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第一志望の最終面接で泣いた就活生の日記

第一志望の専門商社。社長の企業理念にひかれていた。扱う商品やサービス展開も好きだった。私の抱えていた苦しみを糧にして、新たな視点として働ける場所だと思っていた。どんな悲しみや苦しみも、その企業で活かせると思えば、目標や夢に転換できた。1年間思いをあっためてきた。熱すぎるほどに。大事に。

書類選考、第1次、2次面接とパスしてきて手ごたえを感じていた。私、やっぱこのフィールドにいるべき人間なんだ。
企業研究も抜かりなかった。人柄も評価された。
もう内定は間違いないな、なんて舞い上がっていた。

でも最終面接を終えると、そんな明るい未来は手の内からシュワシュワと消えてしまった。
私は、最終面接で泣いた。
圧迫だった訳ではない。むしろ、社長、副社長との雑談形式の和やかな面接だった。
面接では、自分の過去や経歴や、そこから抱いた夢を話した。感情的にならず。淡々と。そのときは涙は出なかった。抱えてた苦しみ自体を処理する思考回路は獲得していたから。

だけど、話の途中で、あの辛かった時期に寄り添ってくれた親への感謝の言葉を口に出した時、喉の奥がぎゅっと詰まった。目頭が熱くなった。
涙がボロボロ出た。理由は、お父さんやお母さんに、まだ「ありがとう」を伝えてなかったから。伝えていたら、すっきり落ち着いた引き出しにしまえたのだろう。
でも片付けていないから、その感謝を掘り出すと、芋づる方式に色んなものが飛び出てしまった。悔しかった。
それから、なんとなく、会話もうまくいかなかった気がする。ショックで勝手に、自分の幕が下りて、どこか腑抜けてしまったのかな。
人と接するのが怖くなった。思いっきり子供の私を出してしまった自分が、大人の偉い人とうまくおしゃべりできる自信が一気にしぼんだ。
私は。本当にあの会社に行きたかったのに。最後の最後で。バカチン。

後悔も反省も、それに対する言い訳も、たくさん浮かびあがってくるけど、今はそれらに真剣に向き合いたくない。そんなことをしたらつぶれてしまう。まだまだ就活は続くんだから。切り替えよう。切り替えよう。自分の精神バランスを優先する。
大丈夫。大丈夫。大丈夫。私は大丈夫な子。なくしてしまったのではなく、捨てたのだから、探したって仕方ない。もう描いてたものはどこにもない。もう終わったんだ。次。未来や過去ばかり見るから、憂鬱になる。現在をみよう。

そう自分に言い聞かせて寝ることにした。

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