2024年夏の花鳥画三点
先日、鳥同盟の長のこちらの御記事のコメント欄にて
「墨でカワセミ」を描きたいと口走ってしまい、長殿が「それならカワセミと蓮とか」とおっしゃったので、調子に乗って「墨でカワセミと蓮」をやることにしました。
私には他にも忘れてはいけない花鳥画の課題がありまして、それは「黒考良と紫陽花」、またの名を「コッコーラとダーリンさん」、またの名を「ハシボソガラスとアジサイ」。
この課題の元ネタは穂音さんの『ミズ・ミステリオーザ』シリーズなのですが、これまた数日前に穂音さんの『長夜の長兵衛』シリーズの七十二候「鷹乃学習」(こちらは長殿とのコラボだった)コメント欄にて
「また鷹を墨で描きたくなってきました」などと口走り、それなら花鳥画を三つ仕上げてみようか、と血迷ったアイデアが浮かんだのです。
鷹は今まで水墨ではオオタカとハイタカを描いていて、さあ今回は何にしようかと考えたところ、上記の長兵衛のところの銅十郎はクマタカだったけれど、私にもっと親しみがあるのはカンムリクロクマタカだな、と二年前の記事を思い出しました。
よし、今回の鷹はカンムリクロクマタカにしよう、一緒に描く花は何がいいかな、と迷いながら隣室に顔を突っ込み、何の前置きもなしにパートナーに振る工作員(上記記事の主題になっていますが、この鳥はチェコ語では鷹ではなく鷲です)。
「ちょっと邪魔してもいいかい?カワセミと蓮、ハシボソガラスと紫陽花、ワシと……?」
「……木蓮?」
ここでどうも、工作員の
「それをどうカンムリクロクマタカと合わせろって言うんだ」
という心の舌打ちが外に漏れたらしい。
すかさず
「牡丹、とか?」
と言い添えたパートナーの言葉に、工作員の目が光った。
ここで水墨画の上級モチーフ牡丹を出してくるとは、冴えてるじゃねえか!
ちなみにパートナーは花に関しても鳥に関しても大して詳しくなく、水墨画に関する知識なんてほぼゼロ。
オリエンタル工作員というはた迷惑な家人を抱えたのが運の尽きですな。
とにもかくにも今回の花鳥画はカワセミと蓮、ハシボソガラスと紫陽花、カンムリクロクマタカと牡丹に決定。
これらのモチーフと書道半紙の大きさに詰め込むのはどうにも窮屈、と思いまして、今回は条幅半切を三つに切って使うことにしました。
ということで大きさはいずれも35 x 45 cmです。
では、今回の墨で鳥、以下の三点となります。
カワセミと蓮は構図が横に流れた感があるのと、大きさ比をよく認識しないまま描き始めてしまったのが反省点。
この紙もすごく滲むタイプのもので、カワセミの頭も描いた瞬間はもうちょっと細かったし、黒考良ももうちょっとスリムな鴉のイメージなのですが、滲んだおかげで思いのほかふっくら。
今回はコッコーラには大人しく地面に留まってもらいましたが、彼女の賢い雰囲気が出ていればいいなあ、と思いながら描きました。今までの黒考良の中で一番気に入っています。
そして、初の墨でカンムリクロクマタカ。
この鳥が牡丹の側に寄ることなんてあるのかしらん、とは思ったものの、絵としてはなかなか良い感じに収まったかな、と思っています。
牡丹も牡丹だけの絵だったらきっと牡丹のイマイチさ加減が気になったところでしょうが、今回はカンムリクロクマタカくんがカバーしてくれている、ということで。笑
普段、水墨画を描くために墨を磨ると一つの課題を訓練しようと思って取り組むことが多いので、何枚も同じモチーフで描きます。
この描き方からして、まだまだ私には「墨で描く」という行為は「書の練習」に限りなく近く、他の画材とは捉え方が違うのだなあ、と思うのです。
今回は一点ずつ選んだモチーフを大切に描く、という気持ちで臨んだので、お見せした三枚以上は使わず、だんだん水墨画も「練習する」から「作品を作る」に移行していけたらいいなと思っています……が、今しばらく(何年かかるのかな?)生意気言わずに精進いたします。
今回の墨で鳥は以上です。
日本帰省に使わせていただきます🦖