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第582回:花火を観るのはケアじゃないの?

訪問介護のでぃぐにてぃ電動車椅子の代表吉田です。でぃぐにてぃの今を伝えるブログ582回。

去年の夏ふとしたことから罹患した誤嚥性肺炎が悪化して心停止⇒気管挿管⇒気管切開と大病を患って3か月の入院をした。

なんとか回復し始めて話しもできるようになったその頃。Oさんというナースと少し話すようになった。Oさんは幼少期に親しい友だちを小児がんで亡くした経験から「病に苦しむ人を助けたい」とナースを志したと教えてくれた。

そんなある日、入院していた病院の窓から見えるすぐ近くで神宮外苑花火大会が行われた。夜勤でOさんが私の病室にいるところに後輩ナースさんがやって来て「先輩、面談室で患者たちから花火をきれいに観たいから電気を消してほしいって言われちゃって」と相談した。

Oさん「そっか、、でも電気消すとあの部屋真っ暗だし転倒してもだれも責任取れないよね
後輩ナース「ちょっとの間なら私がいて見せてあげるのもありですかね?」
Oさん「でもあなたそんな時間なくない?まだ処置終わってないでしょ」
後輩ナース「ですよね、今日も新患いてバタバタだし。わかりました」
Oさん「しかしそんなに見たいかね花火?

こんなやり取りが交わされて結局花火は見れずじまいになった。

いつも一生懸命ケアをしてくれるOさんの冷淡な言葉に正直なところ驚いたしガッカリした。たしかに病棟は忙しそうだけど、全員椅子に座ってもらうなり、看護助手にしばらく付き添ってもらうなり、工夫次第で花火は問題なく観られそうなのに。。

Oさんのようにかつて思いを持っていた看護師から患者に花火を観てもらう術を考える余裕さえ奪ってしまったのは、命令・管理型、リスク回避最優先の医療モデルではないだろうか?

果たして私たちの介護現場は病棟のように医療モデルに毒されて利用者たちから生きる歓びや尊厳を奪ってはいないだろうか?長い療養生活でそんなことを考えていた。(続く)

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