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おうちですぐできる!モンテッソーリ教育、レッジョ・エミリア教育に基づいたほめ方・叱り方のポイントを徹底解説

「子どもをつい怒ってしまう」
「ほめているのにうまくいかない」

このように、子どものほめ方・叱り方って難しい...と悩むお父さん・お母さんは多いのではないでしょうか?

本書は、今注目が集まっているプログレッシブ教育の代表格である「モンテッソーリ」と、近年最注目の「レッジョ・エミリア」を知り尽くした、オックスフォード児童発達学博士である島村華子先生による、エビデンスに基づく最先端の教育メソッドをほめ方・叱り方という「声かけ」に落とし込んだ画期的な子育てバイブルです。

この『モンテッソーリ教育・レッジョ・エミリア教育を知り尽くした オックスフォード児童発達学博士が語る 自分でできる子に育つ ほめ方 叱り方』の中から、おうちですぐに実践できるポイントを抜粋してご紹介します!

日本の子どもは「ほめ不足」で自己肯定感が低い?

昨今、諸外国に比べて日本の子どもは自己肯定感が低いと言われていますが、日本の謙遜文化による「ほめ不足」がその原因ではないかとも考えられています。

しかし、島村先生は、「非効率なほめ方や叱り方」が、子どもの自己肯定感の低下を招いている可能性があるといいます。

島村先生の経験談を例にあげましょう。

私が教員になりたての頃、早く文字を書き終わった子に対して「すごいね!早かったね!」とほめたことがありました。そのあと、この子どもは毎回のように一目散に作業を終わらせて私のところに見せにくるようになりました。
時間をかけたり、自分の好きなようにアレンジすることもなく、私にほめてほしいがために「早く終わらせる」ことだけに集中するようになってしまったのです。

このお話から分かるように、ほめるという行為で褒美を与えることは、無意識であったとしても、やり方によっては子どもたちの行動やモチベーションを外的にコントロールし、その子の本当にやりたいことの妨げになる可能性があります。
これは罰についても同じことが言えます。

では、子どものモチベーションを高め、自己肯定感を高める「ほめ方」「叱り方」とは、どのようなものなのでしょうか?

モンテッソーリ教育、レッジョ・エミリア教育とは

まず、この本のベースにもなっている2つの教育方法、モンテッソーリ教育レッジョ・エミリア教育の基本的な概念を紹介します。
最近は、これらに基づく幼児教室がひらかれるなど、日本でも注目され始めていますよね。

モンテッソーリ教育、レッジョ・エミリア教育ともに、子ども一人ひとりを生まれながらに能力をもち合わせたパワフルな学習者であるだけでなく、権利をもった一市民としてみなします。
これは、この2つの教育方法における支柱です。

ほめ方①

子どもを独立した市民として見た場合、大人は子どもの「自分でやってみたい」という自主性を伸ばすために、わき役に回り、子どもが探求心を満たせるような環境づくりに励むでしょう。
また、子どもを権利をもった市民として見た場合、大人は子どもの主張を尊重し、ともに学習者であるという謙虚な姿勢を忘れずに子どもと接するでしょう。

このように、大人の子どもに対するイメージが、子どもとの接し方だけでなく、教育理念や大人の役割に大きな影響を与えます。

それでは、大人のエゴのためではない、子どものためのほめ方・叱り方を解説していきます。

ほめるときのポイントと声掛け

まず、ほめ方には以下の3種類があります。

①おざなりほめ(perfunctory)
どういうところがどういうふうによかったのか具体性に欠ける、中身のない表面的なほめ方をする
例:「すごいね!」「上手!」
②人中心ほめ(person focus)
性格(優しさ・気遣いなど)・能力(頭の良さ・足の速さなど)・外見(顔・体形など)といった、表面上の特徴を中心にほめる
例:「優しいね」「頭がいいね」「かわいいね」
③プロセスほめ(process focus)
努力・過程・試行錯誤した手順を中心にほめる
例「がんばって最後までやりきったね」「失敗してもあきらめなかったね」「いろんな方法を試したね」

①と②のほめ方をしている、という方が多いのではないでしょうか。
実はこれらのほめ方はNG。
「おざなりほめ」「人中心ほめ」は、子どもがほめられることでしか承認欲求を満たせなくなったり、モチベーションやチャレンジ精神の低下を招いてしまいます。

効果的なほめ方は、③の「プロセスほめ」です。
では、ほめるときのポイントを紹介します。

1.成果よりも、プロセス(努力・姿勢・やり方)をほめる
能力や性格をたたえるのではなく、過程に言及して励ますことで、いろいろな方法をためしてがんばろうとするようになります。

2.もっと具体的にほめる
①のおざなりほめに足りないのは具体性です。具体的なフィードバックをもらうことで、次のパフォーマンスへのモチベーションがあがります。

3.もっと質問する
ほめる言葉を伝えるだけでなく、子どもにどんどん質問しましょう。親がどう思うかよりも、子どもがどう感じたか、どう思ったかが大切です。

以上のポイントを踏まえて、シチュエーション別に効果的なほめ方2つを見ていきましょう。

(1)お手伝いをしたとき

ほめ方②

「お兄ちゃん」だからというのは「〜すべき」という大人の勝手な期待の押し付けです。
お兄ちゃんらしく、お姉ちゃんらしくふるまわなかったら愛情がもらえないと考える可能性もあります。
自覚をもってもらいたいという大人の気もちもわかりますが、子どもにとっては大きなプレッシャーです。
色眼鏡を取り払って、その子自身が考えて行動してくれたことに対して声をかけてあげましょう。

(2)テストの点数がよかったとき

ほめ方③

「頭がいい」とおおげさにほめると、子どもの自信過剰につながり、努力をしなくなってしまう可能性があります。
よい結果が出なかったときには、子どもの自己肯定感が低くなったり、プレッシャーを避けるために失敗したときの言い訳を用意したりと、あまりよい効果はありません。
点数だけにとらわれず、その点数に到達するまでの子どもの準備や、実際に何を子どもが学んだのか、あるいはテストで具体的によかったところなどに焦点を置いて声をかけてみましょう。

叱るときのポイントと声掛け

子どもを叱ることは、社会適応に必要な知識やスキルを教えるために必要なことでありますが、罰を与えて子どもの行動をコントロールするために行うものではありません。
子育てにおいて、上手に叱るというのは、上手にほめることよりも難しいことです。

それでは、上手な叱り方の4つのポイントを紹介します。

1.「ダメ!」「違う!」をできるだけ使わない
子どもは、「ダメ」「やめて」「違う」といった言葉を聞き続けると、脳が脅威を感じて戦闘モードに入り、フラストレーションが爆発しやすい状態になります。そうならないために、「そうだったんだね」や「わかるよ」など肯定の言葉からはじめましょう。

2.結果ではなく努力やプロセスに目を向ける
子どもは能力ややり方を否定されると、自分には力が足りないからどうせできないという無力感を覚えるようになり、次は成功しようという意欲をなくしてしまいがちです。
ネガティブな評価なしに具体的にフィードバックを与えましょう。

3.好ましくない行動の理由を説明する
罰を与えたり、一方的な叱り方すると、子どもの意識がいかに罰を逃れるかということに向いてしまいます。
具体的な理由で説明をすることで、自分の行動を振り返り誤りを理解することができます。また、他の人への影響を指摘することで、相手を思いやる気もちが生まれるのです

4.親の気もちを正直に伝える
親自身が自分の気もちを正直に提示し開放することは、子どもが相手の感情を思いやるきっかけとなり、円滑な人間関係を築く力が身につくといわれています。
相手を批判したり否定したりせずに、「私」自身の気もちを中心に、自分自身がどう感じているか、またその理由は何であるかということを伝えましょう。

以上のポイントを踏まえて、シチュエーション別に効果的な叱り方2つを見ていきましょう。

(1)部屋を散らかしているとき

ほめ方④

子どもがおもちゃを片付けないというのは、よくあることだと思います。
まずは「だらしない」と決めつける前に、おもちゃの種類ごとに箱を用意するなど、子どもが片付けをしやすい収納環境を整えましょう。
また、大人の水準に合わせた片付けの完成度やスピードを、子どもに無理に求めないことも大切です。「片付け=怒られる」というマイナスなイメージができ上がってしまうと、ますます片付けは進みません。まだ一人で片付けができない子は、一緒に楽しく片付けをやることから始めてみましょう。

(2)なかなか宿題をしないとき

ほめ方⑤

宿題をなかなかしない子どもを見てついイライラしてしまうこともありますよね。
せかしたり、勉強するように言っても、もともとやりたくない理由(つまらない、わからないなど)があってやらないので、効果はありません。
まずは、宿題をするスペースや決まった時間を設けることで、やりやすい環境をつくることが大切です。過去にうまくいったときのことを話し合うなど、子どもの意見も取り入れて習慣化していくようにしましょう。

無理しない子育てを!

新しい命を授かり、親になるということは尊い奇跡であり、人生においての大きなイベントです。子どもをもつことでいままでに経験したことのない喜びや幸せを経験するとともに、子育てのイライラや不安を感じるのも現実でしょう。
親も人間です。全部完璧にやろうとする必要はありません。

今回は子どもをほめるとき、叱るときに意識したいポイントと具体的な声掛けの例をご紹介しました。しかし、たまに人中心に子どもをおおげさにほめたり、イライラして叱ってしまうことがあっても、子どもがダメになるわけではありません。
本書の中で島村先生が書いているように、日々反省・成長を繰り返しながら、自分にできることをできる範囲でやり、子どもをたくさん愛してあげればいいのです。

正解のない子育てに、日々奮闘するお父さんお母さんにぜひ読んでほしい本書『自分でできる子に育つほめ方𠮟り方』は、12万部を超えた話題の1冊です。今回ご紹介した以外にも、具体的な声掛け例やQ&Aなど、子育てに役立つ情報が満載です。
「わかりやすく実践しやすい」「気持ちがラクになった」とたくさんの感想をいただいています。
ビジネスの場面においても、部下の育成に役立つ内容ですので、子育てに限らず活用できる書籍です。
気になった方はぜひ読んでみてください!

▼8分でわかる『自分でできる子に育つほめ方叱り方』


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