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【「はじめに」公開】望む現実は最良の思考から生まれる

 もっといい結果が欲しいなら、ポジティブな思考を1つ増やすだけでいい。
 
本書は、英国で50万部を突破し、英「サンデー・タイムズ」ベストセラー1位、Amazon UK 心理学ジャンル1位(2021年10月)となった、自分の中に眠る可能性を引き出し、望む人生を引き寄せる法則をまとめた1冊。
 
 このnoteでは本書の冒頭部分を公開します。

はじめに

いいことも、
悪いことも、
最悪のことも、
すべて私という人間の一部だ。

すべての出来事から、私たちは何かを学ぶことができる

 子ども時代の3年間、私には決まった家がなかった。
 私たち家族は親戚と一緒に暮らしていた。短い間だけシェルターで暮らしていたこともある。雨風をしのげる場所があるだけでもありがたかったのはたしかだが、シェルターでの暮らしは本当に怖かったことを覚えている。
 建物の入口では、いつも怖そうな人たちがうろうろしていた。私たちが中に入ろうとすると、鋭い視線を投げつけてくる。4歳だった私は怯えていた。でも母は、「大丈夫よ」と言って私を安心させようとした。ただ下を見て、建物に入ればいい。
 ある夜、少し外出して戻ってくると、階段と廊下の壁が血だらけになっていた。ガラスの破片が床に散らばっている。姉たちと私は、そんな恐ろしい光景を見たのは生まれて初めてだった。私たちは母の顔を見上げた。私は母の表情に恐怖を感じ取った。それでもやはり、母は勇敢だった。ただ、「ガラスに気をつけて部屋に戻りましょう」と、私たちに声をかけた。
 まだ動揺していた姉たちと私は、階下で何があったのだろうと話し合った。そのとき、悲鳴と叫び声が聞こえ、続けて大騒ぎになった。本当に怖かった。私たちはまた、安心を求めて母の顔を見た。母は私たちを抱き寄せると、「心配はいらない」と言った。それでも、母の心臓が早鐘のように打つのが聞こえてくる。母もまた、私たちと同じくらい怯えていた。
 その夜、私たちはほとんど眠れなかった。叫び声は夜通し続いた。驚いたことに、警察はまったく来ず、騒ぎを鎮めようとする人もいなかった。誰もここにいる人の安全を気にかけてはいないようだ。世の中から見捨てられた気分だった。この冷たく、腐敗した世界で、頼れるのは家族しかいなかった。

 このような子ども時代の記憶を友人や家族に話すと、とても驚かれる。私が当時のことをよく覚えているからだ。「なぜそんなことまで覚えているの? まだあんなに小さかったのに」と言われることもよくある。
 もちろん、すべてを、細部まで鮮明に覚えているわけではない。それでも、自分がどう感じたかということは、だいたい覚えている。いい経験でも、悪い経験でも同じだ。
 当時の出来事には、とても強い感情が付着している。その記憶は、長きにわたって私から離れてくれなかった。

 10代の終わりになると、記憶がただ消えてくれることを願っていた。記憶が消えれば、子ども時代の苦労を思い出さずにすむ。
 自分の過去を恥ずかしいと思うこともあった。自分という人間を受け入れられなかった。子ども時代の自分を否定するような言動をとったこともある。
 私はよく、世界に傷つけられていると感じていた。だから、お返しに傷つけてやりたかった。
 しかし、今は違う。私は昔をふり返り、起こったことのすべてを抱きしめる。

 冒頭の言葉を、もう一度言おう。
 いいことも、悪いことも、最悪のことも、すべて私という人間の一部だ。
 そう、すべての出来事から、私たちは何かを学ぶことができる。
 たしかにつらい出来事もあったけれど、それらは私にたくさんのことを教えてくれた。
 あの経験があったからこそ、惨めな境遇を抜け出して、よりよい人生を手に入れようという強い思いを持つことができた。

「最高の自分」で生き始める

 この本を書いたのは、自分が学んだことを多くの人に伝えるためだ。この教えが、この本を手にとり、読んでくださっているあなたを「すばらしい人生」へと導くことを願っている。私の物語から何を感じ取るかは、すべてあなた次第だ。
 共感できるものもあれば、そうでないものもあるだろう。いずれにせよ、この本で描かれている考え方を実際に活用してみれば、人生に前向きな変化を起こすことができる。
 私は哲学者ではない。心理学者でも、科学者でも、宗教のリーダーでもない。ただ学ぶのが好きで、学んだことを他の人に伝えるのが好きなだけだ。私の教えで多くの人がつらい感情から解放され、たくさんの喜びを手に入れられることを願っている。
 そして、この地球に生きるすべての人が、何らかの変化を起こすために存在していると私は信じている。人々が人生の目的を見つけ、世界にいい影響を与える手助けをすることが私の使命だ。

 世界は今、とても大変な状態にある。感覚を研ぎ澄まし、この厳しい状況を鋭く意識しながら生きる人になれば、地球への負荷も小さくすることもできるはずだ。能力のすべてを発揮する人生を送れば、自分の世界だけでなく、周りの世界も変えることができる。
 もちろん、凡庸で満足できる人も中にはいる。彼らは凡庸を超えたところにある人生を生きることを目指さない。
 しかし、すばらしい、偉大な人生を生きるには、自分のすばらしさを見つけなければならない。わかりやすく言えば、すばらしさとは「最高の自分」になることだ。
 頭の中にある限界を取り払い、「自分の人生はこんなものだ」とあきらめるのをやめ、想像もしていなかった領域にまで手を伸ばす。最高の自分としてのメンタリティとは、限界のない人生を生きること、無限の可能性を信じることだ。
 これらの理由から、最高の自分には始まりもなければ、終わりもない。
 つねに今より上を目指すだけだ。

 人を感心させようとするのをやめよう。
 自分を感心させよう。自分の限界を広げよう。
 自分に挑戦しよう。可能なかぎり最高の自分になろう。

 難しいことを言うと思うかもしれない。
 でもあなたには、今この瞬間からよりよい自分を目指してもらいたい。
 これから毎日、あなたは昨日の自分を超え続けていく。

 朝、目覚めたときに向上したいという気持ちを意識し、起きている間もずっとその気持ちでいれば、世界がたくさんの刺激に満ちていることに気づき、きっと驚くだろう。あなたの人生は、成長への強い意志を反映するようになる。

「すばらしい=最高の自分」という言葉は多面的だ。たしかに主観的な概念ではあるが、ほとんどの人は、「才能がある」「お金やモノをたくさん持っている」「権威がある」「地位が高い」「大きなことを成し遂げた」といった意味と解釈するだろう。
 しかし、真のすばらしさとはそんな表面的なことではない。
 目的意識、愛、無私の心、謙遜、感謝、優しさ、そしてもちろん、人間にとってもっとも大切な幸せがなければ、すばらしさは存在できない。
 私の考えるすばらしさとは、人生のあらゆる道を極めること、世界にポジティブな影響を与えることだ。すばらしい人は、単なる「勝ち組」とは違う。この世界の住人として万人から認められる人が、真にすばらしい人だ。
 あなたには、すばらしい人生を生きる価値がある。
 この本がそのお手伝いをしよう。

今日の目標 「昨日の自分を超える」

「自分を愛する」ということ

 心の平安を手に入れるにはバランスが必要だ。
 遊びと仕事のバランス、行動と忍耐のバランス、消費と貯金のバランス、笑いと真面目のバランス、去ることと、とどまることのバランス。
 人生のあらゆる側面でバランスが失われると、疲労困憊し、罪悪感をはじめ、たくさんの不快な感情に支配されてしまう。

 行動と忍耐のバランスを例に考えてみよう。
 大学の最終学年の研究プロジェクトで、あなたがリーダーになったとする。SNS上で仲のいいメンバーのひとりが、チームにあまり貢献していない。
 最初のうちは、あなたもそれを黙認している。しかし、そのような状態がずっと続き、そのメンバーの生産性が落ちてきたら、あなたはそのメンバーに、態度を改めないと担当教授に報告することになると警告するかもしれない。それでも相手があなたの警告を無視し、態度を改めなかったら、あなたはどうするだろう? それ以上の行動を取ることに、罪悪感を覚えるだろうか?
 優しくて思いやりのある性格の人であれば、相手を傷つけたくない、困らせたくないと考えるだろう。担当教授に報告したら、その人はもしかしたら単位がもらえないかもしれない。そんなことになったら、将来にも影響が出るだろう。
 とはいえ、その人はリーダーであるあなたを尊重せず、あなたの警告を無視している。あなたは自分の優しさにつけ込まれているように感じるかもしれない。それに他のメンバーも、リーダーは友だちをひいきしていると感じ、やる気をなくしてしまうかもしれない。
 この場合あなたが、親切で正直な人であり、さらに公正さを重視する人であれば、必要な行動を取ることをためらってはいけない。
 あなたはプロジェクトリーダーとしてベストを尽くした。それでも残念ながら、友だちはあなたの気持ちに応えてくれなかった。
 ここで行動を起こさなければ、あなたが心の平安を失ってしまうかもしれない。
 それに、他のメンバーからの信頼も失い、自分の成績にも影響が出るだろう。

 バランスを第一に考えれば、あなたの心は安らぎ、罪悪感のようなイヤな感情を避けることができる。
 行動か忍耐か、どちらかを選ぶ必要はない。 両方とも実行することができる。相手への理解と許しを示しながら、同時にきっぱりと権威を行使することは可能だ。

大切な人を想うように自分を愛し、最優先する

 それでは、これと自分を愛することは、どう関係するのだろう? 
 「自分を愛する」という表現はよく誤解されている。本当は「受け入れる」ことを促す言葉なのに、「挑戦しない言い訳」として使われることが多い。
 自分を愛することには2つの欠かせない要素がある。調和の取れた人生を送りたいのであれば、その2つの要素の間でうまくバランスを取らなければならない。
 1つ目の要素は、自分を無条件に愛することだ。ここでは「考え方」がカギになる。自分を愛するために、もっと痩せたら、美容整形をしてきれいになったらといった条件をつけるのは、本当の意味で自分を愛していることにはならない。
 たしかに、痩せてきれいになれば、以前よりも自信がつくかもしれない。しかし、本当の自己愛とは、ありのままの自分を愛することだ。
 もう1つの要素は、成長を目指すこと。ここでのカギは「行動」だ。自分自身と人生を向上させることも、自分を愛することにつながる。なぜなら、自分はよりよい人生を送る資格がある、平凡で満足する必要はないと認めているからだ。

 自分を愛することに関連して、他者を無条件に愛するということについても考えてみよう。たとえば、あなたのパートナーには困った習慣があるかもしれない。とはいえ、それが原因でパートナーへの愛が減るわけではない。あなたはそれも含めてパートナーのことを愛している。ときには相手の欠点から学ぶこともあるだろう。
 それに加えて、あなたはパートナーのためにいつも最高のものを望んでいる。だからその習慣がパートナーの健康を損なっているのなら、その習慣をやめられるようにサポートするだろう。これはパートナーへの無条件の愛だ。相手を厳しく批判するのではなく、ただ相手が最高の自分になれることを願っている。それは自分のためではなく、パートナー自身のためだ。
 自分を愛するとは、その感情を自分に向けることだ。
 自分のためになることを第一に考える。

 人生に価値を加えるものであれば、その中には必ず真の自己愛が存在する。食生活から、習慣や儀式、個人的な人間関係まで、この条件を満たすならすべて自己愛だ。
 そしてもちろん、自分を愛するうえで欠かせない要素は、受け入れることだ。
 ありのままの自分で満足する。
 その結果、自己愛があなたに力を与え、あなたを自由にするだろう。
 自分を愛することの本当の意味を理解すると、考え方と行動の間でバランスを取ることができる。
 考え方と行動の間でバランスが取れていれば、しょっちゅう地面に倒れ、道に迷ったりせずに、高い周波数の「バイブス(振動)」で生きることができるはずだ。このことについては、1章からくわしく見ていこう。

「自分を愛する」とは、ありのままの自分を受け入れることと、
「自分はもっと向上できる」と知って努力することとの間で、
バランスを取ることだ。

目次

Part 1 すべてのものに「バイブス」がある
Introduction 自分の意識しだいで世界は変わり始める
1 望む現実をつくる「グッド・バイブスの法則」
2 グッド・バイブスで生きれば、最高の人生が始まる

Part 2 ポジティブな習慣を身につける
Introduction ごきげんな状態を引き寄せるグッド・バイブスな行動を増やす
1 周りにポジティブな人を集める
2 表情や身体の動かし方を変える
3 ひとりの時間を持ち、張り詰めた神経をほぐす
4 インスピレーションを見つける…他

Part 3 自分を優先する
Introduction 自分を最優先できるのは、自分しかいない
1 自分の態度をふり返る
2 自分がごきげんでいられるパートナーを選ぶ
3 本当の友情を選ぶ
4 家族と向き合う…他

Part 4 自分を受け入れる
Introduction 自分のニーズを尊重し、他人をあてにしない人生をおくる
1 自分の見た目の美しさを認める
2 比べる相手は自分だけ
3 内面の美しさを大切にする
4 自分の成功を祝う…他

Part 5 夢を実現するマインドを持つ
Introduction 信じることを、人生の中心に据える
1 ポジティブシンキングの力を活用する
2 メンタリティがリアリティになる
3 潜在意識を理解する
4 思考を超える…他

Part 6 行動し、目標を現実化する
Introduction ビジョンを描き、進む
1 変化するには行動しなければない
2 簡単に見える近道を選ばない
3 結果を出したければ、努力し続けなければならない
4 「やり抜く力」を身につける…他

Part 7 すべての出来事に意味を見出する
Introduction 人生における苦痛が意味するものは何か
1 教えはくり返す
2 警告を見逃さない
3 人生の本当の目的を見つけ、魂を燃やして生きる
4 お金に対する態度を決める
5 本当の幸せを手に入れる

著者について

ヴェックス・キング Vex King
マインドコーチ、ライター、ライフスタイル起業家。楽観主義者、ビジョナリー、慈善家。生来のビジネスセンスとアート的クリエイティビティに、哲学的思考やスピリチュアルの知恵、ポジティブな姿勢で生きることの重要性を組み合わせて説き、成功を収めた。
ライフスタイル・ブランドの「ボン・ヴィタ」創業者兼オーナー。ボン・ヴィタは、自分に力を与える考え方、スピリチュアルの知恵、現実的解決を導くアドバイス、インスピレーションを与える物語、人生の教えなどを提供するプラットフォームである。
自らのポジティブな影響力を活用して「グッド・バイブス」を世界に広め、人々が能力をフルに発揮し、人生のあらゆる分野で偉大さを実現できることを目指している。
twitter @VexKing
instagram @vexking

桜田直美 さくらだ・なおみ
翻訳家。早稲田大学第一文学部卒。訳書は『できる人の考え方のルール』『誰でもできるけれど、ごくわずかな人しか実行していない成功の法則』(ともに、ディスカヴァー)、『フューチャリストの「自分の未来」を変える授業』『アメリカの高校生が学んでいるお金の教科書』(ともに、SBクリエイティブ)、『THE CATALYST 一瞬で人の心が変わる伝え方の技術』『THE CULTURE CODE最強チームをつくる方法』(ともに、かんき出版)、『SUPER MTG スーパー・ミーティング』『こうして、思考は現実になる』(ともに、サンマーク出版)など多数。






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