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野犬×デジタル #3当面の回答編

デジテック for YAMAGUCHI運営事務局 兼 Y-BASEスタッフのハラマルです。J2リーグは、新たなシーズンが開幕したばかりなので、気持ち的には既に新年度です!が、リアルには年度末ですね。このシーズン特有の行事である、新たな出会いと別れも、昨年末の「選手の移籍」で体験しているので、あれ?ちょっと、今がどんな季節なのかよく分からなくなります。仕事上の出会いと別れよりも、レノファ山口の選手との出会いと別れに一喜一憂してしまうので、年度の区切りが曖昧に。これは現実逃避なんでしょうか?

前回に引き続き、周南市における野犬対策へのデジタル技術の活用についてご紹介します。#1出題編、#2ヒント編はこちら。

当面の回答

さて、周南市さんとは、課題解決について、様々な議論を進めているところです。具体的な対策として打ち出せるようになれば、それが、DXコンサルとしての回答ということになりますが、まだ議論が必要な状況です。住民も動物も安心してくらせるまちづくりという根本的な解決に向けては、まだまだ時間はかかります。

その一方で、直ぐに、しかも費用を必要とせず取り組めたことがあります!これが、当面の回答ということになりますが、それは、Y-BASEのICT環境である「Y-Cloud」を使った取組です。
Y-Cloudには様々なツールを用意しており、それらは無料で使うことができます。やってみようかな?と思ったときに、クイックに取り組むことができるのが最大のメリットです!

今回の当面の回答は、「Y-Cloud」のデータ見える化ツール「Tableau(タブロー)」を使って、通報アプリ内のデータを見える化することです。これは、・・・と説明するよりも、まずは見てもらった方が早そうです。

Y-Cloudについてはこちら

データの見える化

これがTableauを使った分析です!

通報件数の月別、曜日・時間帯別、通報場所をダッシュボード化
https://public.tableau.com/app/profile/.86114168/viz/20220228_PC/_PC

従前の通報アプリでも直近20件の通報位置と写真が確認できましたが、違いは歴然ですね。

現在のアプリ画面(直近20件を表示)

過去からの統計数値が分かりますし、マッピングや地区別件数で大きな傾向も分かります
曜日別・時間帯別のヒートマップは、色が濃い箇所が通報が多いところなので、朝の時間帯が要注意だということが分かります

さらに、このすごいところは、アクティブな状態でHP掲載などができるため、閲覧された方が、例えば、画面内の月別棒グラフをクリックすると、その月の曜日・時間帯別ヒートマップや位置情報に、表示が自動更新されるなど、新たな分析をすることが可能なんです!
(※Tableauを御存知の方には、当たり前過ぎることと思いますが、初心者目線で記載させていただいています。)

データ分析の方法

このTableau分析、どうやって作っているかというと、難しいことはしていません。通報アプリからデータをCSV形式で取り出し、Tableauに取り込んで作業するだけです。

と言っても、当然、初心者は困惑しますよね。私も、この指示だけでは作成することができません。このため、まずY-BASEのDXコンサルが、データからサンプルを作成して、その作り方や操作の仕方を周南市さんにハンズオンでレクチャーしました
後は、周南市さんの方で、デザインなどを修正したりして完成です。
作成したグラフやマップ、ヒートマップは、Tableauを使うことで簡単にダッシュボード化することもできました。

さて、Y-BASEでは、このように、ツールを使ったサンプル作成をしますが、その後、相談者の方に、自らがツールを扱えることができるようにハンズオン研修を実施しています。
というのも、今回のように、周南市さんが自分たちで作業できるようになったことで、その後の更新もできるようになり、その結果、最新の情報を市のHPに掲載するということができるようになりました!3月22日から掲載されましたよ。

実際は、Y-BASEに御相談いただき、データを預けていただくと、Tableauによるデータ可視化のサンプル作成はすぐにできます。(今回もすぐにできました。)
ただ、実装に向けては、例えば、アプリ以外で通報があったものもこれに落とし込もうとすると、最低限、どんな情報を聞き取らないといけないのか、といった検証や、それを聞き取るためのヒアリングシートみないたものの作成、業務フローの整理、更新頻度の検討などが必要です。
また、例えば「私の家の前にいます」という情報と写真がアプリで送付された場合、通報者の個人を特定する情報になる可能性があるため、そういった個人情報などを、どのタイミングで誰がチェックして削除するのかといった整理も必要です。そうした業務整理の方に、長い時間がかかりました。
もちろん、可能な範囲でY-BASEスタッフもサポートします。

期待される効果

話は前後しましたが、なぜこのデータ見える化に取り組んだかと言うと、単に、無料ですぐにできるから、だけではありません。

まずは、#2で整理した「課題②生態の把握」の対策として、現状の通報アプリに保管されているデータから、より精緻に分析することを目的に実施しました。
これにより、ヒートマップから分かる通り、通報が多い時間帯があるということが判明しました。

通報が多い時間帯が判明したということは、その時間は住民に目撃される範囲で活動しているということなので、市民への注意喚起や、「課題①効果的な捕獲」に向けた新しい対策を考える手掛かりにもつながります。

また、通報情報が増えつつあるエリアや時間帯を特定して、「課題③遺棄・エサやりの防止」にも活用することもできます。

さらに、このダッシュボードを見て、興味・関心が湧いた市民の方に、通報アプリを活用してもらうことで、よりたくさんの情報が収集できて、さらなるデータの精緻化が進むことも期待できます。

このように、もしかしたら、「え?データ分析しただけ?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、このデータ分析が、これから取り組む対策にとってまずは重要で、だからこそ、クイックに取り組めることに意義があるのです!

野犬対策は、究極的には人と動物との共生の街づくりであって、非常に難しい問題です。一つの対策で解決するような単純な課題ではありませんので、こうしてデータを取りながら、効果を見極めながら対策を進めていくことは非常に重要です。

参考:データの他目的利用について

ここで、データ活用において重要な点についてご説明しておきます。
野犬情報通報アプリに寄せられたデータを、他の目的に利用しても問題ないのか?とのご質問があるかと思いますが、利用規約の第15条に、「個人を特定できない情報とすることにより、第三者に提供し、データの集計・分析・公表等に用いる場合があります」と明記しています。
今回のデータ活用においては、所要の処理は実施しており、この規約には反しておりませんので、念のため申し添えておきます。

そしてY-BASEへ

周南市さんの全面協力によって、野犬対策にデジタル技術を活用しようという取組を3回にわたってご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?

データ分析に基づく新たな対策などはこれからになりますが、データ分析をすることによって新たに判明したこともあり、少しずつ前進しています。今後の新たな動きについても、周南市さんのご了解をいただける範囲において御報告していきたいと思います。

そして、このご紹介を通じて、Y-BASEのDXコンサルって、どんなことするんだろう?という方に、少しでも取り組み内容が伝わるといいなぁと思います。

まずは、相談に乗って、現状や課題を分析するというのが第一歩になります。
その後の取組にすぐにつながらないケースもありますが、Y-BASEとしては、短いサイクルで直ぐにやってみるということを重要視しています。そして、やってみることで、新しいアイデアが生まれたり、やっぱりやってみようという踏ん切りがついたりというきっかけになると思います。

Y-BASEの見学には行ったけれど、コンサルってハードルが高いなぁという方、まだY-BASEにいらっしゃったことがない方は、是非、参考にしてください。皆さんもY-BASEをご利用してみてはいかがでしょうか?