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私達夫婦が、早くから夫婦関係を軌道修正できた、本当の理由。

先日の買い出しの車中で、夫と交わした会話のなかで、夫は言う。

こんなにマメに、動くだんなは居てないで。

車必須地域の我が家から買い物へ行くとなると、持病のため車の運転ができない私は、夫に連れて行ってもらう。

だけど、それは、私が常日頃から、「思いやり」であなたに接しているからでしょ?

その通り!デキタ嫁じゃ!

こちらがわざと冗談を含めていうと、夫もチャラけた含みをもって返す。

本音は「それ言う?」だけどね。

まともに返すと喧嘩になるのは目に見えているし、こうして買い出しに連れて行ってくれることに感謝はしているので、それは言わない。

今の時代、女性が買い出し担当で、わざわざ夫婦連れ添って行かないだろう。

もし、私が運転できていたら、もっと夫に自由な時間があるのも確か。

実際、昔、運転出来ていた時は、自分で買い物へ行っていたし。
この辺りの同世代の嫁さんは、皆、自分で車を運転する。

だけど、夫が何一つ文句を言わずにつれ出してくれるのは、義務感もあるのだろうけど、それは私が常日頃の態度が、自然に相手ファーストで動いているから、その思いやりが巡り巡って、夫も自然と動いてくれているのではないかと思っている。

頼みごとをしたいときは、タイミングや夫の機嫌を伺うし、夫がヒトリの時間を楽しみたいのなら、近づかない。

作るおかずが決まっていても、夫からリクエストがあれば、それを優先する。

意見の食い違いがあれば、夫の方を尊重することもあるし、納得いかなければ、反感を買わずに自分の意見を通す方法を考える。

夫から頼まれごとがあれば、それを優先するのもそうだし、気に入らないこと不服があっても、嫌みのヒトツはボソッとくれてやることもあるけれど、それ以上は言わない。

車に乗せてもらうからには、雰囲気が悪くならないように、心がけるのもそうだし、夫が困っていそうなことで、代わりに私ができることだったら、何だってする。


どれも当たり前のことだけど、お互いが心地よく過ごせるよう、思いやってのこと。


こう記すと、いかにも私がデキタ嫁風に聞こえるかもしれないけど、私自身が、こちらに嫁いできて、こうも夫とその両親、かつ自営業という狭い空間で心地よくやっていくには、逃れることの出来ない必然的なことだったから、自然と身についたものと思われる。

好きな人と24時間一緒に居れて、共に仕事をして、同じ目標に向かって頑張っていくのよ!と、およそ、農家の嫁を夢見て嫁いできたが、思った以上にそのまんまだった。

私達夫婦は、普通の夫婦以上に、新婚当時から共有した時間が多かった。

朝から晩まで一緒 × 365日(365日ずっと一緒💦)

結婚前に付き合った期間は半年。

その間に喧嘩をする暇はなかった。

数年間は夫に嫌われたくなくて、本音のヒトツもこぼさなかった。

だけども、こうも長い時間一緒にいると、取り繕うこともできないし、言いたいことヒトツ言わないと、我慢も限界を超える。


そうか、言わないと伝わらないんだ・・・。


その日を境に、ために溜め込んだ、煮え切らない事、気に入らないこと、息の詰まること、イヤな事を、次から次へと吐き出すようにこぼした。

本音で人と接したことがない私には、勇気がいった。

意を決するまでに、迷いに迷った。

だけど、ツイに!

その日から、それまでの関係は丸ッと変わった。

数えきれない位に、喧嘩をした。

夫の反撃は、狂気の沙汰を越えていた。多分、一般的には受けいられないだろうくらいに。
私も鬼の形相で、反撃した。

あれだけ、感情丸出しで、母以外の、他人にあたったことはあるだろうか。

子供の前では、極力控えたけど、子供が出来るまでもそうだったし、子供が産まれてからも、よく喧嘩をした。

秋の農繁期なんて、忙しくて夫が殺気立っているから、アルバイトさんの前でも喧嘩した。(常連のアルバイトさんにとっては、いつものこと)


喧嘩をして、して、しまくって・・・。

普通やったら、離婚するやろ・・・ってなところまでいって・・・。


結果・・・。

よかった・・・。

今やから、言えるけど。


諦めがついた。

私が夫に抱いていたイメージは、勝手に私が創り上げたものだと分かった。

そうよね。たかだか半年一緒に居たところで、その人のこと分かるわけがない。

その時、やっと気づいた。

存じ上げるのは失礼になるかもしれないけど、笑福亭鶴瓶さんに少し似た風貌に少し安心し、思いやりがあって優しい人なんだと、ずっと思っていた。

10も上というだけで、きっと包容力があって気遣いがあって・・・。


だけど、ちがうやん・・・。


あれは幻想だったと気付いた。

夫の私に対する気持ちもそうだったと思うけど、夫に幻滅した。

たぶん、結婚生活で、夫のことがいちばん嫌いになったのはこの時期だった。大っ嫌いだった。


それが良かった。

相手に期待しすぎていただけに、素性が分かったときのショックは計り知れなかったが、諦めがついた。

そうか・・・。義母のこと含め、分かろうともしないんだ・・・。
力になってくれなんだ。・・・あっ、そう。


問題はここから・・・。

相手の素性やクセが分かったところで・・・、さぁどうする・・・。

夫とは、口を利かない日が続いた。  

結婚当時は、ピッタリ同じに感じた心は、いとも遠くに離れているのを感じた。


そうか・・・。ここがスタートなんだ。


結婚数年目、強く思ったことを覚えている。

私は、大っ嫌いな人相手に、ダメもとで、「相手ファースト」を心がけることにした。

試行錯誤の中、夫に尽くすことを決めた。

夫が居心地の良いように。二人にとって心地よいように。

もちろん一筋縄ではいかなかったし、それが正しいのか分からないままに。

だけど、出来ることはそれだけだった。

打って、すぐ響いたわけではない。

だけど、とにかくやり続けた。

「ん?!」と感じるまでに、半年か、一年ほど。

「もしかして、(夫も)変わったんちゃうん?」と、はっきり分かるまでに数年。

その間も、小さないざこざは幾度かあった。

だけど、こちらが人間なら、あちらも人間。

続けるうちに、夫に「気付いた瞬間」があったのではないかと、私は感じている。

相手ファーストで動いていくうち、徐々に、夫も私を思いやって行動してくれるようになった。

噛み合わなかった歯車が、音を立てて回りだしたのを感じた、その瞬間、「すごいなぁ」っと思った。

夫との出会いは、思った通り運命で、相性が実は良かったからこそで、この瞬間を味わえることこそが、結婚の醍醐味なのかなと感じた。

きっと、運命の出会いでもなく、相性が悪かったり、縁がなければ、何をやっても響かなかっただろう。

特別な理由がない限り、「思いやり」で接することができれば、「思いやり」で返ってくるのではないかというのが、私の持論。

運が良かったのかな・・・とも思うけど、根気ありきのこと。
相手に何かしらを期待し続けて、何も行動をおこさなければ何も起きないし、変わらなかっただろう。自分の判断が正しかったと思う。

だけども、年中顔を突き合わしている環境柄、逃げるに逃げられなかった、そういう理由があってのこと。

私が、サラリーマンと結婚していたら、また違った妻像ができていたのかもしれない。

テレビでみる、農家のご夫婦は大抵仲がよいように見えるけど、案外、私たちのように、仕事中も喧嘩を重ねた年月があってのことかもしれない。

相手と共有する時間が多いからこそ、喧嘩もする。

喧嘩を重ねた分、自分が何を相手に期待していたか明確になり、幻滅した代わりに、相手そのもの(相手の素性)を受け入れる時間がある。

不平不満も、相手にこぼしても仕方がないと分かるのも早く、自分で解消する術を得る時間もある。

良い意味での「諦め」が早い。

世間一般では、子供が独立するタイミングで離婚される方も多いみたいだけど、子供が独立するタイミングで、今まで溜まっていた鬱憤が・・・だとか、不満が・・・とかいうことはない。

軌道修正は、とっくに行われているから、今更何も溜まっていない。
いや、溜めない術を知っているからかもしれない。

今現在、広い面積の畑を、それぞれ違う農作業を手分けして仕事を回す私たちは、若い頃に比べると、共に同じ空間に居る時間が少なくなった。

それでも、今となっては、たぶん、お互いかけがいのない存在で、私が夢見た、理想の農家の夫婦像はすぐそこまできている。
憧れを抱いた夢心地のままでは、叶わなかっただろう。
理想を叶えるには、いろんなことを、クリアしてきたからこそであって、努力も必要で大変だった。

それでも、「めっちゃ楽しかったな!」と、どちらかが先に逝くときに言えることが、最後に掲げる私の理想。

だから、今の状況におごり高ぶることなく、二人にとって心地の良い空気感を作れるように心がけよう。

無理なく自分でできる範囲の、相手ファーストの心で。


見返りは期待しないけど、今までの流れでいうと、それもまた、返ってくる。

今の段階でそう思えるのは、きっと紛れもなく、普通の夫婦以上に時間を共有してきたから。
あと、帰る実家がなかったからかな。

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