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7つのメダルと願いと現実

タロウは、おじいちゃんから聞いた不思議な話に胸を躍らせていました。7つの特別なメダルを集めると、一つの願いが叶うというのです。友達のハナコは、タロウの話を聞いて
「またこの話か…」
と呟きつつも、メダルレーダーという不思議な装置を貸してくれました。

必要なメダルは「金メダル」「珍メダル」「竿メダル」「玉メダル」「いなりメダル」「海綿メダル」「マスメダル」の7つ。タロウは上から順番に探すことにしました。

金メダルを探していると、ある家の前でメダルレーダーが反応しました。タロウはピンポンを押し、出てきた家の人に説明しました。
「怪しい者ではありません。金メダルを探しているんです。入れてもらえますか?」

家の人は少し驚きましたが、タロウの真剣な顔を見て了承しました。家の中を探し回ると、リビングのソファの下に隠れていた金メダルを見つけました。タロウが手に取ると、金属的でありながら温かみのある低い声で
「カンガルーは後ろに歩けないのだ」
と語りかけてきました。興奮しながら家を出ると、家の人が呟きました。
「またこの話か…。」

次に珍メダルを探す際、メダルレーダーが別の家を指しました。タロウは再びピンポンを押し、同じように説明しました。
「怪しい者ではありません。珍メダルを探しているんです。入れてもらえますか?」

家の人は少し困惑しましたが、タロウの真剣な顔を見て了承しました。家の中を探し、冷蔵庫の裏で珍メダルを見つけました。珍メダルが
「バナナは果物ではなく、ベリーの仲間なのだ」
と話すと、タロウは感心しました。外に出ると、家の人が呟きました。
「またこの話か…。」

竿メダルを探す家でも、タロウはピンポンを押して説明しました。
「怪しい者ではありません。竿メダルを探しているんです。入れてもらえますか?」

家の人は少し警戒しましたが、タロウの真剣な顔を見て了承しました。洗濯機の中で竿メダルを見つけたタロウは、メダルが
「蜂は五つの目を持っているのだ」
と語るのを聞いて驚きました。家を出ると、家の人が呟きました。
「またこの話か…。」

友達のハナコに会うと、タロウはメダルの話を始めましたが、ハナコは
「まだやってんの?」
と呆れたように言いました。

玉メダルのレーダー反応は、ある家の2階を指していました。タロウは階段を上がり、ピンポンを押して説明しました。
「怪しい者ではありません。玉メダルを探しているんです。入れてもらえますか?」

家の人は少し不安そうでしたが、タロウの真剣な顔を見て了承しました。お風呂場のバスタブの中に玉メダルを見つけたタロウは、メダルが
「人間の骨の約4分の1は足にあるのだ」
と話すのを聞きました。家を出ると、家の人が呟きました。
「またこの話か…。」

いなりメダルを探す家では、レーダーが書斎を指していました。タロウはピンポンを押し、
「怪しい者ではありません。いなりメダルを探しているんです。入れてもらえますか?」
と説明しました。

家の人は少し疑わしそうでしたが、タロウの真剣な顔を見て了承しました。古い本の間に隠れていたいなりメダルを見つけたタロウは、
「ピカソの本名は23文字もあるのだ」
と話すのを聞いて感心しました。外に出ると、家の人が呟きました。
「またこの話か…。」

海綿メダルのレーダー反応は、ある家の庭を指していました。タロウはピンポンを押し、
「怪しい者ではありません。海綿メダルを探しているんです。入れてもらえますか?」
と説明しました。

家の人は少し戸惑いましたが、タロウの真剣な顔を見て了承しました。庭で犬小屋の下に隠れていた海綿メダルを見つけたタロウは、
「オットセイの鼻の穴は、潜水時に閉じることができるのだ」
と話すのを聞きました。家を出ると、家の人が呟きました。
「またこの話か…。」

最後のマスメダルを探す家では、レーダーが台所を指していました。タロウはピンポンを押し、
「怪しい者ではありません。マスメダルを探しているんです。入れてもらえますか?」
と説明しました。

家の人は少し驚きましたが、タロウの真剣な顔を見て了承しました。食器棚の奥に隠れていたマスメダルを見つけたタロウは、
「ハチドリは後ろ向きに飛べる唯一の鳥なのだ」
と話すのを聞きました。家を出ると、家の人が呟きました。
「またこの話か…。」

7つのメダルが揃った瞬間、まばゆい光に包まれ、突如として猫を抱いたタキシード姿のオッサンがワイン片手に現れました。オッサンはワインを少し口に含んでから流れるようなテンポで言いました。
「よく7つのメダルを集めたな。願いを言ってみろ」

タロウは緊張しながら言いました。
「生活保護と障害年金の貰い方を教えてください」

オッサンは眉をひそめ、
「願いが二つになってるな。まあいいか、どうせ目的は一つだろうからな」
と呟いてから、猫を撫でながら答えました。

「まず、生活保護だが、これは生活に困窮する方を対象とした制度だ。住んでいる地域の福祉事務所に相談に行くことから始まる。福祉事務所で面談を受け、収入や資産、健康状態などについて詳しく聞かれる。その後、担当者が家庭訪問をして生活状況を確認する。要件を満たしていると判断されれば、保護の開始が決定される。」

タロウは驚いて聞いていましたが、オッサンの話を聞くうちに、少し面倒くさそうな顔になりました。オッサンは構わず続けます。

「生活保護では、生活扶助、住宅扶助、教育扶助、医療扶助、介護扶助、出産扶助、生業扶助、葬祭扶助の8種類の扶助があるんだ。例えば、生活扶助は食費や光熱費などの日常生活費、住宅扶助は家賃、教育扶助は義務教育にかかる費用などだ。これらは最低限度の生活を保障するために支給される。」

タロウの目がだんだん泳ぎ始めましたが、オッサンは話し続けます。

「次に障害年金だが、これは障害の状態によって受給できる年金だ。障害年金には、障害基礎年金と障害厚生年金がある。まず、医師の診断書が必要になる。診断書には、障害の程度や原因、日常生活への影響などが詳細に記載されていることが求められる。その後、年金事務所に行って申請書類を受け取り、必要書類を揃えて提出する。」

「申請に必要な書類は、年金請求書、診断書のほか、戸籍謄本、住民票、年金手帳、マイナンバーが分かるもの、振込先金融機関の通帳のコピーなどだ。審査があり、認められれば支給が開始される。障害の程度は1級から3級まであり、等級によって支給額が異なる。」

タロウの顔には明らかに困惑の色が浮かんでいましたが、オッサンは熱心に説明を続けます。

「ただし、注意点がある。公的年金には『1人1年金の原則』というものがあってな、通常は1人で2種類以上の年金を同時に受給することはできない。ただし、65歳以降は特例で障害基礎年金と老齢厚生年金を併給できる場合もある。生活保護と障害年金の併給については、障害年金の受給額によって生活保護の支給額が調整されることもあるんだ。」

「さらに、障害年金を受給しながら就労する場合は、収入による支給停止に注意が必要だ。障害基礎年金は収入による支給停止はないが、障害厚生年金は一定以上の収入がある場合、全部または一部が支給停止になることがある。」

オッサンの説明が続くにつれて、タロウの顔にはますます面倒くさそうな表情が浮かび、ついに限界に達したようでした。

「うるさい!」
とタロウは思わず口に出しました。そのまま、めんどくさそうな顔をしながら去っていきました。

オッサンは少し驚いた様子でしたが、タロウの背中を見送りながら、静かに微笑んでいました。タロウは、現実的なアドバイスを胸に、新たな冒険へと踏み出すのでした。

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