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エッセイ:スラム街に「帰省」して【ファベーラ滞在記】

今週もこんにちは。最近は仕事が忙しく、本が読めないという情けない状態。ちょうどこのマガジンも#10の区切りなので、今回はnoteをはじめたきっかけを書いて初心に返ってみたいと思います。

僕がnoteを始めたのは、2022年末、三年半ぶりに、ブラジルのスラム街(ファベーラ)を訪れたことがきっかけでした。

そもそも僕がファベーラを知ったのは、まだ学生だった2018年、卒論の現地調査に訪れたからです。スラム街という場所の雰囲気に圧倒されながらも、明るく強く生きている人たちの生活がまぶしく見えたことを今でも思い出します。

今の僕はアフリカと日本で半年ずつすごす変わった仕事をしていますが、その道を選んだのもブラジルで会った人たちのおかげです。だから(全額自腹&年末年始休暇は丸潰れしたけど)社会人としてブラジルに戻れたのは嬉しいことでした。

内心緊張していたけど、ファベーラの様子は三年前とそれほど変わっていませんでした。あの食堂が店を畳んだとか、電気屋や二階建ての家が増えたとか、Netflixが普及したとか、それくらい。でも、飲食店はコロナでほとんど潰れたようです。

三年前、一緒に鬼ごっこした近所の子供たちがびっくりするほど大きくなっていました(今回も鬼ごっこをしましたが、まだ僕のほうが早かったです)。下は子供たちと夜にお菓子を買いに行った時の写真。

とにかく日本人が珍しい場所なので、すれ違う人の三人に一人くらいが声をかけてきます。今回もそうで、近所の人たちと世間話をしていると、十五分の散歩が簡単に一時間や二時間になりました。

大体の人は元気だったけれど、一つだけとてもかなしいことがありました。僕が三年前にいた頃、よく通っていたメルカディーニョ(コンビニとスーパーの中間のような食品や日用品を売るお店)がなくなり、瓦礫の山になっていたのです。

取り壊しの理由は都市開発で、運河(上記写真)が整備されるとのことでした。店主のおばさんは当時、朝食を買いにくる僕のためによく特製のホットサンドを作ってくれました。また、どこかで会えるでしょうか。

今回の滞在中、「次はいつくるの?」とたくさんの人に聞かれました(これは途上国あるあるです)。僕は「三年後、2026年かな」と答えました。仕事もプライベートもあるけど、無理のないペースで、通い続けたいです。

自分が生まれ育った場所でもないのに、(また行きたいではなく)帰ってきたいと思うのは不思議です。それは「帰省」するような感覚で、海外でなくとも、多くの人にそんな大切な思い出、いわば原点があるのではないでしょうか。

書くことは、そうした原点にたえず立ち返って、もっと遠くへ、もっと深くへ手を伸ばしていくこころみであると思います。忙しい日々のなかで、原点を忘れがちな僕ですが、自分の気持ちを守って、書き続けていければと思います。

もちろん、それも読んでくださる方がいてこそですね。読んでくださってありがとうございました!

(おしまい)

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