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リモートワーク、ぶっちゃけ不便はないの? 編集者リモートワーク座談会②

2021年3月9日に「リモートワーク座談会」をzoom開催しました。
新型コロナウイルス感染拡大を防ぐ目的から、2020年2月17日に突如フルリモートワーク体制への移行を決定。それ以降、今に至るまで在宅勤務を続けてきたディスカヴァー編集部。ほとんどオフィスに出勤することのない中で、生まれてきた書籍は100点を超えます。
今回はそんな編集部のメンバーから4人に声をかけ、リモートワークの実態について話を聞きました。

\前編はこちら/

今回の座談会・中編では、「地方からのリモートワーク」「非対面でのコミュニケーション」など様々なトピックについてお話しています。

編集者がド田舎からフルリモート。実験的挑戦の結果は?

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谷中:元々は東京で仕事をしていたのですが、家庭の事情で急遽広島の因島に戻らなければいけないことになったのです。、そこで、巨大プリンターを実家に送って仕事をさせてほしいというように上司に相談しました。そうしたら「いいじゃん、地方でも編集できることを証明してよ!」と言われて。実験的に地方からリモートワークすることに(笑)

田中:広島にいるって聞いてびっくりしたんですけど、背景がカッコいい和室になっていて(笑)

谷中:はい、掛け軸とか掛かってましたよね(笑)

やはり著者さんとも対面ではなくオンラインで打ち合わせをすることが大前提だったので、どうしても伝わらない部分が出てきてしまったり、田舎すぎて本屋さんがないという場面は苦労しました。
今何が本屋さんで売れているのかと調べようと思っても、Amazonしか分からない。大きな本屋に行くにも、片道2時間かかるので、こまめなチェックは現実的ではない。
そういう時には、編集部と営業部の仲の良さを利用して、「〇〇先輩、このエリアではどんな本が売れていますか?」などラフに質問して、社内コミュニケーションで田舎のデメリットを打ち消していました。

本を作っていると色校とか見本紙が届くのですが、都内にいる皆さんと比べても一日遅れで届くので、予定などは先回りして考えられるようになりましたね。よりシビアにスケジュールを見られるようになったので、自身の成長にも繋がりました。

大竹:あとバイク便も使えないよね。

谷中:はい、宅急便しか使えなかったので……。

大竹:そんなことを感じさせない進行ぶりでしたよ!

田中:それが「可能」ということが分かったのは、結構他の方も勇気づけられるのではないかなと思います。

フリーアドレス、フルリモート……波にもまれる編集部

田中:では少し話題を変えて、リモートワーク以前とのギャップや、当初の焦燥ぶりとかについてお伺いできたらと思います。
ディスカヴァーでは2月17日からリモートが始まったんですけれど。14日に市中感染の報道が出てきて、上層部で話し合って、金曜日の3時にいきなり「来週からリモートワークです」という通達がありました。しかし編集部ではその以前から*フリーアドレスになっていたんですよね?

*フリーアドレス:社員が個々の自席を持たず自由に働く席を選択できるオフィススタイル

大竹:アレのほうが大変だった記憶が….…。

田中:ディスカヴァーも人数が増えてきたので。一人一人のデスクがあって、本棚があって、という状態から、突然フリーアドレスに突入した。

大竹:それが2020年の年末あたりでしたよね? 他の部署は早々に移行していたんですけど、最後の抵抗勢力のように残っていた編集部もついに(笑)特に当時の編集長だった藤田のデスクはすごかった。

田中:歴史もありますし。

谷中:皆、総出で敢行した覚えがあります(笑)

田中:フリーアドレスについてはどうでした?

谷中:まあ不便はありましたけど、、慣れましたね(笑)

田中:順応力が高いのが、記憶が薄れているのか(笑)

千葉:フリーアドレスに移行してから3か月でリモートワークに移行してしまって。フリーアドレスのときから、基本的にノートパソコンが各自に支給されて、それで仕事をするという形にはなっていた。そうはいっても、紙のゲラとか資料の本とかは必要なので、本棚とラックはある程度各個人が確保できるようになっていましたね。それでなんとかしのいでいたら、今度はリモートワークになったという経緯でしたね。

田中:オリンピックが2020年に開催されるということで、最寄り駅の永田町駅が混雑して出社ができなくなるのではという恐れが元々ありました。それに対応するために業務環境を整えておこうとITチームと総務チームが頑張って下準備をしていたのが、予想外にコロナの時に役に立ったという経緯があります。皆さんのパソコンとかプリンターも、なんとか早く手配して整えないと、とITチームの方が総出で秋葉原に買いに出かけてくれて(笑)

フリーアドレスにしろ、フルリモートにしろ、発想の転換は必要かなと思います。その辺のバタバタもnoteの記事にまとめておりますので、そちらも是非ご覧ください!

社内外のコミュニケーション、どうしてる?

田中:リモートワークに関する事前の質問で多かったのが「コミュニケーションはどうしてる?」というお悩みでした。コミュニケーションについて話をお伺いしたいなと思います。

志摩さんは入社してから半年経ったくらいでリモートワークに移行でしたよね。

志摩:そうですね。コミュニケーションに関しては良かったこと・困ったことが一つずつあります。

困ったことについては、現状私たちはスラックでやり取りをしているんですけれども、今までは対面とメールベースで仕事をしてきたので、話し言葉を交えたテキストでのやり取りが難しかったです。相談するときや依頼するとき、私はいかに言語以外のものでモノを伝えようとしていたのかということに気づかされました。

でもその一方で良かったのは、皆テキストでコミュニケーションをとるので、他部署の人が日々どんな仕事をどんなスケジュールで進めているのか、という部分が可視化されました。
私は新卒で仕事をはじめてからずっと編集職として仕事を続けてきたので、他の営業部の方々がどんな情報を欲しているのかという部分がイマイチ分かっていなかった。それを多少理解したことで、販促の際などにも、編集部と営業が協働しやすくなったと感じております。

田中:なるほど。他の方はどうですか? 関連した質問も頂いています。「一緒の仕事をする社外の方とのやり取りもリモートですか?」

大竹:そうですね、基本は。どうしても対面がいいという方には会いに行くこともありますが。

田中:印刷所の方とかもこれまではオフィスに持ってきてくださって、色校の確認とかあったと思うんですけれど、今は基本的にはリモートでやられているんですよね。

千葉:なので、バイク便を重用するようになりました。今までも使ってはいたんですけれど、今は自宅にバイク便で集荷に来てもらって印刷所やスタッフとやりとりをすることがとても増えましたね。

大竹:オンライン会議も最初の頃は、画面越しに空気を読むのが難しく、あまり皆の反応がなかったりすると、自分が発言するたびに滑っているような気がしていて、すごく疲れた感じがしていました。さっき志摩さんがおっしゃっていたことと同じなんですが、対面のときは言葉以外のツールも使ってコミュニケーションをしていたんだなということに気づきました。

あとは、社外の方やデザイナーさんとの打ち合わせが、すぐに終わってしまうんですよね。世間話っぽいこととか、ちょっとした間のようなものが、対面の時はあったんですけれども、リモートの時はなくて。共有している資料を見ながら検討する作業が、対面の時は1時間くらいかかっていたのが、今は20分くらいで終わってしまう。それでいいのかもしれないんですけど、ほんとうにこれで伝わっているのか?という部分が不安になってしまっていました。

千葉用件を伝える系の連絡は、オンラインだとやりやすい。用件を伝えるためだけに一時間かけて電車に乗って帰ってくるということがなくなったのは、いい時間の使い方だなと思います。
その一方で、ブレストなど、一緒にアイデアを出し合いながら進める打ち合わせは、オンラインだと間が持たないですし、難しいと感じることが多いですね。

紙派か、タブレット派か。編集者の流儀を問う質問に答える!

田中:Q&Aの質問にも答えていきましょう。「リモートワークの際の校正作業はどうやっていますか? やりやすさなどはいかがですか?」

志摩:私は紙派ですね。

谷中:私も紙派です。

大竹:私も(笑)

千葉:私も紙なんですけど、タブレットで赤字を入れるということもできますよね。
とはいえそんな技術を上手く駆使している人は、編集部内でも一人、二人くらいですね。基本的にはアナログにやっています。

大竹:プリンターが来る前は、アップルペンシルを買ったりしていたんですけど、プリンターが来たらやはりそっちの方がいいなと。

田中:そのプリンターで印刷して、赤を入れて、スキャンして送り返すという感じなんでしょうか?

志摩:はい、会社にいた頃のやり方と変わらないですね。
あと画面上だと、文字は読めても内容があまり入ってこないような気がしています。やはりそこは紙がベストだなと、今のところ私は感じていますね。

千葉:これは僕が怠惰な人間だからですけど、先ほど編集部には紙とか本が沢山あるという話をしました。それは在宅になっても同じ。しかも会社より狭いから限られているので、そうしたものを僕はプリンターの上に積んじゃうんですよ(笑)

一同:(笑)

千葉:だから、プリンターを使うときには、一度よっこいせとモノをどけなくてはならない。プリンターを使うときには、結構重い腰を上げて、という感じがあります。かといってタブレットを駆使するほどアプリを使いこなせていないので、画面上で35ページの3行目をこの文に直してください。といった指示を文章化して入れるということを最近やっています。

プリントアウトしてチェックするというプロセスは勿論必要な作業ですし、会社にいたときは一冊あたり10回ほどプリントアウトしていたんですけれども、在宅になってからは一冊作るのに2~3回に減りました。散らかりますし、紙を買ってセットして広いスペースで作業して、というのがなかなか骨が折れますね。やはりオフィスはありがたい環境だったんだなと(笑)

田中:最適化された環境だったわけですからね。

千葉:そこはやっぱり、ちょっと不便というか、同じではないと感じます。家でも同じことはできますが、大分制約が大きいように思うので。

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リモートワーク環境下で、編集者の皆さんが具体的にどのように仕事をされているのかが垣間見えましたね。特にコミュニケーションの部分については、共感する方も多いのではないでしょうか。

次回・後編ではリモートワーク下で様々な人々と連携を取りながらも、沢山の書籍を生み出してきた編集者の方々ならではのノウハウを公開。
皆さんのお悩みが解決に向かうヒントがてんこ盛りの最終回は必読です!

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【オンラインイベント情報】4/30(金)12:00~13:00 ディスカヴァー編集部座談会

ディスカヴァー・トゥエンティワンの書籍編集部とともにお届けするZoom座談会、第三弾!

今回は技術評論社で編集者としてご活躍中の傳 智之さんをお招きして、「編集者の仕事術」をテーマにざっくばらんにお話しします。

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【ディスカヴァーでは、編集者を大募集しています!】
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