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未来の「価値」をモスに考えさせられた話

近所のモスバーガーに行った時のことを話したい。
目的は、ホリエモンが以前「和牛ブランドの価値低下を招く」と物申していた、『一頭買い 黒毛和牛バーガー シャリアピンソース 〜トリュフ風味〜』を食すため。

モス公式サイトより

今日の本題は、このバーガーのことではなく、モスの注文システムについて。半年ぶりくらいに来店したら、面白い変化があった。すごく近未来を感じてしまった。


最適解にたどり着いたシステム

店頭でまず目についたのは、新しく導入されたであろうセルフレジだった。
おお、と思った。

何気に、ハンバーガー界隈というのは、セルフレジの導入は遅かったと思う。牛丼チェーンは食券システムが前提に作られていたため、会計はかなり機械化されているが、今までハンバーガーチェーンでセルフレジが導入されているのを目撃する機会は少なかった。モスバーガーも然り。

何だか斬新な気持ちになりつつ、まずは座席確保のために2階へ。席を確保し、注文のためにもう一度下に降りるかと思ったその時。驚いたことに、2階にもセルフレジがあるではないか…!もちろんキャッスレス完全対応。

何のトラブルもなく決済が完了。じゃあ下で降りて出来上がるのを待つか、と思えば画面には「呼び出し機器を読み込ませください」的な文字が。なんとセルフレジの近くに呼び出し端末があり、それを会計時に読み込ませるのだ。そうすることで、自分の注文と呼びたし端末が紐付けられ、完成したら呼び出しされるようになる。

これには驚いた。このシステムは初めて見たかもしれない。普通、出てきた食券やらレシートやらをレジに渡して、代わりに呼び出し機をもらう、というのはあったが、まさか自分で呼び出し機に注文を登録するとは…


これは、店員から見たらめちゃくちゃ効率化されたシステムだ。店員が行うことは、商品を提供するだけ。会計も、料理の持ち運びも、全部顧客が行うわけである。

顧客からしても、レジ待ちの時間はないし、商品の出来上がりを待つ時間も自席でゆったり過ごせる。2階にセルフレジを置いてくれているおかげで、移動距離も差はない。関係者全員がWINWINな世界だ。すごく効率化されたシステム。ここまでやりきったのはモスだけな気がする。


差別化する注文方法

少し話は脱線するが、ハンバーガーチェーンの注文方法を見てみると面白い。各社様々だ。

ハンバーガーでセルフレジといえば、個人的な印象は「バーガーキング」だった。バーキンはかなり初期から導入していた気がする。そこは先進的で素晴らしいが、バーキンのあのセルフレジシステムには欠点があった。

バーキンの店舗は、多くの店が1階でレジと受け渡し口、2階が座席、というレイアウトになっていることが多い。だから、結局会計がセルフレジでスムーズに終えれても、1階のレジ前で立って待たなくてはならないのだ。


ちなみに、天下のマクドナルドは完全に別系統の進化を遂げている。
スマホアプリ中心のシステム構築だ。

マクドナルドは、店舗のレイアウトが座席とレジが別のフロアにあるパターンではなく、同じフロアに存在するほうが圧倒的に多い。つまるところ、レジの上のモニターでの呼び出しができる。

そこを前提に、セルフレジは一切おかず、モバイルアプリでの注文に誘導している。これも並ばずに注文できるシステムだ。席に座り、スマホに注文を入力、スマホで決済し、モニターに表示されたら注文を受け取りに一度だけレジに行く。

店舗のレイアウトの強みを活かした、これはこれで素晴らしいシステムだと思う。

モスやバーキンのようなカフェ方式の店舗レイアウト前提で言えば、今回のモスの仕組みこそが、最強なんだろうなと思う。


効率化によって訪れる未来

人の温もり、とかチェーン店に不要だと思っているので、こういう効率化は大歓迎だ。チェーンは安く、早く、快適に。別におしゃべりをしにモスバーガーに来ているのわけではない。

これが普通にハンバーガーを食べたくてモスに来店し、普通のハンバーガーを注文していたら、気持ちよく食べれていただろう。


だが、自分は変な違和感感じてしまった。
冒頭記載した、ホリエモンの苦言が頭をよぎってしまったのである。

「和牛のブランド低下」。もちろん、価格を下げるべくモスが様々な企業努力をしての結果だ。その努力の一環がこの決済システムであると思うと、なおさら反対すべきものではない。ありとあらゆるものが民主化される時代。和牛だって、特権階級のものではなく、庶民のものになるべきだ。

でも、こうもその「企業努力」によって和牛という高級食材の金銭的価値が低下している実情を見せつけられると、少しだけ、不安感が募る。ほとんどの店員が動かない効率化された導線によって、我々は高級牛肉を食す。物質的な価値は、効率化によりドンドンと低下していく。

今後迎える未来を想像して、ほんの少しだけ、ゾッとしてしまった。


こんな素晴らしい進化だと素直に受け入れられず、恐怖や抵抗感を感じてしまった自分に老いを感じつつも、出されたハンバーガーを食す。

モノの価値が限りなくゼロになっていくこれからにおいて、自分は何を生み出せるのだろうか。そんな問いかけを自分にしながら食べる黒毛和牛バーガーは、味自体は最高においしかったんだけども、それがかえって余計に自分を不安にした。

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