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【「はじめに」公開】大塚雄介著『最新 いまさら聞けないビットコインとブロックチェーン』

本書は、2017年に刊行し、10万部ベストセラーとなった『いまさら聞けない ビットコインとブロックチェーン』全面改訂版。
ビットコインとは? ブロックチェーンとは? NFTとは?
これからの投資、金融、経済、社会を語るうえで、絶対におさえておきたい情報をこの1冊にまとめました。
このnoteでは書籍の冒頭部分、「プロローグ」を公開します

ビットコインとは?
ブロックチェーンとは?
NFTとは?

話題に上がったとき、
あなたは、説明できるでしょうか?

これらの名称をニュースなどで目や耳にしない日はないほど、
世の中に浸透し認知は広がりました。
ですが、どれだけの人が、
それらの内情を理解しているかというと、
現実、それほど多くないように思われます

とはいえ、
「知っていて当然」の空気をまとい交わされるこれらの名称を、
いまさら誰かに聞くのはなかなかむずかしいでしょう。

自分で調べてみても、情報が多すぎて、
何が正しくて何が正しくないのかさえ判断できず、
よくわからなかったという声も少なくありません。

さらに、日々刻々と進化し続けるテクノロジーにより、
暗号資産、いわゆる、仮想通貨をめぐる状況は、
いま、めまぐるしく変化しています。
数年前に得た知識なら、一度ブラッシュアップする必要があるのです。

投資を考えている人にはもちろん、
ビジネスパーソンの基礎知識として、
これからの金融、経済、社会を語るうえで、
絶対におさえておきたい情報をこの1冊にまとめました。

ぜひ入門書として読んでいただければと思っています。

さあ、時代の波に、一緒に乗っていきましょう。

プロローグ いますぐ始めるビットコイン入門

 前著『いまさら聞けないビットコインとブロックチェーン』が出てから5年近く経ちました。そのプロローグを、私は次のように書き出しました。

 2017年はビットコイン関係者の歓喜と悲鳴とともに幕を開けました。
 2016年の後半はだいたい「1BTC(ビットコインの単位です)=6万円台」で落ち着いていたビットコイン相場(ビットコインと円の交換レート)は11月あたりからジリジリと上がりはじめ、2016年末に一時12万円台に達します。年が明けてからもその勢いはとまらず、1月5日にはついに15万円を突破して大騒ぎになりますが、その日の夜から突然急落し、日付がかわる頃には一時11万円を割り込むところまで落ち込みます(ちなみに、ビットコインの取引は24時間365日可能です。クリスマスや年末年始も休みがありません)。
 ビットコイン価格が急落したのは、相場に大きな影響を持つ中国で資本規制が強化されるという情報が流れたからですが、1月6日の明け方には早くも持ち直し、昼頃までには一時13万円台まで回復して、その後10万円前後で落ち着きました。まるでジェットコースターのような値動きです。

 それから年月が過ぎ、2021年10月には、本書執筆時点での最高額「1BTC=69044ドル(当時のレートでおよそ777万円)」を記録しました。わずか5年前に、たかだか10万円前後で大騒ぎしていたのを見ると、まさに隔世の感があります。

 ビットコインは、いまも大きく成長し続けています。この5年間でこれだけ伸びた投資先は、そんなにないはずです。だからこそ、いまでも多くの人がビットコインに投資しているのです。
 本書を手にとったみなさんの中にも、「ビットコインはもう買ったよ」という人がたくさんいるでしょう。でも、ビットコインのことはわかっていたとしても、それ以外のアルトコインについてはどうでしょうか?
 スマートコントラクトによって一大勢力に育ったイーサリアムについてはどうですか?
 この5年間に新しく登場してきたキーワード、「ステーブルコイン」「リブラ(ディエムと改称)」「DeFi(分散型金融)」「ICOやIEO」「NFT(非代替性トークン)」についてはどうでしょう?
 本書を読めば、最新のテクノロジーの動向や、それが出てきた背景、仕組み、その可能性まで、手にとるようにわかるはずです。
 もちろん、「まだビットコインを買ったことがない」という人もご安心を。『いまさら聞けないビットコインとブロックチェーン』というタイトルからも想像できるように、まったくの初心者であっても、ちゃんとついてこれるように、おそらくこれ以上ないほどやさしく解説しています。本書を読めば、きっとビットコインとブロックチェーンについて、誰かに語りたくなることうけあいです。

まずはビットコインを買ってみよう

 これから、ビットコインはどんなものか、どんなときに使えるのか、くわしく解説していきますが、お金の価値は、使ってみてはじめて実感できるものです。ごく簡単な手続きだけで始めることができるので、とにかく試しに使ってみたいという人のために、「ビットコインの使い方」をひと通り紹介します(もちろん、パート1以降を先に読んで、ビットコインを買うメリットやリスクをきちんと理解してから始めるのでも、全然問題ありません)。
 ビットコインを入手する方法はいくつかありますが、いちばん手っ取り早いのは、仮想通貨(暗号資産)のアプリを手に入れ、ビットコインを扱う取引所から「買う」ことです。
 ウェブサイトやアプリのインターフェイスは常に更新されるので、ここでは操作画面を掲載せず、操作方法の概略だけを説明します。私たちが運営している「コインチェック」のウェブサイト(https://coincheck.com/)やアプリ画面を見ながら次の説明を読んでいただくと、わかりやすいと思います。

写真入り身分証明書と、証明書と一緒に写った本人写真の提出が必要

 ビットコインの取引を行うには、本人確認書類の提出が必要です(マネーロンダリングなどの不正利用を防ぐためです)。
 はじめてコインチェックのウェブサイトにアクセスすると、メールアドレスの登録が求められます。スマホの人は、iPhoneのApp StoreやGoogle Playからコインチェックのアプリをインストールしてください。メアドを登録すると、折り返し確認メールが届くので、それをクリックして本人確認画面にアクセスします。
 本人確認画面では、住所・氏名・生年月日など、必要事項を入力のうえ、運転免許証やパスポートなど、本人写真入りの身分証明書の写真(免許証の場合は、住所変更の有無を確認するため裏面の写真も)と、提出された身分証と本人が一緒に写っている写真(免許証やパスポートを手に持ち、写真入りの面を表に向けた自撮り写真)を画面上の指示に従ってアップロードします。登録後しばらくすると、「本人確認終了」のメールが届きます。さらに数日後、住所確認のための書類が簡易書留で登録住所に送られます。それを受け取り、登録住所が間違いないことが確認されたら、登録完了です。スマホの場合は、本人写真入りの身分証明書の写真や身分証と本人が一緒に写っている写真の他に、本人や身分証の厚みがわかる動画をアップロードすることで、書留を受け取ることなくネットだけで登録が完了します(登録手順は変更される場合があります。最新のやり方についてはサイトの手順に従ってください)。
 これでビットコインの取引を始めることができます。

主な操作は6つだけ

 取引所のウェブサイト(またはアプリ)にログインすると、「ウォレット」画面が現れます。ウォレットはビットコインを入れておく「あなた専用の銀行口座」のようなものです。
 いくつかメニューが並んでいるはずですが、おもな操作は次の6つです。①「日本円を入金する」と②「日本円を出金する」、③「コインを買う」と④「コインを売る」、⑤「コインを送る」と⑥「コインを受け取る」をセットで考えると、わかりやすいはずです。

①日本円を入金する
 現金の出し入れに関するメニューです。日本円を取引所の指定口座に預けておいて、その金額の範囲内でビットコインを買うことができます。
 入金のしかたは、①指定口座に銀行振込する、②コンビニで入金する、③提携金融機関からクイック入金する、などです。それぞれメニュー画面の指示にしたがって入金してください。

②日本円を出金する
 
ビットコインを売った代金を受け取りたいときは、あなたの銀行口座を登録します。取引所に預けている円のうち、現金で引き出したい金額を指定すれば、その金額があなたの銀行口座に振り込まれます。

③コインを買う
 
ビットコインの売買に関するメニューです。日本円を支払ってビットコインを受け取ることを「ビットコインを買う」といい、ビットコインを支払って日本円を受け取ることを「ビットコインを売る」といいます。
 メニュー画面で買いたいビットコインの額を入力すると、必要な日本円が自動的に表示されます。たとえば、「1BTC=500万円」のときに「0.001BTC」と入力すれば5000円」、「0.01BTC」と入力すれば「50000円」と表示されるので、その金額でよければ「購入する」をクリックします。これでビットコインの購入が完了です。「コインを買う」のオプションとして「クレジットカードで買う」方法が提供されていることもあります。現金を入金してからビットコインを買うのではなく、クレジットカードで直接買うわけです。

④コインを売る
 
あなたが買ったビットコインは、あなたのパソコンやスマホにダウンロードされるのではなく、取引所のサーバーに置いてあります。将来の値上げに備えてそのままずっと持っていてもいいですし、現金化したくなったら売ることもできます。
 メニュー画面で、売りたいビットコインの額を入力すると、売却代金の日本円が自動的に表示されるので、その金額でよければ「売却する」をクリックします。これでビットコインの売却が完了です。売却代金はそのままプールしておいてもいいですし、現金化したければ、②「日本円を出金する」のメニュー画面に進んでください。

⑤コインを送る
ビットコインの送金と支払いに関するメニューです。自分が持っているビットコインを誰かに送ったり、お店で支払ったりするときは、「コインを送る」メニューを開きます。
 たとえば、Aさんに0.001BTC送りたいときは、Aさんから送り先のビットコインアドレスを教えてもらって、そのアドレス宛に0.001BTCを送るだけです。
 ビットコインアドレスは、たとえば「1AavpCP7jHKFYXb7NP9p5naf1FQ1SZ7Zxw」のような、ランダムな文字列です。ビットコイン専用のメールアドレスのようなものだと考えてください。ふつうのメールアドレスと違うのは、送るたびに毎回別々のアドレスが
発行されるところです。
 ビットコインアドレスはQRコードで読み込むことができます。お店やオンラインショップで支払うときも、お店が発行するQRコードをスマホで読み込めば、いちいちビットコインアドレスを入力しなくてもいいので便利です。

⑥コインを受け取る
 自分からビットコインを送るだけではなく、誰かが送ってくれたビットコインを受け取ることもできます。何かを売った代金としてビットコインを受け取ったり、銀行振込の代わりに送ってもらったビットコインを受け取るシーンが考えられます。
 メニュー画面を開くと、入金用のビットコインアドレスが表示されるので、それを送金してくれる相手に知らせます。QRコードも自動で取得できるので、それを相手に教えれば、アドレスを入力する手間が省けます。

 ビットコインの使い方の説明は以上です。実際に使ってみると、ビックリするほど簡単だとわかってもらえるはずです。
 ここまでの説明を概念図にまとめてみました。お金の移動とビットコインの移動を分けて考えると、理解しやすいかもしれません。
 ざっと概要をつかんでいただいたところで、次からはいよいよ中身の説明に入ります。ビットコインとはいったい何なのでしょうか。


目次

プロローグ いますぐ始めるビットコイン入門
PART1 ビットコインって何なの?
・6つの顔を持つビットコイン
・ビットコインはどうやって手に入れる?
・ビットコインはほかの「資産」とどう違う?
・ビットコイン投資のメリットを教えて!
・ビットコイン価格はどう決まる?
・ビットコインはほかの「決済手段」とどう違う?

PART2 ビットコインの仕組みはどうなっているの?
・バーチャルなお金に価値が生じるのはなぜ?
・ビットコインはいつどこで生まれた?
・ビットコインは誰が運営している?
・「取引所」の役割って何?
・ブロックチェーンってどんな技術?
・マイニングって具体的に何をする?
・ビットコインには終わりがある?

PART3 仮想通貨はどこまで安全なの?
・ビットコインがコピーや改ざんされる心配は?
・送金中に誰かに抜き取られる心配は?
・どのウォレットなら安全なの?
・取引所のコインが盗まれる心配は?
・マネーロンダリングに利用される心配は?
・各国のレギュレーションはどうなった?

PART4 ブロックチェーンの進化と広がり
・ビットコインが抱える4つの課題
・スケーラビリティ問題の解決策1 セグウィットとビットコイン分裂騒動
・スケーラビリティ問題の解決策2 ライトニングネットワークとサブチェーン
・変動幅が大きすぎる問題の解決策1 ステーブルコイン
・変動幅が大きすぎる問題の解決策2 リブラ改めディエムとCBDC
・銀行のレガシーシステムを更新する[リップル]
・ビットコインはいつまでトップでいられるか?

PART5 イーサリアムが切り開く未来
・ビットコインの最大のライバル、イーサリアムとは?
・自律分散型投資ファンドDAOとは?
・分散型金融DeFiとは?
・資金調達手段としてのICO、IEO、STOとは?
・非代替性トークン「NFT」とは?

エピローグ 新たな「デジタル経済圏」を創造する

著者について

大塚 雄介(おおつか ゆうすけ)
コインチェック株式会社 執行役員

早稲田大学大学院修了、物理学修士号取得。リクルートから分社独立した株式会社ネクスウェイでB2B向けITソリューションの営業・事業戦略・開発設計を経験した後、レジュプレス株式会社(2017年4月よりコインチェック株式会社に社名変更)に創業から参画、2014年2月に取締役に就任。2018年4月にコインチェック株式会社がマネックスグループ株式会社の子会社となると同時に執行役員に就任。その後、2020年1月より専門役員に就任し、暗号資産の啓蒙や業界のトレンドに関する解説などの活動に従事。2021年4月より執行役員として、マーケティングや広報、株主総会支援事業などを統括する。

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「今さら聞けない」というタイトルにもあるように、初心者でもビットコイン、ブロックチェーンやNFTなど、話題のキーワードが理解できる入門書。「1冊目」はまず本書から!
(営業部 伊東)











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