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心理的安全性がある職場とは?

おはようございます。
株式会社DIPS人事担当の小橋です。

以前、心理的安全性のつくりかたという本を読みました。
Googleのプロジェクトアリストテレスで注目されたこの概念は、単なる快適な職場環境を超えて、健全な衝突を促すものとして紹介されています。
日本の職場に特有の心理的安全性の4つの要素「話しやすさ」「助け合い」「挑戦」「新奇歓迎」に焦点を当てています。
これらの要素は、チームや組織が健康的な対話と成長を促進するために重要です。
また、チームリーダーに必要な「心理的柔軟性」と、これらの要素を活性化するためのフレームワークについても詳しく説明されています。
実際、実用的な方法が紹介されているので、実践されている方も多いのではないでしょうか。

弊社でも、心理的安全性に触れたことがあります。
そうすると、昭和世代(実際私もそうなのですが)、ぬるま湯な組織にしたくないという声もちらほら聞こえてきました。
なので、私自身も最初はそう感じてしまった事があります。


心理的安全性とは。

心理的安全性(psychological safety)とは、自分の意見や気持ちを安心して表現できる状態のことです。ビジネスシーンにおいては、上司や同僚に異なる意見を言ったとしても、人間関係が破綻したり、相手から拒絶されたりしないと感じる状態を指します。

心理的安全性という概念の提唱者は、ハーバード大学のビジネススクールで教鞭を執るエイミーC.エドモンドソン氏です。同氏は、1999年に発表した論文「Psychological Safety and Learning Behavior in Work Teams」の中で心理的安全性について言及。心理的安全性とは、対人関係においてリスクある行動をとったとしても、チーム内が安全であるという気持ちがメンバー内で共有された状態であると定義しました。つまり、心理的安全性が高いと、意見の対立があってもチーム内で安心して仕事に専念できるのです。

「心理的安全性」と「ぬるま湯組織」の違い

心理的安全性を「仲良しクラブ」や「居心地が良い」などの状態と混同してしまうと、本来の意味から逸脱してしまいます。ぬるま湯組織では、居心地の良さを維持するため、または他者との対立を避けるために自分の意見を主張しなかったり、相手の間違いを指摘しなかったりする状態が生じるのです。一方で、心理的安全性が高い組織では、意見の対立が見られますが、生産性を向上させるための活発なコミュニケーションが期待できるでしょう。

「空気を読む」という文化をもつ日本人は、間違っていると思いながらも、衝突を避けるために自分の主張を控える傾向があり、それにより生産性の低下やミスの発覚が遅れるなどの問題につながることが考えられます。心理的安全性は、仲良しクラブではなく、目的を達成するために忌憚なく意見交換ができる、目的意識の高いチームなのです。

心理的安全性が高い状態とぬるま湯組織の違いを表にまとめました。自分の職場やチームがどちらに該当するか、比較検討すると良いでしょう。

心理的安全性が注目されている背景

心理的安全性が注目されている背景には、2012年から4年間にわたりGoogleが行った「プロジェクト・アリストテレス」と呼ばれるプロジェクトが影響しています。このプロジェクトでGoogleは180のチームを選別して、効果的なチームを作るために何が必要かをリサーチしました。

その結果、効果的なチームに必要なのは、「誰がチームのメンバーであるか」よりも「チームがどのように協力しているか」であることが判明。注目に値するのは、個々の能力や働き方、仕事量、在職期間はあまり重要ではなかったという点です。

Googleの結論:「心理的安全性」が効果的なチームの根幹

Googleによると、チームの効果性に影響を与える要素を重要度の高い順に並べると次のようになります。

1:心理的安全性
チームの効果性を高めるには、「チーム内で自分の間違いを認める」「質問する」「違うアイデアを披露する」など、リスクある行動を取っても馬鹿にされたり、罰せられたりしないという安心感が必要です。

2:相互信頼
効果性が高いチームは、相互信頼が高く、質の高い仕事を時間内に達成します。一方で、相互信頼が低いチームは責任転嫁して、生産性が低下します。

3:構造と明確さ
チームの効果性を向上させるには、メンバーが仕事上で期待されていることや、それを達成するためのプロセス、個々の行動がもたらす成果について全員が理解している必要があります。目標を個人またはチームレベルで設定することが有効です。

4:仕事の意味
仕事の意味は、経済的な安定を得ることや家族を支えること、チームの成功を願うことなど人によって異なりますが、メンバーが仕事に対して目的意識を感じることが重要です。

5:インパクト
「自分の仕事には意義がある」または「自分がチームの目標達成に貢献できている」と感じると、チームの効果性が向上します。

心理的安全性のメリット

心理的安全性のメリットには、個人に与える好影響と組織やチームに与える好影響があります。

個人に与える好影響

心理的安全性が個人に与える主なメリットは3つあります。

個人パフォーマンスの向上が期待できる
心理的安全性の根底には、互いを尊重して認め合う精神が存在します。「自分の意見が尊重されている」という安心感が、価値観の共有や自己学習につながります。また、新たな気づきや発見がチーム内で醸成されることが、個々のパフォーマンス向上に寄与します。

情報共有がスムーズになる
心理的安全性が高まると不安を感じることなく発言できるので、様々な情報共有が可能です。メンバーの成功体験を横展開させたり、失敗体験を改善に活かしたりできれば、チーム全体の業務効率アップが期待できます。また、潜在的な問題をいち早く特定して解決に結びつけることも可能です。

業務への責任感が芽生えやすい
「自分のスキルや経験がチームの役に立っている」という自覚を持つことで、プロアクティブに業務をこなすことが可能になります。「○○を効率化するにはどうすればよいか」「チーム目標を達成するために、自分に出来る事は何か」など、一人ひとりが責任感を持って仕事に向き合うことで、切磋琢磨できる環境が構築されます。

組織やチームに与える好影響

心理的安全性が高まると組織やチームには、以下のようなメリットがあります。

業務の生産性向上が期待できる
心理的安全性が高まると、個人レベルでの仕事のやりがいや責任感が向上します。個々の集中力とパフォーマンスが向上し、結果として、チームレベルまたは組織全体の生産性が向上するのです。さらに、生産性の高いチームが作られることで、経営目標の達成などが可能になります。

企業イノベーションが生まれやすくなる
心理的安全性が高いチームでは、多様な価値観や能力、考え方、文化などが認められ、多種多様な人材が個性を発揮できます。ダイバーシティ経営が重要視されている昨今において、心理的安全性を高めることができれば、多様な角度からの意見や助言が活発化し、イノベーションの創出も期待できるでしょう。

離職率が低くなる
心理的安全性が担保されると、「このチームで働きたい」「この会社で自分のスキルを活かしたい」という気持ちが強まります。従業員のエンゲージメントを高めることで、優秀な人材の流出を防げます。労働力不足が深刻な問題となっている日本において、心理的安全性を高めて離職率を下げることは、人事戦略の重要な要素です。

問題の早期発見が可能になる
「失敗してもメンバーから見下されたり、非難されたりしない」という安心感から、自分が抱える問題やミスを認めやすくなります。経営陣やチームリーダーは問題が大きくなる前に状況を把握でき、トラブルリスクを最小限に抑えられます。また、コミュニケーションが活発に行われるので、ふとした会話や雑談から問題の解決策が見つかり、行き詰っていたプロジェクトがスムーズに進行することもあります。

心理的安全性を高める方法

私は、人事担当なので、人事担当目線で出来る事は下記のようになります。

OKRを設定する
OKRとは、「達成目標」(Objectives)と目標の達成度を測定する「主要な成果」(Key Results)を設定し、企業およびチーム、個人が同じ課題に取り組めるようにする目標管理手法です。まず企業全体の目標を設定し、次に企業目標を達成させるために必要なチームや個人の目標を細分化して設定します。企業とチーム、個人の目標が明確になるので、目標達成のためにチームが一つになり、協力体制を築きやすくなるのです。また、OKRを設定することで、メンバーは自分がチームの成果に貢献できたことを実感でき、チームが同じ目標に向かって業務に取り組むことで心理的安全性が高まります。
弊社の場合は、あしたのチームという人事評価制度を取り入れているので、MBOに近いものだと思います。

評価基準を適時見直す
評価制度の内容によっては、チームの心理的安全性を低くする可能性があります。例えば、不公平さを感じさせる評価基準の場合、チーム内で妬みが生まれ「昇進するために相手の足を引っ張るべきだ」と考えるかもしれません。また、成果のみを評価してランク付けする基準の場合、「評価を下げたくない」という理由から発言を控え、新たな挑戦をしなくなることも考えられます。心理的安全性を維持するためには、定期的に評価基準を見直しましょう。

ピアボーナスを導入する
ピアボーナスとは、会社からではなく、メンバー同士で報酬や贈り物ができる制度を指します。心理的安全性を高めるには、「自分はチームから認められている」という承認が重要です。感謝の気持ちを可視化してお互いの承認を表現することで、報酬を受け取る側と送る側、双方が心理的安全性を高められます。

サポート制度を強化する
新人がチームに参入する場合、少しでも早くチームに馴染み、仕事を覚えられるようサポート体制を充実させましょう。メンバー全員で新人をサポートするという風土が「チーム全員が重要なメンバーだ」という認識を育み、心理的安全性を高めます。

色々納得です。企業風土を変革していく。
その意識が必要なのかも知れません。

新しい若手社員に、もっと期待して、仕事を任せる、意見を交えていく。
自分本位でない意見を言う人をもっとフォーカスしていく。
それが大事なのかも知れません。