大阪都構想最新の情勢調査について

今、私の最大の関心事である11月1日に投開票される大阪市廃止・特別区設置に関する住民投票、いわゆる大阪都構想である。

今日はこちらの記事を元に最新の情勢調査について、私見をまとめたい。

賛成、反対についてはほぼ拮抗。統計上ほぼ同程度と見ていいだろう。

問題は反対している方々の理由だ。

トップ3は以下の通り。

①「メリットが分からないから」 30・8%

②「大阪市がなくなるから」 (21・3%)

③「住民サービスが良くならないから」 (15・3%)

①については、行政改革自体の非常に難しいポイントを示唆している。松井市長が度々発言しているように、大阪府と大阪市には、かつて多額の負債を積み上げた所謂典型的な二重行政は解消されている。

一方で、大阪都構想の最大のメリットは二重行政の解消=広域行政の一元化、地域行政の細分化である。

大阪都構想を支持してきた人間には違和感のないロジックも、中間層からすればハテナが浮かぶ内容だろう。二重行政は今ないのに、都構想で少なくないお金を掛けて実施する改革の最大のメリットが二重行政の解消なのだ。今無いものを無くすことが最大のメリット。

ここの躓きが賛成派を一気に増やせない要因ではないか?と考えている。二重行政は今ない。が、それは大阪府知事、大阪府議会の過半数、大阪市長、大阪市議会の最大会派を”大阪維新の会”という広域行政は府に一元化すべきという一つの思想を持った集団が握っているから起きないだけなのだ。

具体例で言うと、新型コロナウイルス対策が挙げられる。

大阪では新型コロナウイルス対策は大阪府に一元化されている。コロナ関連の記者会見には毎回吉村知事が登場し、松井市長は出席しないか、吉村知事と同席という形で、あくまで裏方を貫いている。これが、例えば維新市政直前の平松元市長時代であれば、当時の橋下知事と方向性は揃わず、PCR検査体制もバラバラ、自粛要請や経済支援策は中身、投入時期がバラバラであっただろうことは当時の対立を知っていれば想像に難くない。

大阪維新の会が成し遂げたい大阪都構想とは二度と上記のような二重行政を復活させないことだ。

今の政令市という制度のまま、大阪市が継続すると大阪市は道府県の7~8割程度の権限と財源を保有した状態で府市対立を起こさぬようにしなければいけないが、そんなことは選挙結果を不正にコントロールしなければ不可能だ。

二重行政を選挙結果に頼らずに解決しようとすれば、現状の両組織が持つ権限を整理するしかない。

やり方は2つ。

①大阪市の権限を大阪府に移管する→都構想

②大阪府の権限を大阪市に移管する→特別自治市

大阪はその中枢性(どの程度市域外から経済活動を呼び込んでいるか?)がかなり高い。

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つまり、大阪市域の開発は大阪市以外の人々にもかなり関わってくる。そうすると、大阪市内の都合だけで開発の方向性を決めるのは非常に不都合が多い。基本的に方向性を決める政治家はその政策、行政方針によって恩恵を受ける人々の支持に基づくのが原理原則だ。なので、大阪市に全てを集中させる特別自治市は大阪市の状況に適っているとは言えない。

特別自治市は中枢性の低い上記マトリックスで言うと国土縮図型や副都心型と言われるグループに所属している市だろう。

日本という国の方向性を考える際に日本国民以外の支持が関与してはいけない(外国人参政権に反対する理由)のと同じロジックである。

②は情緒的な理由である。これを突き崩すのは難しい。例えば、ダム建設の際、いくら立ち退き料を積まれても我が村から離れたくないという層は存在する。ダム建設の時と違い、大阪という街自体は消えるわけではないのだが、それでも大阪市という名前に愛着がある、大阪市がなくなるのは嫌だという人がいることは否定できないし、説得も難しいだろう。

③が一番悪質である。この発端は都構想反対派の中心である自民党大阪市議連(府議連、国会議員も一部)と日本共産党が流布しているデマを信じてしまっているだろう。

彼らのロジックには重大な欠陥があるが、それを報じるメディアを私は知らない。大阪以外ではしばしば在阪メディアは維新寄りだと言われるが、大阪に住んでいればよく分かるだろう。実態は真逆、在阪メディアは明確に反都構想だ(辛坊治郎氏が在籍する読売テレビは番組による)。

ロジックの欠陥を解説するために彼らの主張を2つ紹介する。

①大阪市は市町村の行政区分としては最上級の政令指定都市である、政令指定都市でなくなるということは、イコール格下げであり、現状の政令市だから提供できている住民サービスが一部継続不可となるのは明白である。

②大阪市を廃止、分割することで移行コストが掛かるのは勿論、行政組織としてのスケールメリットが失われ、コストアップの要因となる。コストアップはするが、収入は基本的に増えないのでそのシワ寄せは住民サービスの削減である。

いくつか亜種のようなものは存在するが、主に上記2つの支流のようなもので基本的には住民サービスが下がる根拠は”格下げ”と”コストアップ”である。

この2つのロジックには明らかな欠陥がある。

①の権限に起因する住民サービス低下のロジックには過去の実績が明らかに欠けている。大阪市はバブル期、バブル崩壊後と放漫な財政で数多くの開発に失敗し、大きな負債を大阪市民に負わせ、それは増税ではなく、他の市町村が当たり前にやっていた住民サービスを実施しないことで穴埋めしていた。つまり、大きな権限は必ずしも住民に還元されないのである。

ちなみに、住民サービスの有名所は『敬老パス』、『塾代助成』、『給食費無料』、『18歳以下の医療費助成』だが、『敬老パス』以外は全て直近10年の維新市政で追加されたものだ。

②都構想に関わるコストアップについて、これは自民党大阪市議連の川嶋市議が試算した都構想のコストアップは3,000億円(15年の累積)その他イニシャルでも1,000億円を超える費用が掛かるとされているが、これは明確なデマである。

都構想に掛かるコストはイニシャルで240億円、ランニングで4特別区の合計で30億円/年と法定協議会で試算されている。これは住民投票で可決されると法的拘束力を持つものなので、川嶋市議のような根拠も自信もない数字とは違う。役人の手も入っており、業者への確認も当然なされている。

川嶋市議によって、無根拠に鉛筆なめなめ積み上げられたコスト増の元に語られる住民サービスの低下懸念など正に反対のための反対と言えるだろう。

大阪都構想は橋下元府知事が大阪維新の会を松井市長と立ち上げた頃、故堺屋太一先生をブレーンに招いた上で本格的に構想された行政改革である。

発想は至ってシンプルだった。広域行政をする組織が大阪府には2つある。一元化すれば、今まで出来なかったことが出来る、大阪は成長出来ると。

しかし、それはパンドラの箱だった。大阪市役所は利権にまみれた、公務員天国で、その甘い汁を吸う数多の団体が周りを固める恐ろしい組織だった。大阪維新の会は立ち上がり、敵と戦うことを決めた。あれから10年経った。この10年で我々は初期の政策ブレーンを務められた堺屋太一先生に大阪特別区を見せることなく、逝かせてしまった。

5年前に、今回同様既得権益側の多くの勢力が流布したデマによって、賛成票は反対票に僅かに及ばなかった。結果として、都構想が先延ばしになったことは勿論、借金まみれの住民サービスがほとんどない府市対立が恒常化していた大阪で絶望に下を向いていた大阪人に上を向かせてくれた偉大な政治家 橋下徹を失ってしまった。

あと1週間である。あと1週間で全てが決まる。

変えるより変えない方が楽に決まっている。だが、覚悟を決めて変えなければ二元行政体制は放置されてしまう。

大阪維新の会の選挙に強さに未来永劫頼る気か?

二重行政が復活した後に市民がいくら都構想を望んでも実現出来ない。

二重行政がなく、府市一体で取り組める今しか出来ない行政改革に是非あなたの一票を”賛成”に頂きたい。

以上

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