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ぜんぶ試してわかった、リサーチ手法の最適解

「この調査テーマには、アンケートがいいのか?、インタビューがいいのか?」
「インタビューなら、実施方式は、グループがいいのか?、個人がいいのか?」

サービスを運営する事業会社で調査の仕事をしていると、このような、調査手法の「選び取り方」や「使い分け方」にすごく頭を使います。なんとなく会社の慣例や伝統で、いずれかの調査手法に固定されているケースが少なくないでしょう。

調査の仕事は、かける費用や稼働が少なくない割に、お試し無しの一発勝負です。調査業務を発注したり、調査ツールを導入する際、もし、それぞれの調査手法の特性を知らずに実施・導入して、運悪くコケたら自分も会社も大ダメージです。

そこでこの記事は、私が10年以上マーケティングリサーチ業務に携わる中で、実際に実務でよく使っている調査手法を8つに分類して、どんな調査手法があるのか?どんな風に使い分けているのか?などのコツを現場目線で紹介していきます。

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なおこの記事の内容は、海外調査を多く手掛けている世界へボカン・徳田さんとの対談動画として、YouTubeでもご覧いただけます!

「海外WEBマーケティングチャンネル」(「世界へボカン」YouTubeチャンネル)
前編:インタビュー・アンケート編
後編:アクセス解析・デスクリサーチ編

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▼ ①定量調査(アンケート)

①定量調査(アンケート)

○長所

①人の意識や行動を数値で把握することができる

アンケートの利点は人の意識や行動を数値化できることにあります。特に意識面については、過去の印象・現在の状況・未来の意向といった具合に、時空を超えた問いかけが可能であり、調査テーマについての傾向をつかんだり、今後の対策を立てる用途で役立ちます。

記憶回答の方式を取ることが多いため「データの信頼度が低い」という見方もありますが、記憶回答だからこそ、前述のように広がりのある質問を投げかけることができます。ほか、意識と行動を同一データの中で並べて、順序や割合を比較できるところもメリットです。

②結果データがそのまま提出アウトプットになる

定量調査を行う担当者にとって、結果データがそのまま提出アウトプットになることは大きな利点です。言ってしまえば当たり前ですが、他の調査手法では成果物に占める「考察の出来」の割合が高い中、定量調査は業務実績を積み上げやすい調査手法と言えます。

提出(納品)物の基本構成は、表データ・グラフデータ・自由回答リストであり、バリエーションとボリュームの両面を確保することができます。さらにその内容が事業活動の企画書・提案書などに転載されていくことで、仕事の価値が伝わりやすくなります。

▲短所

①内製実施だと性別・年代・地域などが偏りがち

自社でアンケートを実施すれば、調査費用を大いにセーブできます。一方で、内製調査を担当するスタッフを悩ませるのが、配信設定の難しさです。配信対象者を十分に確保できない、SQL抽出時に該当のテーブルが無い、など環境面のハードルが付いて回ります。

当然、回収するデータは配信計画の影響を受けるため、自然な回収に任せていると自社の会員構成に引きずられて、性別・年代・地域などの偏りが生じます。回収のギャップが大きくなってくると、ファクトとしての信用性及び業務自体の位置づけが弱まります。

②対象者ステータスを細かく設定する必要がある

定量調査では、テーマに対して厳密に調査対象者のステータスを設定することが必要です。よくあるのは、自社サービスのアセスメントやユーザーのプロファイル化を目的とする調査において、「競合の状況はわからないの?」という要望が挙がってくるケースです。

アンケートは、テーマと対象者のステータスが逐一合っていないと必要なデータが取れません。そのため、質問と選択肢よりもむしろ、対象者要件を確定するまでにかなり労力がかかります。この点では、組織の中で戦略機能と連携していることが必須になります。

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▼ ②定性調査(インタビュー)

②定性調査(インタビュー)

○長所

①参加者の生の声から意見の広さ・深さがわかる

アンケートではデータを定量的に保つために、あらかじめ想定される回答を「選択肢化」しておく必要があります。また、コメントを書き込む自由回答形式は、回答負荷が高いため、あまり連発して使うことができず、回答理由や意見を知る用途では限界があります。

インタビューは対面(もしくはオンライン)で話を聴くことができるため、企業側が予測していなかった物事の考え方・商品の使い方を知ったり、テーマについての価値観・ポリシーが生まれる背景をじっくり聴けるため、アイデア出しや仮説探索の用途に向きます。

②ターゲットの共通イメージを持つことができる

定性調査(グループインタビュー)の利点には「グループダイナミクス」(個々の発話によって全体が活性化されていく状態)がよく挙げられますが、実は大きなダイナミクスが発生するのはインタビュールームで状況をモニタリングしている企業側だったりします。

というのも、企業では「顧客を知る」ことの重要性はよく認識されているものの、「顧客を見る」時間を共有する場面は、あまり多くありません。定性調査は関係者が時間を割いて同じ場に立ち会うことで、ターゲットについての共通イメージが深まる場になります。

▲短所

①調査の出来が参加者の発言・体験に左右される

インタビューの基本アウトプットは、「実査そのもの(当日の立ち会い見学)」と「発言録(議事録のような資料)」のみです。そのため、当日交わされる会話が盛り上がりを欠くと、「実りの無い会話」を2時間分聴いて(読んで)終わり、ということになります。

この状況を避けるには、対象者を基本属性のみで選ばず、「テーマについて意見できる立場・経験」を精査してリクルーティングを行います。また、質問対象となる物事は個別事象を尋ねつつも、「スタディ」として理解できるようインタビューフローを整えます。

②ファクト最優先文化の組織では重視されにくい

定性調査は定量調査と比べてサンプル数が少ないことに特徴があります。定量調査が1回につき100以上は集めるのに対して、定性調査では通常4~8くらいです。「顧客の声を聴く」趣旨には多くの人が賛同するものの、サンプル数に対する疑念は付いて回ります。

特に、「数字で物事を語る」ことを重んじるファクト最優先の文化を持つ組織では、「なるほど、顧客の考え方はわかった。で、こういう考えを持つ人は○%いるのか?」と、すぐに数字の話に戻り、定性データは「参考」に留まる傾向があるので注意が必要です。

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▼ ③定性調査(観察調査)

③定性調査(観察調査)

○長所

①人が無意識に取っている行動の背景を知れる

近年のマーケティングリサーチで重視されている「インサイト」を知るには、観察調査が一番適しています。インサイトを「志向性・価値観」という意味でとらえるならインタビュー調査で十分なのですが、人の「無意識」に迫るアプローチを取るなら観察調査一択です。

観察調査では、主にモノの使用状況をウォッチしていきます。できるだけふだんと同じ使用環境、あるいは、現地・現場を見て、ありのままを記録していきます。こうすることで、特異点や違和感を発見し、そうなっている理由を尋ねることで良いアイデアが生まれます。

②細かな改善や変化の兆候を知りたい時に便利

観察調査を主務とする際、アプリ・キッチン・家電・日記・SNSなど、特定のプロダクトやチャネルを見続けます。そして、調査結果を自分や社会の知見と照らし合わせてポイントを探っていくため、細かい改善を施したり変化の兆候をつかむ目的に適しています。

定量調査でもよく定点観測の手法を使いますが(満足度調査や世帯調査など)、基本的には数値化しやすい物事を対象にしています。しかしそれゆえに定量調査の定点観測は、粗く大局を把握するところまでが限界であり、細かい兆候を知るにはあまり向きません。

▲短所

①課題シーンを特定しないと分析ができない

観察型の調査を実施する際は、課題シーンを特定する必要があります。ウェブサービスのUXリサーチならば、LPの改善なのか、決済の改善なのかといったステップを特定する必要がありますし、エスノグラフィーでは、場所や時間などの場面を特定する必要があります。

もちろん取りためておいたデータ(ビデオ・SNS・日記など)をすべて見に行く方法もあるですが、調査員が張り付く分、実施費用はとんでもなく上がってしまいます。観察調査はこのように、課題の絞り込みを行う必要があるため、開始までのハードルが高めです。

②PDCA体制を取らないと実効性が上がらない

どんな調査でも物事を改善するために実施するのですが、観察調査は特に調査以降の実行(実装)フェーズが連携できていないと、プランを立てて終わり、あるいは、提案事項を検証することなく終わり、になってしまいます。これだと実効性が上がっていきません。

もちろん他の調査手法でも無駄骨に終わるケースはあるのですが、得られたデータは一応次回以降の手がかりとして情報資産になります。しかし観察調査はステップや場面を特定している分、アウトプットの応用は利きにくいので、本当に無駄骨になりかねません。

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▼ ④ログ解析(自社データベース)

④ログ解析(自社データベース)

○長所

①カテゴリ~単品までのデータが正確にわかる

自社データベースでは、商材単位(カテゴリ~単品まで)のデータを正確に把握することができます。アンケートは購入理由を尋ねられるところが魅力ですが、設問内で提示できる選択肢数には限りがあり、把握できる粒度は大~中カテゴリレベルが限界になります。

そこで最近では、商品購入者に対して、購入時にポップアップウィンドウでアンケートを表示したり、購入完了メールと共にアンケートを送る事業者も増えています。ただこの場合、意外と深く聴くには適していないので、独立したアンケートとの組合せが大事です。

②事業部サイドの課題を特定することができる

購入状況を尋ねる質問はアンケートでも行うことができますが、目的が実態把握のみなら、同じ項目に対して異なる指標が増えるだけなので、あまり実施価値はありません。そこで、アンケートを企画・設計する際の仮説出しを、自社データベースの分析から行います。

売上・利益・単価・個数・閲覧に貢献している商品は何なのか?を把握して、事業部サイドの課題を特定し、それを解消する企画・施策をアンケートで考える、という段取りを取ります。市場調査担当者もPOSやDBを見るべきなのは、こうした理由からによります。

▲短所

①データが業態の特異性に引きずられがち

自社データベースが教えてくれるのは、良くも悪くも「売れた結果」のデータでしかありません。業態(産業)の特異性を考慮に入れず、「この商品を売っていればいいのだな」と思っていると、ブランディングやMDのバランスがどんどんおかしくなっていきます。

たとえば、ネット通販業態で「水が売れているから水をもっと売っていこう」という考察に行き着くケースです。この場合は自社でというより業態として水が売れている可能性が高く、「同じように重たいものが売れるのかも」と考察を補正する思考力が必要です。

②対策が短絡的なKPI達成に行き着きがち

自社データベースは、目標予算比・前年対比などを基準にして、週次・月次などのタームで報告業務を行うことをベースにデータを構成しています。そのため、このデータだけを見ていると、対策を立てる時に各指標を一律に引き上げることを改善策としがちです。

たとえば、「売上も利益も客単価もCVRもPVもセッションもすべて純増で着地する」KPI達成を描くケースがそうです。理想はそうなのですが現実はそうではないので、より上位のミッションをどのアプローチで成し遂げるか、他の調査データと組合わせて検討します。

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▼ ⑤ログ解析(ウェブ行動ログ解析ツール)

⑤ログ解析(ウェブ行動ログ解析ツール)

○長所

①ロングテールのユーザーニーズを把握できる

ユーザーが使用する「検索ワード・共起ワード・複合ワード」などを通じて、実態ベースかつロングテールで興味や願望を把握できるのは、ウェブ行動ログ解析ツールならではの利点です。ここは他の調査手法ではなかなか難しいこのツールの専売特許的な面です。

この点、アンケートでは広く様々な立場の回答者に意味が通じるよう、選択肢で表示する言葉を平準化する傾向があり、「興味を惹かれるキーワード」(複数の選択肢提示)のような質問を行うことは可能でも、どうしてもワードが硬直的になる難点があります。

②ベンチマークサイトを通じたスタディが可能

商品やターゲットが同じサイトが存在する場合、競合に限らずそのサイトをベンチマークに設定して、現状を評価したり勝ち筋を討議できます。これを短時間で効率よく進めるには、ほぼ自身の稼働だけで完結するウェブ行動ログ解析ツールがベストな選択です。

これを他の調査手法で実現させようと思うと大変です。アンケートではベンチマークするものを事前にリストアップしておく必要がありますし、インタビューでは対象者の記憶の範囲の回答しか得ることができません。柔軟に理解するにはビッグデータが一番です。

▲短所

①調査対象の検索ボリュームが不足していることが多い

ベンチマークしたいプロダクトやキーワードについて調べる時、対象となるものがメジャーな場合は良いのですが、ロングテールの商品や言葉だと、とたんに検索ボリュームが不足して分析できないことが、ウェブ行動ログ解析ツールではしばしばあります。

私たちが分析においてデジタルツールを使うのは、全件レベルの網羅性を期待しているからですが、意外とサンプル調査に近いような肩透かしを食らうことも多く、市場調査の用途においては「仮説出し」くらいの位置づけが実態に合っているように思います。

②解釈しづらい「その他」的なデータアイテムが多め

ウェブ行動ログのデータアイテムには、「No Referrer(参照元なし)」のような、評価や解釈のステータスが難しい項目がけっこう出てきます。ここの割合が多いと実態が見えないため、対象サービスの癖をとらえるだけの運用歴や習熟度が必要になってきます。

同じ定量調査でも、アンケートでは「その他」をできるだけ出さないよう、あらかじめ選択肢項目を細かく設定しておきますが、ウェブ行動ログ解析ツールでは、元のデータテーブルを柔軟に書き換えるのは難しいため、ここはアンケートとの併用がおすすめです。

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▼ ⑥デスクリサーチ(ブランドサイト)

⑥デスクリサーチ(ブランドサイト)

○長所

①本音ベースでブランドの基本方針を理解できる

ブランドサイトのソースコードに表示されるメタタグ(title、description、keywords)は、検索ロボットに正しくサイトの内容を理解させる目的を持つため、サイトコンテンツ内の美辞麗句に惑わされることなく、そのブランドの偽らざる方向性がわかります。

ナビゲーションメニューについても同様です。「展開しているカテゴリ」や「取り扱い商品点数」からは、各社のねらいや思惑を類推することができます。決算説明会資料で企業独自のKPIを記載していれば、それと照らし合わせることでさらに考察が深まります。

②ブランド固有の独自性(あり・なし)がわかる

本項目で取り上げている「メタタグ・ナビゲーションメニュー・独自KPI」からは、いずれもそこに含まれる「言葉・商品・方針」を通して、ブランド固有の独自性を伺い知ることができます。仮に独自性が感じられない場合も、それはそれで調べた成果になります。

市場調査を仕事にしていると、消費者・生活者ベースの数値や意見を重んじる習性が身についてきます。しかしブランドを理解する観点では、デスクリサーチによって、企業の公式情報を通じて、「何をやりたい会社なのか」を理解しておくことも欠かせません。

▲短所

①ページの記載内容が浅いと全く参考にならない

ブランドサイトはブランドの顔でもあるので、通常は各社ともメタタグの設定に力を入れるものですが、中には、ライティングにあまり力を入れておらず、ページの記載内容が浅いこともあります。こうなるとリサーチ業務では全く参考になりません。

ここの実情は、事業サイドのスタッフがウェブへの関心が低い、もしくは関与が薄い時に起き、実際にウェブを制作するデザイナー・プログラマーが作業機能に徹していると、マーケティング活動とはあまり紐づかないものが記載されることで発生します。

②SEOに偏った内容で構成されていることがある

逆に、ブランドを運営する会社の組織内で、事業サイド・経営サイドの関与が強すぎる場合、SEO目的に偏った内容でブランドサイトのメタタグが構成されていることもあります。これはこれでマーケティング的には参考にしづらいので注意が必要です。

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▼ ⑦デスクリサーチ(メディア)

⑦デスクリサーチ(メディア)

○長所

①最新トレンドを効率よくキャッチアップできる

ウェブ・テレビ・雑誌などのマスメディアには、最新かつ人気の「モノ・コト・ヒト」を取り上げる習性があり、しかもトレンドがピークに達している時点での情報を提供していることから、最新トレンドを効率よくキャッチアップできる利点があります。

トレンドに対するアプローチはメディアごとに特性があり、ウェブ→全般、テレビ→「ブランド(人気商品)」や「カテゴリ(特定産業)」、雑誌→「アイテム(品種品目)」や「生活者(特定属性)」、というように、得られる情報の単位も様々です。

②定量・定性データが整理されていることが多い

マスメディアが最新トレンドを取り上げる時には、なぜ、どのように人気なのかを、その分野での実績(定量データ)、利用者・推薦者の声(定性データ)、商品やサービスの目玉となる工夫や技術(両方)を通じて、視聴者・閲読者にわかりやすく解説しています。

こうした定量・定性データは、私たちが他の人に情報をシェアする時にも便利です。なぜなら、「このトレンドは、○○の間で○○の理由で○○レベルで人気なんだって」と紹介する時の「○○」は、簡潔な定量データ・定性データを用いることが多いからです。

▲短所

①日頃から見る習慣が無いと情報に行き着きにくい

私たちがメディアから受け取る情報は、どうしても偶発的な出逢いになるのが難点です。日頃からの視聴習慣が無いと、見逃したり出遅れたりしてしまいます。もちろんそれを見越して日々ウォッチしていれば優位に立てるのですが、なかなかそうもいきません。

そこで、メディア特性に合わせて、視聴の手がかりをつくっておくことをおすすめします。Twitterで総合的にトレンドをウォッチしつつ、テレビ→番組枠で録画しておく、雑誌→発売週に集中的に見る、ウェブ→情報が入れ替わりやすい時間帯に見に行く、など。

②情報シェアの実効性は受け手の環境に左右される

一方で、私たちがビジネス情報をシェアする時に、受け手が同じ情報を見れるかどうかは、環境面に大きく左右されます。人によって、メール・チャット・SNS・LINEなどのアカウント所持状況・アクティブ状況は異なるので、シェア機能に頼らない工夫も必要です。

そのため、ビジネスニュースのうち重要なものは、常に手元で要約する習慣をつけておきます。そうすると、仕事の関係者が使うメディアやデバイスが多様化・細分化していても、支障無くファクトや示唆をシェアすることができます。

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▼ ⑧フィールドワーク(店頭調査・街頭調査)

⑧フィールドワーク(店頭調査・街頭調査)

○長所

①季節商材・商品特性・回転率などを把握しやすい

今はネット上でひと通りの業界研究・競合研究ができる時代ですが、あえて店頭調査・街頭調査のようなリアルのフィールドワークをおすすめする理由があります。それは名目上の現場研修としてではなく、MD(商品政策)に強くなるためのヒントがあるからです。

具体的には、店は季節感に非常に敏感なので(特に気温・天候)週単位・日単位でこまめに展開を調節をしていること、商品の色味や機能性については触れることで実感が増すこと、在庫がどれくらい出ているかが可視化されていること、を視覚的に理解できます。

②消費者ベースの行動を把握しやすい

私たちが事業を展開する際、基本的には直線的にサービスを利用してもらうことを想定しています。決まった業態・決まった商品・決まった価格・決まった導線のもとにサービスを運営しますが、実際の消費者の購買行動は、もっと気まぐれで入り組んでいます。

そうした消費者ベースでの行動を把握するには、フィールドワークがぴったりです。どういう生活習慣の中で特定の店に訪れるのか、商品の購買動機・用途にはどんなものがあるのか、どういう価格帯だと手に取られやすいのか、といった情報を整理できます。

▲短所

①調べる項目を意識していないとただの散歩になる

店頭調査・街頭調査は、行為自体はウインドウショッピングと同じなので、調べる項目を意識していないと、ただの散歩になってしまいます。レポート時にファクトベースで報告できるよう、調べる項目やその単位を柔軟に決定・追加していくことが求められます。

たとえば店頭調査においては、どんな商品が置いてあるか、いくらくらいの価格かといった定番項目のほかに、配置場所(棚分類)、在庫数、陳列方法、共同展開商品、POPの有無などを見ます。こうした情報は、ネット上では得られにくいものばかりです。

②曜日や時間を変えて張り付くための時間がかかる

道路通行量や昼間人口数は、公開データが出ていることもあります。しかしこうしたデータは、生活者属性を平準化した総数として扱う傾向があります。また、同じエリアでも地点によって傾向は大きく変わるものなので、必ず現地で確認をするようにしましょう。

このような目的で実施する店頭調査・街頭調査は、リアルタイムで現地の状況が変わるため、曜日や時間ごとのウォッチングが欠かせません。時間と人手はかかりますが、出店・販売・卸売いずれの立場でも、誰も持っていない貴重なデータを取れる活動になります。

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▼ まとめ

<各リサーチ手法の特色>
①アンケート→ファクトベースのアウトプット創出
②インタビュー→アイデア探索、エピソード収集
③UXリサーチ・エスノグラフィー→細かな改善PDCA、変化の予兆キャッチ
④自社データベース→事業部門の課題特定
⑤ウェブ行動ログ解析ツール→キーワードベースでのニーズ確認
⑥ブランドサイト→調査対象ブランドの方向性確認
⑦ウェブ・テレビ・雑誌→最新トレンドのキャッチアップ
⑧店頭調査・街頭調査→モノとヒトの流れの確認

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記事の冒頭でもご紹介した、対談動画もアップされている、「世界へボカン・海外WEBマーケティングチャンネル」もチェックしてみてくださいね!

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調査手法のノウハウをまとめた本を出版しています!

『売れるしくみをつくる マーケットリサーチ大全』(明日香出版社)

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