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自分なりの音楽の感じ方

私は音楽が好きだ。このように書くとバンドをしたり、作曲をしたりしてるのですか?と質問されそうだが、特段何もやっていない。楽器といえば子供の頃にピアノを習っていたくらいだ。けど、通勤電車の中では音楽は欠かせない。音楽プレーヤーを忘れると一日ダメにした気持ちになる。その程度の『好き』だが、音楽は毎日に欠かせないといった具合だ。
だから深い音楽的なセンスもないし、メジャーな曲しか知らない。なので、よく聞く曲の中から、純粋に好きという気持ちだけで曲を選んでみて、どうして好きになったのか、何が好きなのかを真剣に考えてみた。

①『群青日和』 東京事変

私が就活生の時に出会った東京事変の『群青日和』。
高校、大学、、と何となく淡々と進学を重ねてきた私は就活生の時、壁にぶち当たる。エントリーシートで自己PRや今まで頑張ったことを書かなくてはいけなくなった時、自分が今まで何に対しても真剣に向き合わずに、流れに身を任せて生きてきたということに気づいてしまったのだ。エントリーシート対策本に載っている例のような素晴らしいことなんてないぞと。そんなときにこの曲に出会った。

演技をしているんだ
あなただってきっとそうさ
当事者を回避している
興味が湧いたって
据え膳の完成を待って
何とも思わない振りで笑う
答えは無いの?
誰かの所為にしたい
ちゃんと教育して叱ってくれ 

自分が少しでも『好き』『やってみたい』と思ったことがあっても周りの反応が気になったり、めんどくさかったり、、いつも行動に移せなかった。そして、可もなく不可もない、ある意味順当な道を歩んできた自分に突き付けられたような歌詞だと思った。周りに『好き』なことに一生懸命の人を見るといつも「すごいなぁ頑張ってるなぁ」、「私も頑張らないとなぁ」という感じで、自分に置き換えてみることはせず、いつも、どこか常に他人事のように思っていた。だからこの曲を聞いて、きちんと自分の人生の『当事者』にならなければとはっとさせられた。

歌詞だけではない。この曲のギターの鋭い音、椎名林檎のどこかハスキーで鋭い声が、今まで寝ぼけていた私を振り起こしてくれている感覚になった。さらにこのMVも印象的で、今までMVといえばストーリー仕立てのものだったり、ちょっとドラマティックな場所で演奏しているものだったりするのが個人的には好きだったが、このMVはそれらとは違ってシンプルな背景で奏者たちがそれぞれスポットライトを浴びながら音楽を奏でているだけのものだ。そこには、奏者それぞれのテクニックがしっかりと映し出されている。メンバーたちが楽器に真剣にのめりこんで向かい合った結果の生まれたテクニックの数々。映し出されるテクニックの背景にある、それぞれの真剣さも映しだしているように見えた。また最後に椎名林檎がニコリと笑う。それぞれが好きなものにしっかりと向き合った結果、音楽を心から楽しんでいる、そんな空気感が伝わってきた。この曲を聞いた時最初は、寝ぼけた私を殴って起こしてくれたそんな気持ちだったが、最終的には椎名林檎の笑顔のように、晴れ渡ったようなすっきりしたような気持ちになった。そして、「心から自分の人生を楽しまなくちゃ」と思わせてくれたそんな曲だった。

②『明日も』 SHISHAMO

この曲は、仕事が嫌で嫌で仕方なかった時に聞いて励まされた曲だ。

月火水木金 働いた
ダメでも毎日頑張るしかなくて
良いことばかりじゃないからさ
痛くて泣きたい時もある
そんな時にいつも
誰よりも早く立ち上がるヒーローに会いたくて
仕事も恋も勉強も
一つも手抜きはできないな
明日の自分のためだと思えば良い

週5日毎日働いて、一生懸命頑張って作った資料が無駄になったり、会社という縦社会で、自分の思い通りになったり、、、嫌なことがありすぎて叫びたくなるが、良い大人だしそんなことできない。そんな時に出会った曲。
嫌な気持ちや暗い気持ち吐き出したような曲はたくさんあるが、余計にどんよりとした気持ちになったり、逆に攻撃的な気持ちになったり。
この曲は不思議と暗い気持ちにならずに、むしろ良い感じに暗い気持ちが自分からすーっと抜けて行って気持ちが晴れ晴れとしてくる。ボーカルの可愛らしいのにどこか切なげな声が、『気持ちを吐き出す』のを手助けしてくれている気がする。
そして『仕事も恋も勉強も一つも手抜きはできないな』というフレーズ。大切にしたいものがたくさんあるからこそたくさん頑張っていて、逆に大切にしたいものがあるということが幸せなんじゃないかなとも思えてくる。またこの曲を聞くと励ましてもらえる気持ちになるが、この曲には『頑張る』というワードが出てこない。『頑張ろう!頑張れ!』とひたすら励まされると変なプレッシャーが生まれて逆に疲れたりもするのだが、この曲は暗い気持ちをすーっとだして『大切にしたいもののために明日からもまた頑張ろう』という気持ちに自然とさせてくれる何とも不思議な曲だ。

③『怪盗』 バックナンバー

今までの2曲は自分を鼓舞するような曲を選んだが、ここからは少し毛色が違う1曲を選ぶことにする。この曲はラブソングで、「『君』を連れ出していろんな素敵なものを見せてあげる」というニュアンスの曲だ。(ざっくりとしていた説明で申し訳ない。)
個人的にはこの曲をラブソングという視点からよりも、車窓に映る景色を眺めがながら聞く移動中のお供として聞くのが好きだ。この曲で好きなフレーズがこのサビの部分だ。

ここから君を奪って 夜空を抜けて
宝石みたいな街を飛び越えて
君が想像したことないくらい眩しい世界を見せてあげる
そのまま海を渡って
春風に乗って
虹を蹴散らして 空にばら撒いて

もちろん私もいい年なので(笑)、王子様が迎えにきて素敵な世界を見せてもらいたいという願望は無いのだが、疾走感を感じさせるメロディーとともに、ボーカルの柔らかいけど訴えかけてくるような声にのせて映し出される素晴らしい情景。この情景を『聞く』とまるで、この歌詞の通り自分が空を駆けぬけて、いろんな景色を見ている気分になる。つまりこの曲を聞いている3分半ほどちょっとした旅をしている気持ちになるのだ。人混みだらけの夜景スポットではなく夜空から宝石みたいな街を独り占め、さわやかな春風に乗った心地よさ、そして虹を蹴散らす爽快感。
またこの曲の冒頭は、どちらかというと切なさを感じるメロディーだ。その切なさが、サビで映し出される美しい情景と疾走感を際立たせ、よりこの非現実感のある旅を素晴らしいものにしてくれる気がする。
作者の意図とは違うと思うが、この曲を聴いた後は旅をした後のようなゆったりとしたさわやかな気持ちになるのだ。


私の好きな3曲。共通するのは『こころが晴れやかになる曲』だと思う。悩んだ時、つらい時はもちろん、心を澄ませたいとき。どこかどんよりとした重い雲がかかった気持ちの時に晴れ間を見せてくれるような曲。心が明るく、澄んでいく。そんな曲が好きだと気付いた。いずれにせよ、人生観を変えてくれたり、気持ちを明るくしてくれたり、はたまた心の中で旅をさせてくれたり、、音楽は人生のところどころで私の生活を彩り、影響を与えてくれている。つい最近知ったマイケルジャクソンの素晴らしい名言でこんなものがある。

生きることは音楽的であること。体内の血が踊りだすところから始まる。すべての生命がリズム。君は君の音楽を感じてるかい?
~マイケルジャクソン~

好きな3曲について今回深く考えてみた。作者の意図とはずれているかもしれないが、音楽の影響の受け方、捉え方、楽しみ方、そしてその曲を好きな理由は人それぞれ。自分なりの音楽の楽しみ方、これこそが大切なんじゃないかと思った。

群青日和


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