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春ピグ2023への感謝状と拙作に関する覚え書き

先月私も作品を出品いたしました春ピリカグランプリ2023が先週末、結果発表をされ、華々しくフィナーレを迎えられました。

グランプリ運営委員の皆さま、ゲスト審査員の皆さま、本当にお疲れ様でした。
今回も素晴らしい掌編小説の祭典をありがとうございました。

ちなみにタイトルに使った「春ピグ」という略は、こちらの御方の発案であります。

こんな風にめろしゃん…じゃなかった、ゐゐゑお姉さまのように自選で贈る私設賞なんて設けられる器量は、とてもじゃありませんが持ち合わせておりませんので、独りよがりもいいところですが、作品の下に書きつらねたかった執筆にあたっての言い訳を、ここに改めて並べてみたいと思います。

ピリカグランプリへの参加は今回で三回目になりますが、以前は書いたら書きっぱなしだったので、たまにはこういう一人反省会も良いかなと試みてみます。
つまらなそうだなと思われた方は、文章をすっ飛ばして最後の水彩の新作だけをご覧になっていただければ嬉しいです。

今回の春ピグへの出品作品はこちら↓

えっと、最初に正直に書いてしまうと、いろいろルール違反してます、この作品。
そして(そんなにたくさんはいらっしゃらないとは思いますが)今までの私の短編小説を読んできてくださった方には、肩透かしを食らったような、「何でこんなのをグランプリに出品するのよ?」と突っ込みたくなるような作品だったかと思います。

まず、なぜ句読点を使わず詩のような形式にしたのかについて。
奇をてらったわけではありません。昨年末参加したあなぴりと今年一月に執筆したピリカ文庫で思い知ったのです、グランプリは私には圧倒的に文字数が足りない、と。
文字数制限のないあなぴりとピリカ文庫でのびのび書いて、「次のグランプリには参加できないかもしれない」と思いました。私は1200字で一つの世界を構築してストーリーを伝える力量など、持ち合わせてはいない、と。

そこで、このような抽象的な世界観を表現してみることにしました。
せっかく最近も、私の書くものは「煉瓦を積み上げていくような手触りのある文体」って、褒めてもらったのにね。
「あ、土俵に上がるの、諦めたんだな」って思われてもしかたがないかと思います。

「物語を書く」という条件のところに現代日本語として句読点のないものを提出するのはアリなのか、私には判断がつきませんでしたが、今回句読点を使っていない分、トータルの文字数は1000字を超えないようにしてみました。
ということで、これがルール違反その①。

次に作品の内容について。
今回グランプリが開幕した五月初旬(今も現在進行形で同じ状態ですが)、私の脳内の「フィクションを作る部署」が、現在執筆中の長編に完全占領されていました。並行してもう一つ、ひねりのある短編を絞り出すなんて、ほぼ無理な状態だったんです。

よっぽど参加をやめようかと思いましたが、いや、これでシレっと知らぬ顔で不参加って、ちょっとないんじゃない?今ウハウハ夢中になって書き進めている長編も、ピリカさんがお声をかけてくださったピリカ文庫がなかったら、そもそも始まってないわけで、これでピリカさんの一大イベントに参加しないってありえない…!と葛藤(ピリカさんもそんな義務感で参加してほしくはないと思いますが)。

そこで、自分のことを書くことにしました。
はい、これがルール違反その②。
「エッセイ不可」のところに自分の実体験を持ち込んでどうする。
でも起きたことをそのまま文字に起こしたわけではないから、これはセーフなのでしょうか。

ちなみに私は語り手のほうです。
「存在」も、まだ失っていません。
「存在」が主張するままに「存在」のことを見ようとしていない自分が嫌で、今回作品に託して心の中を洗い流してしまいたかったのかもしれません。


とまあ、何から何まで自分勝手な参加だったわけですが、拙作が加わらなかったら出品作品111本というゾロ目にはならなかったわけで、それだけでも貢献できたかな、と納得してみようとしています。

以上、春ピリカグランプリ2023出品作品に関する覚え書きでした。


『Poslední kamélie pro Marguerite Gautier』 Agave (Hahnemühle) 21 x 31 cm、水彩
今度こそ本当にデュマ・フィスの『椿姫』へのオマージュ。



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