【DIR EN GREY 楽曲感想】『Withering to death.』
今回は5thアルバム『Withering to death.』期の感想を書いていきます。
『Withering to death.』期の活動状況
2004年
前作『VULGAR』では、以前から模索していた音楽性が一つの到達点を迎え、ヘヴィロックとV系特有のメロディアスさをうまく融合させ、DIR独自のスタイルを確立させることに成功させました。メンバーをして「自分にとっての一作目」と言わしめており、ここに新たなスタートを切ったと言えるでしょう。
以降は新作のリリースとツアーを交互に行うようになります。2004年3月にシングル『THE FINAL』をリリースし、その後「TOUR04 THE CODE OF VULGAR[ism]」が開催されます。7月にはツアー「TOUR04 KEEN UNDER THE SUN」を開幕直後、シングル『朔 -saku-』をリリース。10月にはツアー「THE MANIPULATED LIFE」が開催され、このツアーでは男性・女性・カップル限定のライブが行われるなど、新しい試みがなされました。
2005年
2005年に入ると、3月にツアー「TOUR05 It withers and withers」が開幕し、直後にアルバム『Withering to death.』をリリース。『VULGAR』で確立した「V系+ヘヴィロック」の音楽性を踏襲しつつ、『VULGAR』に欠けていた要素も補完された集大成のようなアルバムで、最高傑作との呼び声も高い名作となりました。
この時期から海外からの注目からも集めるようになり、ついに、5月にドイツのベルリンでヨーロッパ初の単独公演を行うことになります。6月にはヨーロッパ最大規模の野外フェスである「Rock am Ring」と「Rock im Park」に出演。7月にはフランスのパリでの単独公演、ベルギーでの野外フェス「Octopus Rock Festival」に出演と、いきなりかなりの大舞台での海外ライブが続きます。ただ、ベルリンの単独公演は盛り上がったものの、フェスについてはいまいちな反応だったようで、メンバー自身もかなり打ちのめされたようでしたね。帰国後、9月からは再び「TOUR05 It withers and withers」を開催。間にシングル『CLEVER SLEAZOID』をリリースしますが、それはまた次回の話。ツアーの合間に「Taste Of Chaos Tour Japan 2005」に参加し、海外のメタルバンドたちとの共演を果たします。
2006年
2006年に入ると、3月にアメリカでツアーを行った後、5月に『Withering to death.』の全米リリースが実現します。5月からはドイツ公演を含む「TOUR06 IT WITHERS AND WITHERS」が開催され、最中の6月に2度目の「Rock am Ring」と「Rock im Park」に出演。7月にはシングル『凌辱の雨』をリリースし、31日に約1年半にも及んだ「IT WITHERS AND WITHERS」ツアーの締めくくりとして、5年ぶりの日本武道館公演が開催され、チケットがわずか45分で完売したそうです。凄まじい勢いで海外デビューを果たした当時、国内での注目度も高かったということなのでしょう。ワールドワイドなバンドとしてのDIR EN GREYの道のりはこの時期から始まりました。
一方、こういった華々しい経歴とは裏腹に、この頃のメンバーの精神状態はボロボロで、解散一歩手前まできていたという話も聞きますね。特に京さんはこの頃からライブでも自傷行為を行うようになっていますが、単なるパフォーマンスの域を超えて、本当に辛い状態だったことが推察されます。今になって思えば、ここまで長寿のバンドになれたのは、ある意味奇跡なのかもしれないなと思います。
THE FINAL (2004.3.17)
16thシングル。c/wは「INCREASE BLUE」「RED…[em]」「THE ⅢD EMPIRE」のライブ音源です。「TOUR03 OVER THE VULGAR SHUDDER」のファイナル公演で先行披露された楽曲のようで、そのタイトルから解散説も囁かれていたそうですね。ちなみにタイトルの「THE」は読まないそうです。(曲の中ではちゃんと読んでるんですけどね笑)
1 THE FINAL
キャッチーなミドル曲で、もはや虜にとっては説明不要といっても過言ではない名曲ですよね。メンバーからもファンからも大切にされているDIRの代表曲です。まさに「痛み」に対するバンドのスタンスを感じ取れる曲だと思います。
アコギの単音フレーズが印象的なイントロに始まり、最初は静かですが、終盤に進むに連れてどんどん盛り上がりを見せていく構成になっています。一つ一つのフレーズは暗くて痛ましさも感じるんですが、トータルで聴いた時にどこか前向きさも感じられるのが、DIRならではの秀逸なアレンジだと思います。
楽器隊は個々の色を出すよりは、メロディの美しさを際立たせるのに徹しているような印象があり、その意味ではバンドの一体感を感じられる曲だと思います。音は重たいんですが、歌とともに綺麗に流れていくと言いますか。終盤の畳み掛けは本当に美しくて、どの音を聴いても泣けてきます…
肝心のボーカルですが、これがまた絶妙なんですよね。序盤は囁くような歌い方ですが、サビでは力強く、でもどこか悲しげなのがグッときます。1サビ後の絞り出すようなシャウトも良いですね。ラスサビでは張り裂けそうな声で高音を出しています。悲しみの表現が本当に上手いと思います。
歌詩はタイトル通り、「終わり」を感じさせるようなものになっています。全てを失って、生きる意味も感じられなくなって死に至る。でもなんとなく、何かが始まるような僅かな希望も感じ取れます。「I can't live」が歌では「I can live」に聴こえるんですが、単に発音の問題なのか、わざとなのか…
この曲は2013年にリメイクされますが、感情表現という意味では圧倒的に原曲が勝っていると思います。このギリギリ感はこの頃にしか出せないと思います。 ライブではサビで手を上げるのがお決まりで非常に一体感がありますね。あと、ラストの「咲かせよう」がロングトーンになるのが定番です。
朔 -saku- (2004.7.14)
17thシングル。c/wは「Machiavellism」とSE曲である「G.D.S.」の2曲です。「Machiavellism」も「朔 -saku-」も「TOUR04 THE CODE OF VULGAR[ism]」で先行披露されていました。なお、表題曲「朔 -saku-」のMVは、2006年にアメリカMTVの<HEADBANGERS BALL>の視聴者投票による《トップ25メタル・ビデオ》で、首位を獲得するという、日本人初の快挙を成し遂げました。
1 Machiavellism
Toshiyaさん原曲のロックンロール調のナンバーです。表題曲を差し置いて1曲目に配置されており、「c/w曲=オマケ」という扱いを回避できるような工夫がなされています。Dieさんによる鬼のカッティングと高低入り混じるボーカルが特徴的なクールな曲で、私のお気に入り曲です笑
当時はヘヴィなリフで攻める曲が多かったですが、この曲はどちらかと言えば軽快なリズムの上で鋭利なサウンドが舞っているような印象で、踊れる曲という感じですね。Bメロで急に繊細なメロディになるのも面白くて、道化を演じていた人物が急に本音を覗かせるような二面性を感じますね。
この曲はやっぱりDieさんのカッティングがカッコいいですね。ほぼ全編に渡って右耳に刺激を与えてくれます。随所に入ってくるチョーキング音もクールです。あとは原曲者の影響か、ベースがかなりイニシアチブを取ってる印象で、曲の「跳ね」感を作り出しているように思います。
京さんのボーカルはかなり多彩ですね。低音と高音の使い分けが特徴的で、サビでは低音と高音が交互に出てくる構成になっています。低音は冷笑的な感じですが、高音は感情が切迫感がありますね。裏声も随所で登場し、2回目の「my comeuppance & your ignorance」は子どもみたいな声で歌っています笑
歌詩は自傷行為がテーマになっていますが、不自然にハイな感じがあり、「何も分かってない」世間に対する冷笑も込められていそうに思います。「show timeなんざ俺には関係ねぇ…ハハ」というフレーズがありますが、自傷に対して演出的な意図を見出そうとする他者への反発とかだったりするんですかね?
この曲めっちゃ好きなんですけど、ライブではなかなかやってくれませんね…2017年のWitherツアーで1回聴いたっきりです。(2022年の25周年ツアーで披露されていましたが、私が行った日には当たりませんでしたね。)踊れて楽しい曲だと思うので、また聴いてみたいです。個人的には2013年のIN SITUのライブ映像が気に入っています。
2 朔 -saku-
凶悪なシャウトのパートと美しいサビのパートが共存するハードコア曲。「ザ・DIR EN GREYな曲は?」と聞かれたらこの曲を挙げる人も多いのではないかと思います。3分弱という短い尺の中にDIRらしさがふんだんに詰め込まれた代表曲です。
いきなりシャウトから始まって疾走しますが、曲の中で遅くなったり速くなったりを繰り返します。サビでは雰囲気がガラッと変わって儚くも美しいアレンジとなり、最後にまた疾走して終了。短い尺の中で目まぐるしく展開が変わりますが、全く唐突感がないのが秀逸だと思います。
ドラムが曲の緩急を見事にコントロールしてると思います。速いパートでのバスドラ連打、サビでは木魚のような平坦感、1サビ後の縦ノリ、ラストの裏拍連打など実に多彩です。ギターについては、ヘヴィリフも良いんですが、時々入る不協和音気味なクリーントーンが良い感じに気持ち悪くて好きです笑
ボーカルについてはやはりシャウトとメロディの対比が印象的です。シャウトは導入からしてキレッキレですし、曲のうるささとも相俟って非常に凶悪です。一方、サビはかなり高音域ですが、力強くかつ悲痛な歌声で沁みますね…また、ファルセットではありますがF5まで出ていて最高音を更新しています。
歌詩については、昔は戦争のことを歌っているのかと思っていたんですが、どちらかと言えば、誰かを踏み台にして生きていることに無自覚な連中がのさばる残酷な世界でも、お構いなしに月と太陽は何度も交わるし、それでも生きなくてはならないという普遍的な厭世感の歌なのかなと、最近は思っています。
この曲は代表曲ということもあり、比較的ライブでの演奏頻度が高い印象です。思い出深いのはDUM武道館2日目のWアンコですね。あのライブ自体、かなり良いライブだったんですが、最後に「お前ら元気やなあ」の一言でこの曲が始まってトドメを刺された感覚でした笑
3 G.D.S.
ライブの入場時に使用されるSE曲です。DIRのSE曲って、落ち着いた曲か不気味な曲が多いのですが、この曲はアップテンポなので、この曲から始まるライブはかなり高揚感がありますね。アンコール一発目で使用されることもあります。
トランス系?の曲調で、テンポ早めの四つ打ちで進んでいく中、時折、京さんのノイズ混じりの「気合い!」というシャウトが入ってきます。ライブではこのシャウトに合わせて客も「気合い!」と叫ぶのが慣習になっており、文字通り、気合いが入るような感覚になりますね笑
基本は打ち込みですが、最後だけバンドサウンドが入り、京さんのシャウトで締めくくられます。ここのShinyaさんのドラムが入ってくる瞬間が良いんですよね。まさにこれからライブが始まるんだという感覚になります。 ちなみにCD音源ではそのまま蝕紅の一発録りが始まります。
CD収録は2004年ですが、実際には『six Ugly』の時期からライブでは使用されているんですよね。激しいライブが志向されていた当時ならではのSEという感じがします。近年でも時々セットリストに入ることがあり、人気のSEと言えるでしょう。 そろそろこれを超えるアップテンポ系のSEも聴いてみたいですね…笑
Withering to death. (2005.3.9)
5thアルバム。前作『VULGAR』から約1年半ぶりのアルバムです。数あるアルバムの中でも評価が高い作品で、日本版『ローリング・ストーン』誌が2007年に選定した「日本のロック名盤100」では34位にランクインしました。おそらくこのアルバムこそが最高傑作だと思うファンも多いのではないかと思います。
0 アルバム総評
基本的には『VULGAR』で確立したヘヴィロックとV系的なメロディアスさが融合した音楽性なのですが、本作ではメロディのキャッチーさが増し、前作よりも間口が広がったような印象です。実際にシングルとしてリリースされた「THE FINAL」や「朔 -saku-」以外にも、シングルカットできそうな曲もかなり多いです。また、『VULGAR』には不足していた、落ち着いたバラード曲も収録されており、曲のバランスもかなり良くなりました。
また、『VULGAR』は曲によって「和」寄りの曲と「洋」寄りの曲にハッキリ分かれているような印象でしたが、本作では一曲の中で「和」と「洋」が綺麗に混ざり合っているような曲が多いです。そのため、以前はヘヴィロックの要素を「外部から異分子を取り入れた感」がまだあったのですが、本作では完全に自分たちのモノになっているように思います。一曲の中での要素が多い分、本作は展開が目まぐるしい曲が多いですが、そこもメロディのキャッチーさで聴きやすくカバーされています。
また、アルバム全体の流れもかなり綺麗ですね。もはやこの曲順以外ありえないんじゃないかと思えるくらいにしっくりきます。
そんな感じで、個人的にはかなり完成度の高いアルバムだと思うのですが、1点だけ、「音質」については惜しいなという印象です。『VULGAR』はクリアとは言えずとも迫力のある音だったと思うのですが、本作は音のバランスがあまり良くなく、特にドラム(特にスネア)の音が他の楽器の音に埋もれています。本作は展開が凝っている曲が多く、全体的にドラムのフレーズがカッコいいので、もう少し迫力のある音で聴きたかったなというのが本音です。(一部『VESTIGE OF SCRATCHES』でミックスし直された曲もありますが、それでもなんか違和感があるなというのが個人的な感想です。)
歌詩については、前作以上に「痛み」を感じるフレーズが増えてきており、本作では特に、京さん自身が感じている「痛み」をそのまま言葉にしたような曲が多いです。他者や世の中との分かり合えなさや、そこからくる暴力的な思考、自虐・自傷に走るギリギリの精神状態など、以前に増して生々しい詩世界になっています。ライブでも本格的に自傷行為を行うようにもなり、当時の京さんのリアルな精神状態と連動した歌詩なのかもしれませんね。
数あるアルバムの中で、本作が「DIR EN GREY」というバンドの本質を最も理解しやすいアルバムだと、個人的には思います。ファンから人気の曲や、ライブの定番曲も多いですしね。「DIR EN GREYってどんなバンド?」というのを知りたかったら、まずこのアルバム聴くのが手っ取り早いと思います。
1 Merciless Cult
OPナンバー。不穏なオーラを放つハードなミドル曲で、アルバムの1曲目としてはかなり攻めた曲だと思います。儀式的な雰囲気が漂う中、静と動を繰り返しながら、自虐的な歌詩と悲痛な歌声が「痛み」を叩きつける、国内外問わず人気の曲です。
タイトル通りカルトな雰囲気が漂うSEからヘヴィなリフに繋がるイントロからして引き込まれますが、このリフもなかなか分厚い音で殴りかかってくる感じで圧倒されます。珍しくテンポ感は一曲の中で一定に保たれていますが、その中で表情豊かに静と動が繰り返されているイメージです。
ウィザの曲って音質が不評な印象ですが、この曲に関してはこの音がマッチしているように思います。ギターのリフの分厚さもそうですし、バスドラやスネアの響き方、静かなパートでのベースの生々しさなど、迫力ある音に仕上がっています。個人的には「繰り返し貫く」の部分のリズム隊の絡みが好きです。
京さんのボーカルも全体的に「ヤバさ」がありますね。静かなパートでは発狂寸前のような怖さがありますし、シャウトも苦痛を帯びた感じがします。「繰り返し貫く」の部分では不気味ながらも非常に綺麗なファルセットが出ており癖になります。「比較と比例の中」の部分は多彩な声がかわるがわる出てきます。
歌詩はなんとなく、京さん自身のことを歌ってると解釈しています。「此処に愛はない」と言いつつ、どこか他者や世界への期待を捨てきれていない自分を「ロマンティスト」と皮肉っているような。そんな執着によって、逆説的に無慈悲な世界の虜になっているというのがタイトルの意味なのかもしれません。
この曲はよくライブで演奏されているイメージですね。名曲揃いのウィザの中でも人気のある曲だと思います。縦ノリで思いっきりヘドバンできますし、サビではコーラスもあるので、ライブ映えしますよね。 CDではアウトロのSEがそのまま次のCに繋がります。
2 C
キャッチーなメロコア系疾走曲。DIRの曲では珍しい、クリーンボイスを主体とした速い曲ですね。メロディの美しさと、歌詩のクサさ(本人談)が相俟って、非常に「熱さ」を感じる曲で、ファンからの人気が高い一曲です。個人的にはウィザで一番好きな曲。
イントロからどことなく開放感があり、Aメロ、Bメロ、サビと、ヘヴィなサウンドの上に、少しアニソン的な雰囲気もあるキャッチーなメロディが乗ってきます。クリーンギターとメロディの絡みが美しいBメロで溜めてから、サビで「dead freedom」と一気に開けていく感じが気持ち良いですね。
この曲は全編に渡ってDieさんのギターがカッコいいですね。パワーコードのリフや、ブリッジミュート、クリーントーン、サビでのカッティングなど、多彩なプレイが魅力的です。あとはサビの8ビートのドラムも、疾走感があって心地良いですね。
京さんのボーカルについては、Bメロの「実際」とサビの「dead freedom」の高音が非常に美しい反面、他の部分はドスの効いた低音ボイスが目立ち、いずれも艶っぽい歌声ですね。ちょっと初期の歌い方を彷彿とさせます。所々シャウト混じりで、全体的に荒っぽさもありますね。
歌詩はクサさもありつつ、生きる気力をくれるような熱い内容です。表面的で中身のない「愛」が蔓延る世界を愛したいけど愛せない。せめてこの場では自分を曝け出して叫んでくれというメッセージを感じます。「C=視力検査マーク」という考察をどこかで見たんですが、なんとなくそれっぽいなと思っています笑
この曲は何度かライブで聴いたことがありますが、拳を上げて「dead freedom」と歌うのが熱いですね。DUMの武道館では「実際愛したい目の前のお前たちを!」と歌詩を変えていたのが印象的でした。 この曲を聴いていると、生きていること自体を凄く肯定される気分になり、なんか泣けてくるんですよね…
3 朔 -saku-
17thシングル。前曲の「C」から立て続けに始まります。アルバム版として再録されていますが、アルバム版はドラムの音がちょっと弱いので、個人的にはシングル版の方が好みですかね…
「Merciless Cult ~ C ~ 朔 -saku-」と3曲続けて畳みかけてくるあたり、このアルバムの攻めの姿勢を感じますね。
ただ、全体で見ると、この曲、ちょっとだけアルバムの中で浮いているような気もしなくもないです。このアルバムの激しい曲って、どこか泥臭さがあるんですけど、この曲に関しては、激しい部分も含めてかなり綺麗に仕上がっているというか。サビのメロディも、他の曲とは少し空気感が違うような気がします。当然、悪い意味ではなく。「dead tree」にも感じるんですが、焦点となる「痛み」のスケールが他の曲よりも大きいのかもしれません。
4 孤独に死す、故に孤独。
浮遊感のある、暗くてハードなミドル曲。個人的には「dead tree」と並んでウィザの核となる曲ではないかと思っています。ネガティブな歌詩と悲痛さが込められた歌声、どこか壊れた感じのバンドサウンドと、鬱々しさ全開の曲です。
歪んだアルペジオと静かなボーカルに始まり、ヘヴィなパワーコードとともに激しくなります。AメロとBメロはメロディアスですが、サビに入るとシャウトとファルセットが入り混じる狂気のボーカルワークが発揮されます。音は歪んでいますが全体的に浮遊感があり、どこか曇った感じの音像です。
サウンド面では、Bメロ(「目の前の君たちは~」の部分)で見られるギター2人の裏拍での単音フレーズのハモリがカッコいいですね。このちょっとリズムがずれている感じが、不安感を煽ってきますね。反面、ヘヴィなパートでは低音で思いっきり殴りかかってくるギャップも良いですね。サウンドすらどこか情緒不安定な感じがします笑
京さんのボーカルは、いよいよヤバいって感じですね。発狂寸前の静かな低音ボイスから、サビではシャウトとファルセットがごちゃごちゃに混ざり合ってカオスになっています。4回繰り返される「違うと願うのは後ろ向きの唯一の救いであり」は、4回目でもはやテクではない素の叫び声が披露されています。
歌詩は、ポジティブを押し売って無自覚に傷付けてくる人間に対する怒りと冷笑をぶつけています。「違うと願うのは後ろ向きの唯一の救いであり」という中二心くすぐられるセリフは、そんな人間たちと自分は根本的に違う生き物だと願うことで、少しでも安心していられるという意味かもしれません。
ライブで聴いて印象的だったのは2017年のウィザツアーの時ですね。「違うと願うのは後ろ向きの唯一の救いであり」という歌詩が一文字ずつ迫ってくる映像演出がカッコよすぎて鳥肌モノでした。リリース当時はこの曲の2コーラス目で京さんの自傷が始まるのが定番だったみたいですね。
5 愛しさは腐敗につき
落ち着いた雰囲気のミドルバラード。ウィザにあって『VULGAR』になかったのはこういう曲だったんだろうなと思います。京さんの静かな歌声と、寂しげな物語風の歌詩、単調ながらも儚げなサウンドがなんとも言い難い空虚感を与えてくる一曲です。
展開が忙しい曲が多いウィザですが、この曲は大きな展開の変化もなく、シンプルに歌を聴かせてくるような構成になっています。また、音も歪んではおらず、少ない音数とクリーントーンのギターで構成され、耳に優しいサウンドになっていますね。少し『MACABRE』の歌モノ曲っぽいなと思います。
こういう静かな曲になると、ベースの音がよく聞こえるのでいいですね。ゆったりと一定のビートを刻むドラムと同調するように、ベースが心地よい低音を奏でています。クリーンギターもメロディの儚さと相俟って絶妙な空虚感を放っています。歌詩の通り、誰かが虚ろに踊っているような雰囲気があります。
ここまでの4曲とは対照的に、京さんのボーカルもかなり落ち着いてますね。低めの音域だけでメロディが構成されており、DIRの曲の中でもかなり歌いやすいです。あくまで歌一本で勝負してますが、歌に虚無感があるというか、歌い方を崩さなくても確かな表現力を感じ取れるのが京さんの魅力ですよね。
歌詩についてですが、京さんのパーソナルな感情表現が多いウィザでは珍しく、物語的な内容です。字面を捉えると、身体を売られて絶望と孤独感に苛まれながら死んでいく少女の話、みたいに解釈してるんですが果たして…?なんとなく、現代というよりは近代的な古めかしさもちょっと感じます。
この曲はライブではマイクスタンドを前に踊りながら歌っている京さんのイメージが強いです。直近では「PHALARIS Vol.Ⅰ」で聴きましたが、しっとりとした気持ちで聴けましたね。昔は単調な曲だと思っていて、あんまり聴いていなかったんですが、最近になってこういう曲の魅力が分かってきました。
6 Jesus Christ R'n R
ヒップホップ的な要素とロックンロールの要素が混ざったノリの良い曲。ラップ調のメロディと皮肉の効いた歌詩が特徴的で、展開も声も目まぐるしく変わっていく面白い曲ですね。聴きやすさと複雑さが混ざったウィザならではの曲だと思います。
インド風な打ち込み音から始まり、ヒップホップのようなAメロとBメロ、ロックンロールのリズムにキャッチーなメロディが乗るCメロとサビと、展開が目まぐるしく変わっていきます。全体的に軽快でノリが良く、メロディも綺麗なので、構成の複雑さの割にはかなり聴きやすいです。
この曲はリズムの変化が面白いので、ドラムに耳が惹かれますね。ワウの効いた薫ギター、カッティングが軽快なDieギターと、役割分担もハッキリしていて聞き応えがあります。サビではうねりの効いた低音のリフも聴くことができ、パワーコードで攻める他の曲とはまた違った味わいがありますね。
ウィザは京さんの声の多彩さが活きた曲が多いですが、この曲は特にそうですね。ラップ調のメロディを歌っているのも新しいですが、何より「Ominous comnumication」のファルセットが非常に綺麗ですね。間奏ではエフェクトをかけて「ワウワウ」言ってみたり、遊び心も満載です。
歌詩は、常識に縛られて生きている人々への皮肉を感じます。「お前らの社会の中で俺は上手く笑えてますか」は京さんのシャウトも相俟ってめちゃくちゃ好きなフレーズです。 タイトルの意味は、社会の常識に雁字搦めにされた人々を、磔にかけられたイエスに見立てて、ロックだと皮肉っているのかもしれませんね。
この曲は2017年のウィザツアーで聴きましたが、ノリやすくて楽しかったですね。ただ、この曲の一番の聴き所の「Ominous communication」を、ライブでは歌わないのが非常に残念です。近年、あんまりライブではやってない曲という印象なのでたまには聴いてみたいところですね。
7 GARBAGE
刺々しさ全開のハードコア曲。短い尺の中で、目まぐるしく展開を変えながら疾走していきます。ガンガン攻めてくるリフ、変幻自在のボーカル、リズムパターンが何度も変わるドラミングが印象的で、私が学生の頃お気に入りだった曲です(今でも好きですが笑)。
曲構成がかなり複雑なので、文字で説明するのは難しいですが、サビ含め変拍子でメロディが際立っているパートと、シャウトでパンキッシュに攻めまくるパートが基軸となり、中盤ではヘドバンのパートもあります。この次から次へと素早く切り替わっていく感じがなかなか刺激的で、かなり癖になりますね。
サウンド面では上記の様々なドラムパターンの他、やはりリフの部分が耳に残ります。イントロをはじめ、多くのパートで使用されているリフですが、ユニゾンではなく、薫さん、Dieさんそれぞれで違うフレーズを弾いていて、そこにToshiyaさんのベースも絡んできて一体となっているのが美しいです。
京さんのボーカルについては、例によって様々な声質を使い分けていますが、基本的にどの声も荒々しく、クリーンボイスもかなりドスが効いています。その中で、「Whatever I may…」の部分の妙にファンシーなファルセットが不気味です。個人的には終盤の高音とシャウトの畳み掛けの部分が好きです。
歌詞はほとんど英語ですが、意味があるというよりは、自他問わず無差別に暴言を吐いている感じです。タイトルのごとく自身のことをゴミのように扱い、自暴自棄になって何もかも否定しているような感じです。「自虐…虐待…死ね…忘れたい…大嫌い」と続く「花びらゲームの数え唄」がなかなかに終わってて好きです笑
何回かライブで聴いた覚えがありますが、個人的には2013年のTABULA RASAが印象に残っています。当時かなり好きな曲だったので、聴けて嬉しかったですね。「Ladies and gentleman」の部分がグロウルになってパワーアップしていたのを覚えています。あと、カラオケで歌うとかなり楽しい曲だと思います笑
ちなみに最後の部分、ライブではDieさんの「Go back to doing」のコーラスとともにファンも叫ぶんですが、それが京さんの歌と重なり合う感じがめっちゃ良いです。
8 Machiavellism
17thシングル『朔 -saku-』のc/w曲。この曲もシングル版とアルバム版で音が違いますね。アルバム版の方が音の分離が良いのでギターのカッティングが綺麗に聴こえて好きなんですが、ドラムの音に関してはシングル版の方が良いと思います。
「Jesus Christ R'n R」と並んで軽快な曲ですが、暴力的な「GARBAGE」と荘厳な「dead tree」の間を取り持つ曲として最適だと思います。
9 dead tree
ウィザの核となるミドル曲。京さんのパーソナルな痛みを感じ取れる曲が多いウィザですが、この曲はもう少し普遍的というか、大きなテーマとしての「人間の痛み」と向き合った楽曲だと思います。鬱々しくもドラマチックな曲展開が特徴的です。
荘厳なSEに始まり、クリーントーンのアルペジオと囁くような歌声が虚無感を醸し出すAメロ、ヘヴィなサウンドと喉を壊しそうな悲痛な叫び声が響くBメロ、6/8拍子に変わり、壮大に痛みを歌い上げるサビと、シンプルながらドラマチックに展開していきます。起承転結が非常に美しい曲だと思います。
個人的にはAメロのアンサンブルが好きですね。跳ねるようなリズムの上で、踊るようにベースがうねり、LRのクリーンギターが不協和音気味に混ざり合ってるのが良い意味で気持ち悪いです。ヘヴィなギターも良いですが、この曲はやはりサビ含め、クリーンギターが要だと思います。
京さんのボーカルも非常に聴きごたえがあります。Aメロでは囁くように低音で歌っていますが、Bメロは本当に悲鳴のような叫び声で、痛みが直に伝わってきます。サビは、哀しくも高らかに歌い上げていて、ファルセットが艶やかに響いています。京さんの歌だけでも起承転結があるような感じがしますね。
歌詩は戦争を想起させるようなものになっています。「何故?何故?繰り返される」というフレーズが印象的ですが、戦争というのはあくまで「痛み」の象徴であって、傷つけ合いを繰り返す中で枯れていく心の嘆きを歌っているように思います。「Love, tenderness, freedom and peace」というフレーズが切ないですね。
この曲は節目となるようなライブでよく演奏されているイメージが強いですね。メンバーにとっても象徴的な曲なんだと思います。ラスサビの前の間奏で、京さんが教祖のごとく両手を広げているのが印象的です。ライブでは最後に無音の中強烈なシャウトをかましてくることが多く、それがまた心を抉ってきます。
10 THE FINAL
16thシングル。アルバム版では楽器の再録がされており、『VULGAR』の色が残る荒い音のシングル版よりも音がクリアになっています。個人的にはシングル版の方が生々しくて好きです。
「dead tree」の後に、アンセムとなるこの曲が配置されていることで、崩れ落ちた後にボロボロの状態の中でもう一度立て直す、という物語性を感じ取れますね。この曲自体も決して前向きではないんですが、「終わって始め直す」意志を感じられる曲だと思います。でも結局、次の曲でまたボロボロになるあたりがリアルですね笑
11 Beautiful Dirt
終始攻撃的なハードコア曲。各アルバムの終盤にあるような、シンプルに激しい曲ですね。畳み掛けるような凶悪なシャウトと、アグレッシブなユニゾンリフ、毒々しい暴力性を纏った歌詩など、攻撃性に特化した楽曲になっています。
慌ただしいシンセの音から、ヘヴィなリフとともに一気に疾走し、その後はシャウトのパートとサビを交互に繰り返し、最後は猛スピードで駆け抜けていきます。ほぼ全編通じて1種類のリフで押し切っていくような構成になっており、「シンプルに暴れられる曲」を意識して作られているように思います。
サウンド面では基軸となるリフが頭に残りやすくて良いですね。細かい部分ですが、終盤の疾走部分の直前にベースが「ベーン」と余韻を残すような音を出してるのが好きです笑 あとはドラムがカッコいい曲だと思うんですが、惜しいのがやはり音質ですね…もう少し力強い音で聴きたかったのが本音です。
京さんのボーカルについては、攻撃の矛先がそれぞれ違うことから、歌詩一節毎に別録りしているというこだわりっぷりです。かなりドスの効いた低音シャウトが放たれる反面、サビは不気味なファルセットから低音クリーン、高音クリーンと変幻自在ですね。終盤の怒涛のシャウトがブチギレてて好きです。
歌詩については、何かに甘えていることに気付かず強い気になって人を見下している人たちへの攻撃なのかなと解釈しています。しかしこの暴れ曲で「最高のバラードを送ろう」はかなり皮肉が効いていていますね…笑 さんざん暴言を放っておいてラストは自虐のオンパレードというのも京さんらしいです。
2018年にベスト版でリメイクされますが、音質は良くなったものの、原曲の刺々しさが少し和らいだ印象です。この曲は地味にライブで聴いてる回数が多く(リメイク含め5回くらい)、何かと縁がありますね。最後の疾走パートでめちゃくちゃ頭振れるのが気持ち良いです笑
12 Spilled Milk
リズムが変則的な、不穏さ漂うヘヴィロック。初期を彷彿させる耽美な雰囲気もありつつ、陰鬱かつ激しい曲です。目まぐるしく展開が変わり、ミドル〜ファストの間を行ったり来たりします。この曲を聴くと、アルバムも終わりが近いなという感じがしますね。
「Beautiful Dirt」から間髪入れず、いきなりヘヴィでスローなファルセットのパートから始まりますが、すぐにクリーンギター主体のファストなパートに変わり、サビでは3/4拍子になるなど、展開が忙しいです。全体的にはメロディアスですが、所々ドスの効いたシャウトも入る、二面性のある曲ですね。
サウンド面では、要所に入ってくる鐘のようなSEとDieさんのクリーンギターが、良い感じに和風ホラー感を出しており、焦燥感を煽ってきます。ドラムのリズムパターンも多彩で、特にサビのちょっと複雑なフレーズが格好良いですね。全体的に、荒い音と繊細な音が綺麗に混ざっているという印象です。
ボーカルについては、クリーンボイスが主体となっており、高音が非常に綺麗な、歌謡曲調の歌メロですね。個人的にはイントロと間奏に入ってくる、「So I want you for me to die」の低音ファルセットがめっちゃ好きです。2コーラス目のBメロでは、呟きからシャウトに変わるのが狂気的です。
歌詩は解釈が難しいですが、タイトルが「覆水盆に返らず」なので、取り戻せない過去がテーマなのは確かだと思います。字面通りに読めば中絶のことっぽいですが、過去の自分たちを求めるファンへの複雑な心境を描いているようにも見えます。ミルクって自傷で流す血のことなんじゃないかと思ったり。
この曲は2017年のウィザツアーでしかライブでは聴いたことがないのですが、あんまり印象には残ってませんね…私が好きな「So I want you for me to die」の部分はライブでは歌われないのが残念です。ライブでは最後にベースのソロパートで静かに締めるのが特徴です。
13 悲劇は目蓋を下ろした優しき鬱
Shinyaさん原曲の、鬱々しくもどこか優しさを感じるバラード曲。自殺したファンとのエピソードを元に書かれており、レクイエム的な曲です。歌もサウンドも、深い悲しみに引きずり込んでくる一方、子守唄のような温もりも感じる名曲です。
3/4拍子のゆるやかなリズムで、クリーンギターのリフとアコースティックギターを基軸に曲が構成されています。まるで海の中のような、暗いけど心地良い浮遊感があり、妙に浸ってしまうような鬱々しさがありますね。サビでは少しだけ激しくなりますが、無力感に苛まれるようなやり切れなさを感じます。
サウンド面では薫さんのクリーンギターのリフがお気に入りで、綺麗さと悲しさが絶妙に混ざり合ったフレーズだと思います。緩やかなベースラインとドラムのタム回しも、リスナーの耳に寄り添うような優しさがあります。Dieさんの12弦のアコギも、シンプルながら存在感を放っています。
京さんは終始低音域で囁くような歌い方をしていますね。感情の表出の仕方が激しい方向に向かうことが多いウィザですが、この曲では静かに悲しみを表現しています。サウンド自体が柔らかめの音ですが、京さんの声も、まるで曲の中に静かに溶けていくような柔らかさがあります。
歌詩は上記の通り、レクイエム的な内容で、悲しくも優しい言葉が多いです。「弱いままの君 君は君でいい」「今だけでもいい 生きてください」が心にくるものがありますね。「冬が眠るあの季節には花束を添えにゆくから」は聴くたびに泣けてきますね…歌詩をちゃんと聴くと少し辛くなってきます。
ライブでは「TOUR08 THE ROSE TRIMS AGAIN」のアコースティック版の映像が好きで、今でも時々見ています。スタジオ音源以上に繊細な音と、力強い歌声に引き込まれます。この時に限らず、ライブではラスサビで京さんが1オク上で歌うのですが、悲しくも何かが開けていくような解放感がありますね。
14 鼓動
ウィザのED曲にして、MVも制作されたリード曲的な位置付けの曲。デジタルな打ち込み音とバンドサウンドの融合が特徴的なミドル曲。絶望を抱えながら未来に追い込まれていくような歪な前向きさを感じる曲で、個人的には眠れないまま迎えた明け方に聴きたい曲です笑
呟くようなAメロ、メロディアスなサビ、ワウの効いた間奏のギター、一種のブレイクの後のシャウトなど、聴きどころ満載な割にシンプルに纏まっている印象です。暗さと明るさが共存していて、なぜその両方を感じ取れるのかを説明するのも難しいような絶妙なバランスで成り立っている曲だと思います。
サウンド面では、全編に渡ってバックで流れている打ち込み音が、リズムの基軸として良いアクセントになっていて、やや機械的なドラムの音とも合ってると思います。あとは、間奏のワウの効いたツインギターの絡みがめちゃくちゃ好きで、むしろここがこの曲の一番の聴きどころだと思ってます笑
京さんのボーカルは、情緒不安定のごとく、とにかく振れ幅が広いです。Aメロではポエトリーリーディングのような、気だるげな呟きを聴かせてくる反面、サビは非常に情感のこもった高音が聴けます。間奏後には、落ち着いた低音メロディからブレイクを挟んで、凄まじい迫力のシャウトをぶつけてきます。
生きて唄い続ける絶望感の中で独りもがいているような歌詩ですが、最後に辿り着いた「晴れ晴れしい朝よ 皮肉に-おはよう-」が、ウィザの総括のように思います。朝が来るたびに残酷な現実に直面しなければならない。私も朝ってどこか憂鬱なんですが、一般的には「始まり」の象徴とされているのが皮肉ですね。
この曲は新木場STUDIO COASTのファイナルライブで、最後に演奏された時のライブ映像が好きですね。一つのライブ会場の終わりという状況において、これ以上ないベストな選曲だったと思います。曲終わりに京さんが「コースト!」と名残惜しそうに叫んでいる姿にも、心打たれましたね。
最後に
海外デビューも果たし、ロック史にも残るような名盤を生み出すなど、メジャーデビュー以来の大きな波が来たDIR EN GREY。ここまではヴィジュアル系バンドとして名を馳せてきましたが、以降はメイクも落としてきいき、本格的に脱ヴィジュアル系を志向するようになります。
次回は問題作とも言われることの多い、『THE MARROW OF A BONE』ですね。海外進出の影響がかなり出ている作品で、バンドとしても次なる転換期を迎えることになります。
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