪われたことをセンセーショナルに伝える報道は数多く存在するが、影響はそれだけではない。たとえば推薦入試にはインターハイ出場などの実績が大きく影響する。進路の選択に課外活動の実績を利用しようと考えていた学生にとっては、「思い出を奪われた」以上の現実的な問題が存在していたと予想される。

もちろん上記の内容はすべて、「未知の感染症を一致団結して乗り越えるためにはやむを得ない」と言える。理性的に考えを巡らせれば誰もが納得するだろう。ただ、今受験をしている当事者ではない私たちは、彼らの感じている苦労を真に理解できない。自分の経験していない苦労について、簡単に「仕方がない」としてしまうのは半ば暴力的な認識な気がしてしまうのだ。

要因2:共通テストの導入

コロナの影響が大きすぎて見逃しがちなのが大学入学共通テストの導入である。2021年度の大学入試では、過去30年間「センター試験」と呼ばれていたものを廃止し、「大学入学共通テスト(以下共通テスト)」に変更された。

名称が変わっただけであればさほど注目は集めなかったと思うが、実際にはさまざまな変更がなされたと聞く。
特筆すべきは英語である。センター試験では筆記が80分で200点、リスニングが60分で50点(うち解答時間が30分)と、リスニングの比重は英語全体のわずか20%であった。ところが、共通テストでは筆記が80分で100点、リスニングが60分で100点(うち解答時間が30分)となり、筆記とリスニングの比重は各大学に委ねられた。リスニングの比重は東大で30%、北大にいたっては50%となっており、実に半数以上の大学や学部でリスニングの比重が上昇している。すなわち、出題形式の変更がどの程度なされるかわからない中で、リスニングの対策を強化しないといけない状況だったわけだ。

出題形式の変更を踏まえれば、他にもたくさんの違いがあったに違いない。現場の先生方は情報が乏しい中で生徒たちに対策を教えなければならなかっただろう。また、先述の通りコロナの影響で授業時間が1ヶ月半分短くなった中でさらに情報の乏しい試験の対策をするのは、まさに苦労のダブルパンチと言える。

終わりに

以上を踏まえていえるのは、今年の大学受験生の多くがいつも以上に苦労を重ねて受験に至っているのは明白である。言い方は悪いがまさに社会に振り回された代だったと言えよう。それだけに、苦労を乗り越えて今まさに受験に至った全ての受験生に、心から尊敬の念を抱く。積み重ねた努力の先には明るい未来が必ずあるはずだ。受験なので必ず合格・不合格がついてしまうが、結果がどうあれ窮屈な社会情勢の中で積み重ねた努力は無駄にならないと、自分の人生を振り返って確信している

明日は2日目。まずは目の前の試験で、すべての受験生が己の力を出し切って、後悔なく終われることを願いたい。がんばれ、大学受験生

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