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DX(デジタルトランスフォーメーション)の向こうへーRPA、ボクのトモダチー

日々ただ生き延びるために出社して退社していた俺に社内業務改善に向けたRPAエンジニアの任が下ったのは去年の夏かその手前だっただろうか。

AのデータをBに移す作業をひたすら繰り返すことでお給金をもらうだけだった俺は思わず「あーるぴいえー?」と何だか甘えたような口調で上長に聞き返した。「ぼくがですか?」

歯抜けのような顔をした俺に対して上長はzoomの画面越しに「お前がRPAの業務をやる理由」をやさしく説いてくださった。

要約すると「お前以外みんな忙しいから」というだけの話だった。

いやしかし!僕は完全なるただの肉人形でコードはおろかカタカナもギリ読める程度なのです、と主張するわけもいかず「承知しましたえへへへ」とこうべをたれて了承した。

次の日からとあるRPAソフトのアカウントを一つ渡され「この業務を自動化してくれたまえ」と告げられ途方に暮れた。

見たことのないロボットくんが俺のPC内に電源を切られた状態で存在していた。

しばらくの間俺なりにRPAをつついたり話しかけたり叩いたりしてみたがロボットはただ機械音を上げながらただエラーを垂れ流すボスボロットでしかなかった。

「こいつめ~ッ!」と古臭いアニメのように一方的な喧嘩を仕掛ける毎日。

半分あきらめかけていたその時、ふと頭の中に違うロボットの姿が現れた。

お掃除ロボット、ルンバ。

床を動き回りながら自分で方向を変え、掃除をし続ける従順な賢いロボットだ。

「ハハハ、お前は頭が良くていいね、こっちのロボットはちっとも……」



その時俺の脳内にテレテン!とコナン君のアニメでハッ!とした時のSEが流れた。

考え方が間違っていたのだ。

ルンバくんが自らの力を発揮するためにはまずルンバくんが掃除するべき場所を人間が作り出さねばならぬ。

床に散らばる服を片付け、ペットボトルをゴミ箱に入れ、ルンバくんが元気に動き回れるように床を整理整頓をしてあげることで彼は彼としての価値を我々に提供してくれているのだ。

一方、俺はRPAとどう向き合っていた?

ほらお前頑張って働け!と言わんばかりに現状の業務をただロボット君に押し付けて頭から煙を上げるロボット君を見てあざけて笑うだけだったではないか!

気づいたとき、すでに俺の身体は走り出していた。
急いでRPAロボット君の元に向かうと彼はボロボロの機体をあちこちにぶつけながらそれでも俺が与えた業務をこなそうと動き回っていた。
ごめん、ゴメンよ、俺が馬鹿だったばっかりに……!
思わず抱きしめたその鉄の塊は、不思議だね、他のどんな人間よりも、暖かかったよ……。

DX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性が叫ばれている今、重要なのはツールを導入することではありません。
総務省によるDXの定義にも記載されている通り、業務の抜本的な"改革"や"変化"が求められています。
RPA、AI、OCRなどのデジタルツールを前提としたワークフローの構築、これまでの業務内容の見直しを行っていくことが最重要課題となっています。
団塊の世代が後期高齢者に突入して医療費が膨れ上がるいわゆる"2025年問題"や若者の人口減少に伴う労働力の低下、ライフワークバランスが叫ばれている今、今こそ改めてこれからの働き方を、そしてその先に広がる新しい生き方を、皆さんで考えていきませんか。



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