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AIの現在と将来展望、そして地方創生に向けて

デジテック for YAMAGUCHI運営事務局 兼 Y-BASEスタッフのハラマルです。昨日、遠隔空間共有システムを活用したデザインシンキングワークショップの記事を書いたのですが、デザインシンキングの「質より量」とか「真剣な遊び感覚で」というのはハラマル君にぴったりだねと言われました。これは誉められているのか、逆の意味なのか、どう取っていいんでしょうか?確かに、指摘されると、他のスタッフの記事と比べて「質より量」になっているような…。ただ、質を軽視してる訳ではありませんよ!

さて、今回は、11月25日(木曜日)に開催したオンラインセミナー「AIの現在と将来展望、そして地方創生に向けて」の様子をご報告します。こちらも、Y-BASEの開設に合わせたプロモーション活動「やまぐちデジタルマンスリー」として実施したものです。11月1日の開所式から、1か月間にわたって様々な勉強会・イベントを実施してきましたが、やまぐちデジタルマンスリーとしての企画は、今回のオンラインセミナーを除いて、いよいよ残り1つになってしまいました。最後まで頑張りたいと思います!

講師は砂金信一郎氏です。日本マイクロソフト株式会社のクラウド担当エバンジェリストなどを経て、LINE株式会社でAPIのオープン化などを手掛けられました。と、簡単に言ってしまいましたが、「APIをオープンにする」ということをざっくり説明すると、他の企業や役所が、LINEの機能をそのまま使えたり、簡単にアプリ開発できるようになったりするということです!この結果、現在、たくさんの企業がLINEを通じてチャットボットやアプリなどのサービスを提供されていますよね。私は、宅配便の再配達の時間指定で、チャットボットを良く使います。時間に束縛されず、ボタンを何回か押すだけなので非常に便利です。「デジテック for YAMAGUCHI」の取組の中でも、地域交流センター等の公共施設の、予約・決済(使用料納付)・スマートキー(鍵の管理)等をスマートフォンで行えるよう、山口市の課題解決に取組中ですが、ここでもLINEのログイン機能(個人認証)を利用しようとしています。

こんな社会的なインパクトを残した大きなプロジェクトを担われた後、同社のAI事業統括を担当する執行役員に就かれたほか、現在はデジタル庁のプロジェクトマネージャーもこなされるなど、AIの最前線で多忙を極められていらっしゃいます。山口県のCIO補佐官になられていることをご縁に、「デジテック for YAMAGUCHI」のスペシャルサポーターにもなっていただいており、今回のイベントが実現しました!

AI(人工知能)って、聞いたことあるけれど、実際はどんなものなんだろう?と疑問に思っていらっしゃる方はたくさんいると思います。やまぐちDX推進拠点「Y-BASE」には、AIの仕組や技術を体感いただくデモ展示をしており、そうした疑問にお答えしながら、自分たちもこんな業務で使えるんじゃないかな?とアイデアを持っていただくきっかけづくりをしています。なので、今回のテーマ「AIの現在と将来展望、そして地方創生に向けて」は、Y-BASEにぴったりだと思います。

講義では、まず、砂金補佐官から、クラウドの黎明期から行政に使われるようになるまでの変遷を教えていただきました。デジタル技術は、技術が世に出てくる「黎明期」から、こんなことまでできるようになるんじゃないか?と「過度な期待」を持たれる時期を経て、いや、そんな大したことなかったねと言われる「幻滅期」があり、そして、ようやく技術の適切な使い方・使いどころが理解されて「啓蒙活動期」に入っていくそうです。砂金補佐官は、10年以上も前に、「黎明期」にあったクラウドの勉強会を山口県で開催していただいていたそうです。そのクラウドは、現在は一般の方も使われるようになっています。

今回のテーマであるAIは、「過度な期待を持たれている時期」だと思いますので、AIについて正しく理解し、使いこなしていくことが重要になります。砂金補佐官から、今回のセミナーで最も重要なスライドとして紹介があったのは、「AIにできること」です。1つ目は、画像や音声、文章などの「認識」です。2つ目は、データの解析から推論する「予測」です。我々の日々の行動から、性別・年齢・住所等の属性を予測するということは、広告分野で広く使われているそうです。3つ目は、対話や音声合成、画像生成などの「動作」です。これが、AIができること、得意なことです。

そして、砂金補佐官の言葉の中で印象的だったのは、エンジニアの立場であれば、いかに課題解決していくAIを作っていけるかになるのですが、そうでない立場の方にとって重要なのは「のび太力」だというお話です。のび太のように、ここが困っている、こうしたい、こうなりたい、という「課題を発見する能力」を身に着けて、だからデジタル技術で解決して(「助けてドラえもん!」)と言うことができるようになりましょうと。

現在、「デジテック for YAMAGUCHI」が取り組んでいる「シビックテック チャレンジ YAMAGUCHI」でも、これまでのように、「課題を持っている行政が仕様書を作成して、それを事業者が実現する」というスキームではなく、「こんな課題で困っています。どうにか解決できませんか?」という課題を投げかけ、その解決方法を提案してもらうというかたちで進めています。この「課題を整理して、示す」というマインドが、文化として根付いていくことが、シビックテックを実現していくための重要な要素だと思いますので、「のび太力」のお話は非常に興味深かったです。

また、他の分野では10~20年に1回にしか出てこない革新的技術進化がAIの分野では2年に1回起きているくらい技術進歩が速いことのご紹介や、AIでDXを目指すのではなく、UX(顧客体験)を改善することにAIを活用することにより、事業のあり方そのものを変革するDX実現につなげていくべきだといったお話がありました。

AIを活かした地方創生に向けては、医療・介護、産業、農林水産業など様々な分野でサービスを広げていくことが必要だが、その前提として、きちんとデータ整備すること、シビックテックなどを進めていく素地として地域コミュニティを活性化させることが、行政の重要な役割だとご指摘がありました。

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講義の後は、村岡知事との質疑応答です。村岡知事から、AI活用に向けたアドバイスを求められると、砂金補佐官は、「まずは肩肘を張らずに、AIが搭載されているプロダクトを使ってみること」とお話しされていました。村岡知事も、試行錯誤しながらやっていきたいとおっしゃられていました。

今後の、人間とAIとの関係性について村岡知事から聞かれると、砂金補佐官は、これからどういう関係になっていくのか?と受動的になるのではなく、AIとどう付き合っていくのかを選択する余地がまだあるので、自分たちがどうしたいのか、AIとの関係性を整理していくことが必要とお話しされていました。

また、オンライン聴講者から砂金補佐官への質問で「2045年にシンギュラリティは訪れますか?」という質問がありました。「シンギュラリティ」とは、(セミナー後に調べたところによると、)AIが人間よりも賢くなるという「技術的特異点」のことだそうで、2045年頃に到来するという説があるそうです。砂金補佐官の回答は、弱いAI(範囲が限定されているAI)では、既にシンギュラリティは起きている、つまり人間の能力を超えている部分があるが、強いAI(なんでもできる猫型ロボット的なAI)では2045年までにはまだ実現しないのではないか、という内容でした。

また、小規模事業者でもAIは使えるのか?クラウドに情報を預けることに不安があるのですが?といった質問にもご回答いただきました。非常に面白かったので、是非、後日掲載する動画にてご確認いただければと思います!1時間では時間が足りないくらい密度のあるセミナーだったと思います。砂金補佐官、村岡知事、視聴していただいた皆さん、ありがとうございました。

※12月14日追記:当日の動画をアップしました


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