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【90年代の香り】劇場版『機動戦艦ナデシコ -The prince of darkness-』を映画館で見てきた

表題の通り、ナデシコの劇場版を映画館で見てきました。公開25周年ということで、池袋の映画館でリバイバル上映。監督のトークショー付き。

25年前の映画が、当時のフィルムで、映画館で見られるという贅沢な体験。東京ってすごいや。

この日のためにナデシコTV版も一気見しました。ギャグが容赦なくブッこまれるあの作風は、少し抵抗感はあったものの、作品全体としては嫌いじゃない。シリアスなムードらしい劇場版には期待してた。一瞬入る、ガチシリアスなナデシコは大好きだったので。


爆発のSEで感動しちゃう

最初の戦闘シーン。巨大な戦艦が並ぶ中、ロボが縦横無尽に駆け巡り、爆発が起きていく。90年代のSFロボアニメの戦闘シーンだなぁと思ってなんか感動してしまった。

こんなに愚直に宇宙での戦闘シーンが描かれることって最近ないからね…しかも、めちゃくちゃ映像のクオリティが高い。さすが、セル画末期の90年代末に作られた作品。どのシーンを切り取っても映えるクオリティだ。

完全に懐古厨なおじさんの発言で申し訳ないけども、戦闘シーンの爆発のSE音で感動してしまった。ボカーンっていう、地上でよく聞く爆発音を、宇宙用に少しアレンジしたようなあの音。昔のSFロボアニメで絶対聞こえた、あの音が聞こえるとそれだけで感動してしまう。


他にもビームの音やスラスターの音などなど、とにかく音も良い。映像と音のクオリティが高すぎるので、脳死で見ても満足出来てしまう。劇場版ってのはやっぱこうあるべきだよなぁ。


お祭り映画とシリアスを上手に混ぜている

TV版の続編なんだから、ということで主要キャラたちはみんな再登場している。ある種のお祭りアニメとも言えるだろう。

これって結構脚本を考えるのにはシンドいことだと思う。昔のキャラをそれなりに活躍する登場の仕方をしなくてはいけないという制限があるので。だから、そういった作品は根本のストーリーはあってないようなものになりがちなのだが…

今作品はしっかりとそれを回避できていた。新キャラも存在感を持てていたし、話の中の一要素として取り入れられていた。凄くよく練られた脚本だと思う。

これらを1時間20分に収めるために、若干ハイテンポな作品にはなっているが、むしろ現代人にとってはこれくらいのほうが見やすい。緩急をしっかりと付けてテンポを良くしているから、雑だなと思うこともなかった。


物語の大筋はシリアスではあるものの、TV版キャラの登場がいい感じにコミカルだから、「ナデシコらしさ」みたいなものを消すことなく、シリアスに緩さを混ぜ込めている。

あらすじだけ抽出しちゃうと、「人体実験された主人公が、転移装置に組み込まれたヒロインを救うために破壊しまくる復讐劇」とかいう、超絶暗い+ナデシコらしくない作品になっちゃうから、このバランス感覚はあっぱれな出来だと思う。


視聴後の余韻

この作品、シメ方が凄くいい感じだった。余韻が凄い。

正直、物語全体のラストとしてはルリルリが敵の本拠地にジャンプしてハッキングして終わりというかなりあっさりとした終わり方。アキトと山寺宏一キャラとの一騎打ちもあったけども、それも長尺使うというよりは割りとあっさり。

でも、ラストの一騎打ちの少ないセリフ、カットでの一瞬の決着。オイルの涙を流すエステバリスのカットでシメられた後、西部劇のように立ち去っていくアキト。それを見上げるルリとセリフでシメ。

そして、その後にこの曲とスタッフクレジットが流れるわけです。凄く余韻に浸れるいい終わり方だと思う。

ノスタルジーを感じる、いい曲だ。ああ、終わったなという寂しさを感じさせる。
因みに、この下書きを書いている深夜(午前3時)にリピートしているが、めっちゃ夜中に似合う。密かに作成している「夜中に流したい曲リスト」に追加です。


監督いわく

上映される前の監督のトークショーもかなり面白かった。この劇場版を見終わった後、思い返して一番印象に残った話を1つ。

当時の名プロデューサーであり、ナデシコの製作を担当していた、大月俊倫(キングレコードの元社長であり、エヴァなんかのプロデューサー)に、オフィスに連れてこられて、監督が見せられたもの、それは『逆襲のシャア』だった。

シャアの演説シーンを見せられて、コレだよ、コレ!と力説されたらしい。


まぁそれが実際にどれだけ影響を与えたかは分からないが、これは凄く納得できた。何となく、雰囲気が逆シャアっぽいのだ。あくまで雰囲気。
シナリオの流れとかは全然違うのに。当時モロに影響を受けていただろう、エヴァよりもそれっぽさを感じた。

どこなく薄暗い雰囲気。そんな雰囲気の中では逆に不気味な、明るくいつも通りな人々の生活。その裏側で、狂信的な思いを抱いて戦う人々。真のハッピーエンドにはならない展開。

果ては、EDの雰囲気も何となく似ている気がする。聞いた時に、感動とかよりも、寂しくなる感じとか。


まぁこじつけで、単にこの時代の劇場版はこういう作風だったと言えば、そうなのかもだけど。でも、トークショーで聞いたこのエピソードは振り返ると凄く印象的でした。


後は、監督のインタビューのときに、劇場版放映時(1998年)に、生まれてない人、って質問に2割くらいの人が手を上げていたこと。若い人も多くて嬉しかった(自分もそんなに年を変わらないけど)。
「良いもの」がしっかりと受け継がれていくってのは、嬉しいよね。

以上!


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