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ボカロPはいつから「プロデュースされる側」になったのだろうか

皆さん、ボカロと聞いたら何の曲が好きだろうか。2007年に初音ミクが発売されて多くの曲が作られてきた。2023年の現在においても、たくさんの曲が作られている。本当に、歴史あるコンテンツになってきている。

そんなボカロ曲の中で、自分の中で好きな曲って何と聞かれると、自分はどうしてもこの曲になってしまう。『みくみくにしてあげる♪』。自分の中でこの曲を超える曲に出会えない。原点にして頂点なのだ。


そんな懐古おじさんの、なんとなくボカロについてふと思ったこと。それを今日はツラツラと書いてみようと思う。
それはボカロPって存在の、「P」の意味が変化してきたよなということ。


ボカロPはプロデューサーだった

そもそもなぜ作曲者のことをボカロPというようになったのかというと、当時初音ミクが流行ったニコニコ動画において、圧倒的な人気コンテンツだっったアイマスの存在が大きいと思う。

アイマスは名前の通り、アイドルをプロデュースするコンテンツ。その二次創作を行うクリエイターも、〇〇Pといった形で、プロデューサーという名称を使われていた。そこに登場した初音ミク。

まだ全くキャラ付けもされてなく、クリプトン社が公表したプロフィール以外に何も設定がない状態。そこから様々なキャラ付けがインターネットでされていくことになる。未だにトレードマークになっている「ネギ」というミクのトレードマークも、このタイミングで作成された。

フィランド民謡をBLEACHの織姫がネギを振り回すネットミームからのコレ
複雑な経緯だ…


この時期のボカロは、まだオリジナルの曲が少なく、アニソンとかのカバーが主流だった時代。そんな中で、ポツポツと出始めるのが、初音ミクのキャラソン的な歌。そしてその代表格が冒頭に紹介した『みっくみっくにしてやんよ♪』だった。

まさに可愛らしい、初音ミクの魅力を全開でお届けするぜ!って感じの曲。凄くアイドルらしいし、多くの人がこの曲で「みっくみっく」にされたんだろう。初音ミクという存在がプロデュースされ、人気になっていく。その大きな起爆剤となった曲だった。


メルトショック

しかし、そんなキャラソン的な位置づけの曲ばかりだった初音ミク市場に1つの革命が起きる。それが『メルト』。

「初音ミクの曲」ではなく、等身大の恋する少女の曲。この曲において初音ミクは「シンガー」であり、ボカロPは作曲者であった。

そして、作曲者であるryoは「supercell」というバンドでプロの世界に羽ばたくことになる。世間一般的には、ネット発のクリエイターって米津玄師とかのイメージあるけど、自分としてはやっぱりsupercellなんだよなぁ。

この曲は「メルトショック」と言われるくらい、ボカロ界隈に衝撃を与えた。初音ミクというキャラを作るのではなく、初音ミクというシンガーを使って自分の世界を表現する。そうした流れが出来てくる。

因みに、この曲は「歌ってみた」動画の文化にも非常に大きな影響を与えている。ボカロを歌うという流れができ、それが人気になっていたのもここから。ryoさんマジ半端ないっす。ネット文化の影響度合いは米津玄師よりもデカいと思う。


人々を「プロデュースする」存在になっていった

そこからは皆さんご存知のとおり、色んなアーティストが彼女の曲やPVを作り、有名になっていった。プロになった人も、逆にプロが彼女とコラボしたり。

初音ミクは、ボーカロイドは、プロデュースされる存在というよりも、人々をプロデュースする側になっていった。インターネット文化の土台として、多くの人を支えてきた。

そんな初音ミクやボカロたちも、勿論好きだし、凄く良い文化だと思う。ChromeのCMとかもめっちゃ感動したし。

何より、そうして彼女たちもより大きくなった。一般人も知るような存在になっていったのは、こうした流れで、色んなPが世界に「プロデュースしていった」とも言えると思う。


でもやっぱり、個性豊かな最近のボカロが歌っている曲を聞くと、ふと思ってしまう。
それって、ボカロである意味があるのかなと。

いや、シンガーに依頼するよりも安価だし、ボカロというタグ付けがあれば多くの人に見てもらえるし…と多くのメリットがあるのは分かる。でも「人が歌えばよくねぇかぁ??」とも思ってしまう嫌な自分もいるのだ。

やっぱり「初音ミクが」歌う意味がある曲であってほしい。本当のヴァーチャル・シンガーである初音ミクが「自分の」曲として歌うような曲がいい。

そんな、本当の「インターネット・アイドル」を初音ミクに期待してしまっている懐古厨の戯言でした。そんな自分だから、一番好きな曲は「みくみくにしてやんよ♪」で、一番好きな動画はこれなんです。

以上!

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