きんいは… 【こちら覆面DI室 #055】
最近、担当交代となった、がん専門MRのPさん。
まもなく発売となる抗がん剤のヒアリングを行っていました。
「えー、この薬のきんいですが、
1番目は妊婦または妊娠している可能性のある婦人、2番目は授乳婦、
そして、きんいの3番目は本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者、
となっています...」
この彼、禁忌を「きんい」と読むので気になって仕方ありません。
ヒアリングのときって、会社でプレゼンの練習をしてきますよね。
練習って、上司とか同僚が聴講して、
「そこはこうやって説明すべきだ」とか議論するのでは?
僕らも学会発表の前は予演会をやって、
いろいろ突っ込まれて、プレゼンを完成させていきます。
予演会をやっていれば、「きんい」には誰か気付くでしょ。
間違いを指摘してあげるべきか考えているうちに、
プレゼンはどんどん進んでいきます。
で、質疑応答の時に
「きんきは、どうなってましたっけ?」
と、それとなく聞いてみたんですけど、
「きんいは...です」
と、何ごとも無かったかのように答えていました。
こりゃ本当にわかってないんですね。
ひょっとしたら、他業種から転職してきたのかな...
ヒアリング終了後に、そのPさんに、
「これって、きんきってよむんだよ。」
と教えてあげました。
Pさんは「?」の顔して帰って行きましたが、
今ごろ会社で調べてるかな。
Pさんは皆さんの会社の方かもしれませんよ。
予演会はしっかりとやりましょうね。
「こちら覆面DI室」は休刊となった週刊approach誌に連載されていました。そのコラムを少しだけ改編して掲載しています。
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