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【ブルアカ】古のオタクたちこそやってほしい、「古くて新しい」傑作ソシャゲ

以前少し記事を書いたが、『ブルーアーカイブ』というソシャゲにハマっている。

ここまでソシャゲのことが好きになっているのは自分の人生経験上始めてだ。
なぜ、このゲームがこんなに好きなのか。他のゲームと違うのか。
2周年ということで、マジで「始めるなら今!」なんで、ブルアカについて語ってみようと思う。

古のオタク向け

自分にとって、作品(コンテンツ)は2種類あると思っている。

誰にとっても面白い普遍的なものと、何か1つの作品を深く掘る「オタク」たち向けなもの。


ブルアカはどちらからと言うと後者だ。

もちろん、ストーリーそのものやゲームとしても面白いので、一般人がやってもそれなりに面白いと思う。でも、この作品はオタクのツボを的確に押しに来る。何かしら自分の今まで自分が経験してきた作品が、この時代にリファインされ蘇っている。
そんな感覚を経験させてくれる作品なのだ。

このスチル見たとき某F○teのセイバーVSライダーなんかを思い出しました…
『時計じかけの花のパヴァーヌ編』2章より


それって、悪く言えば、ありきたりな作品、既視感しかない作品とも捉えられる。でも、そうはではない。


古くて新しい

物語を作る上で大事なもの。
それをこの作品は分かっている。奇抜な演出や設定なんかは必要ではなくて、しっかりとキャラの魅力を丁寧に描き、そのキャラたちが物語を動かす。

このシンプルなルールをしっかりと守っている。
ブルアカのストーリーは評価が高いが、複雑なストーリーや大どんでん返しがあるわけではなく、至ってシンプル。
ピンチのヒロインを仲間と一緒に救いに行く。
はるか昔から何度となく、描かれてきた、普遍的な物語だ。

そういった意味では、「古い」作品ではある。でも、それは悪い古さではなく、時代が変わろうとも変わらない、「良さ」だけを残している作品とも言える。
それを自分は「王道」と言っているし、ブルアカはこれを真正面から描ききっている。


一方で、しっかりと現代に受けいられるために、演出として「新しい」ものがある。

世界感にリアルさを持たせる細かい演出だ。昔の作品にはなかった、「日常」に非常に重きを置いた描写。それは、この3thPVに思いっきり現れている。

生徒たちが登校していく様子を中心に描写している。当然すべて書き下ろしだ。すごい熱量があるPVだが、この熱量がぶつけられているのは、キャラではない。「世界観の描写」だ。


昔のオタク向けコンテンツって、描写の中心は「かわいい女の子」だったり、「ロボ」だったり。とにかく、非日常な存在が描写の中心だった。
もちろん、背景美術にこだわった作品はあったけど、それはマニアックなSF作品くらい(『オネアミスの翼』とか)。


一方で、ブルアカはこのPVにある通り、女の子が全面にアップになっているカットよりも、背景だけのカットのほうが多いじゃないんかと思うくらい、背景が描写の中心だ。

電車の電光掲示板だったり
買い物かごだけの描写だったり
電車の吊り革広告だったり
街中の風景だったり

しかも、単なる背景の描写だけでなく、どういう世界なのか、というのを詰め込んでいる。
砂嵐で電車が遅延する状況。
戦車が街中に駐車され、それに女子高生が乗っている。
コンビニのカゴにアサルトライフルの弾倉が入れられている世界。
これが日常な世界だということを本当に一瞬の描写で流していく。


もちろんかわいい女の子のキャラも登場する。だが、こちらにポーズを取っている絵ではなく、「彼女たちの日常」を切り取ったような絵が多い。

誰もこっちを見ていない
このカット好き


話自体は、銃で打たれても「イッタ~い」で済む、超人女の子が繰り広げるトンデモ学園モノなのだが、こういう描写をされると一気にリアルになって、作品への没入感が上がっていく。多少のファンタジー要素に冷めることがない。むしろ、この世界への興味関心が深まっていく。
「日常シーン」を、ファンタジーと乖離させることなく、逆に没入させる。

エヴァとかの時代からこういったのに近い描写はあったけど、ブルアカのそれは「新海誠」のものに近いかもしれない。

  • 背景描写の力を入れる

  • 音ハメ

  • 透き通るような世界観

このあたりはまさに新海誠が作り出したトレンドで、「新しさ」だろう。


なぜか感じるエロゲみ

ストーリーとしてはシンプルな学園モノで、別にエロシーンなんかもないし、なんならルート分岐もない。それなのに、なぜかエロゲみを感じる。「このヒロイン、絶対他のキャラ攻略してからじゃないとルート入れないキャラだよな」と思ってしまう。

シナリオライターが2000年代初期のエロゲに影響を受けていると公言しているだけあって、雰囲気が「セカイ系」のエロゲそのものだ。
話の構成も、
少女たちの日常
→不条理な選択、不幸を受け入れるヒロイン
→仲間たちと主人公がそれを救う
というセカイ系の王道展開がメイン。

主人公の存在

ここで、エロゲらしさを際立てる要素の1つが、主人公(プレイヤー)の存在だと思っている。ブルアカの主人公は、ソシャゲありがちな、モブ主人公に分類される主人公ではある。「先生」とキャラからは呼称され、名前を言われることはない。

だが、このモブ主人公がストーリーの中でしっかりと意味のある存在になっており、主人公の手によって物事が前に進んでいく。
主人公が「主人公」しているのだ。


自分はモブ的な主人公というのはあまり好きではなく、あくまで明確な名前があり、「キャラが立っている」主人公が大好きだ。でも、この「先生」と言われるブルアカの主人公は、モブであることが割りと作品上で大事な役割を果たしている。

キャラたちはみんな「生徒」であり、「少女」である。作品世界において実は「大人」は主人公以外存在していない。そんな世界において、少女たちを導く「先生」であり、「大人」の役割を果たすのが主人公(プレイヤー)となる。

抽象化(モブ)になっていることが、一種のメッセージになっているのだ。すごいヤツが少女を救う話ではなく、どこにでもいる大人(プレイヤー)が少女を救うお話、というメッセージをモブ主人公にすることで伝えている。


これ、実はソシャゲというプラットフォームに非常に合っている設定だなと思っており。エロゲは1つのソフト(作品世界)で、一度お金を払いインストールすれば、日常から切り離した体験ができる。

一方、ソシャゲは毎日のデイリー的な作業はあるし、ガチャでキャラを入手するためには場合にはよっては課金が必要だ。
日常から切り離した体験ではなく、日常の中に常に存在し続けなくてはいけない。

より没入感が必要というか、他人事感を与えてはいけない、という制約に非常にマッチしている気がする。


オタクの好きな演出

後は、オタクの大好きな演出がこの作品にはギッチリ詰まっている。

大事なところでかかるOPとか。
強キャラが強キャラのことをほのかめすシーンとか。
今までの仲間大集合とか。
エヴァフォントとか。

みんな大好きエヴァフォント

こういうオタク心くすぐる演出満載。

こういう好きな演出とかシーンについて語りだすとキリがないので、ここまでにしておく。とくに最新の4thPVがめっっちゃ良く、オタクこれ好きやろ、の固まりである。ヤシマ作戦とか好きな人はぜひ見てほしい。



マジで始めるなら今

ちょうど2周年になり、無料10連キャンペーンなんかも開催中。界隈的に過去最高潮の盛り上がりな気がするので、始めるなら今。

00年代エロゲ好きなオタクたちは、ぜひともやってほしいし、ここまでの記事で何かしら琴線に触れたものがある人は、触って損はないと思う。
長くなりすぎるから書かなかったけど、ゲームシステムや演出もよくできていて、ゲームとしても面白い。

超長文記事になっちゃったけど、古のオタクたちに進める「ブルーアーカイブのすゝめ」でした。

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