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UI設計の中で、改めて提供したいユーザ体験を考える

前おき:この記事でのUIは、デジタル製品のUIのことを指しています。モバイルアプリやWebアプリのUIなど。

これまでUI設計を行う際には、OOUIの考え方をベースにモデリングしたものを素直に表現するやり方で考えることが多かったのですが、それだけだとダメそうだと実感したのでそこの学びを言語化してみます。

要点

  • 前提として、サービスがどういうユーザ体験を提供したいかによってUIが大きく変わってくる

  • UI設計時に、どういう体験を提供したいかを改めて考え、UI設計に反映する必要がありそう

よく言われてるようなことで当たり前かもしれませんが、最近仕事などを通じて実感することが多かったので、深掘りして考えてみました。

OOUIを活用したUI設計の限界

OOUIとは、オブジェクト指向UIのことで、調べると色々情報が出てきます。有名なところでいうとこの辺でしょうか。

私はこの考え方に大きく影響を受け、これまではモデリングとモデリングしたオブジェクトをどうUIとして落とし込むかばっかりを考えていました。
モードレスであることがいいんだ、モードレスにするにはオブジェクトを素直に配置して設計した方がいいのではないか、みたいなことだけ考えていました。

管理画面やツール系のアプリUIの場合は、それでも十分成り立つかもしれません。
しかしサービスのUIとなると、それに加えてサービスが提供したいユーザ体験はなんなのかをUI設計時に改めて考える必要があるなと痛感しました。

モデリングしたオブジェクトをどうユーザに見せるかで、利用体験が大きく変わってくるのです。このどう見せるか、どういう体験を提供するかというところは、OOUIの知識だけではなかなか難しいと感じています。(私の解釈が足りてないだけかもしれませんが)

ユーザ体験という言葉は色々な意味を含んでいて扱いが難しいのでざっくりここでの意味合いを定義しておきます。
この記事でのユーザ体験は、ユーザがサービスを使う時間軸を包含したものを指しています。文脈による使いやすさなどの比較的小さいスコープでのユータ体験(いわゆるユーザビリティ)での意味合いではありません。
下記記事でいうところの、マクロ的な時間軸のUXのことを指しています。

提供したい体験によってUIは変わる(Netflixの例)

Netflixを例に、体験の方向性でUIがどう変わってくるかを考えてみます。

Netflixはいわゆるビデオオンデマンドサービスです。

今のNetflixのUIは、自分の興味のある作品を簡単に見つけられるという体験を重視しているように感じられます。

Netflixのトップ画面やジャンル絞り込み画面では、作品の雰囲気や細かいジャンルごと、ユーザにおすすめの作品ごとにセクションが設けられており、その中から興味を引く作品を探せるUIになっています。
ジャンル絞り込み画面でも、そのジャンルの全ての作品が並んでいるわけではなく、提示されているセクションごとに作品が並んでいるわけです。

各セクションはNetflixが提案したものになるので、提案してもらったものの中からしか作品を探せません。その中に含まれない作品はキーワード検索からしかたどり着く術はないので、ほぼ埋もれてしまっています。

Netflix UIスクショ

自分に合いそうなものをサービスから提案して欲しい場合はそれでマッチするかもしれませんが、ビデオレンタル屋さんの体験のように自分で発掘したいというような場合はあまりマッチしないかもしれません。

ビデオレンタル屋さんのような体験を提供する場合には、全作品の一覧を見せ、そこから探せるようにする必要があります。

イメージは下記画像のような感じです。サービスが提供する全ての作品一覧をざっとみながら、そういえばこの作品が見たかったというような感じで作品を見つけるのです。(レンタルビデオ屋さんが好きで映画好きな人とかは、気になる作品が脳内に色々埋まっており、タイトルを見ることでそれが想起されて見たい作品を発掘できるという仮説)

五十音で全作品の一覧表示

このように、ビデオオンデマンドサービスといっても下記のような体験の方向性がありうるわけです。

  • ユーザが好みそうな作品を簡単に見つけられる体験

  • ユーザが能動的に作品を発掘できる体験(レンタルビデオ屋さんのようなイメージ)

ここの体験の方向性によってUIが大きく変わってくるので、サービスとしてどういう体験にするかを改めて考える必要があるんだなと感じた次第です。

誰がどのタイミングでユーザ体験の方向性を考えるのか

サービスが提供したいユーザの体験は、誰がどのタイミングで考えるのでしょうか。

これはペルソナなどにも大きく影響してくると思うので、UI設計の前のタイミングで、UXデザイナーと呼ばれるような方が検討したり、ユーザリサーチをかけたりして、きっちり方向性を決めておくことがベストかもしれません。
しかし、実際は必ずしも検討できていない、そもそもそういう役割のメンバがいない、方向性の粒度が粗いということは多々あると思います。
また、UI設計のタイミングで気づく体験の方向性も十分あると思います。

というわけで、UI設計の中で改めて、どういうユーザ体験にしたいかを考えて設計することが必要なのかなと思っています。

また、これまでの私の(拙い)経験からだと、上記で書いたようなレベルの体験の設計をUI設計時にUIデザイナーの人に期待するところが大きい気がしていますし、実際UI設計の面白いポイントでもあるかなと思います。

UI設計の中で検討した体験の内容によっては、ペルソナの改善だったり追加のユーザリサーチが必要になるような気もするので、そことの進め方が難しそうな気もします。ただ、そこは経験してみないとなんともわからないですね。

まとめ

UI設計していく時に、大きいところでは次のことを意識してやっていきたいと思いました。

  • OOUIの考え方をもとに、オブジェクト指向でモードレスなUIを考える

  • 提供したいユーザ体験を改めて考え、それをもとにUI設計を行う。(必要に応じて)

2つ目のところは、いろんなところに影響がありそうなところなので大変そうなところもありますが、機会があれば実践していきたいです。

最後に、最近Netflixで見て面白かった映画は「クーリエ: 最高機密の運び屋」です。とてもいい映画でした。


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