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UXについて考える 2023

UXとは何なのかについて言語化してみたいと思う。

※ここに書いているのはあくまでも個人的な考えです。私はUXの専門家ではないので、間違いや跳躍しすぎなどがあるかもしれません。

サービスは概念

そもそもユーザ体験・ユーザにとっての価値を提供するサービスそのものをどう捉えるのか。

サービスは概念であり、サービスには実体はない。
サービス自体を表す目にみえるものはない。

サービスは概念?

ユーザは、サービスが提供するモバイルアプリやWebアプリ、広告といった、目でみえる・耳で聞こえる・触れるもの(以降タッチポイントと呼ぶ)を通してサービスを感じとることができる。

タッチポイントを通してサービスを理解

サービスが提供するタッチポイントを実際に使ってみることで、ユーザ体験が発生し、ユーザにとっての価値が生まれる。

いくつか例を挙げてみる。

UberEats

UberEatsは、モバイルアプリやWebアプリ、広告、配達員といったタッチポイントを提供している。

実際にタッチポイントを通してサービスを体験することで、「家から出ずにお店のご飯を食べられる」、「配達中の状態が確認できて不安にならない」、「玄関先に置き配してくれるから知らない人と触れ合う必要がない」といった、UberEatsというサービスの価値が理解できる。

タッチポイントを通して実際に体験するまでは、UberEatsが提供しているサービスの価値を理解することは難しい。

タッチポイントを通してUberEatsというサービスの価値を理解

Netflix

Netflixは、モバイルアプリやTVアプリといったタッチポイントを提供している。

TVで映像コンテンツを見て、その後続きを移動中や外出先で前回の途中から視聴することができる。

単純に映像コンテンツを提供するサービスではなく、複数のデバイスを切り替えても連続的に視聴できるようなサービスを提供している。

タッチポイントを通してNetflixというサービスの価値を理解

宿泊サービス

少し抽象的な例になるが、宿泊サービスは、予約サイトやホテル、ホテルのスタッフといったタッチポイントを提供していたりする。

ホテルやスタッフがどれほど素晴らしくても、予約サイトが使いものにならなかったら宿泊までしてもらえず、サービス自体の価値が理解してもらえない。

タッチポイントを通して宿泊サービスの価値を理解

サービス利用の時間軸で考えるUX

ユーザがサービスを利用するとき、様々なタッチポイントと触れている。
この時、時間の流れが発生している。

UberEatsを例に、ユーザがサービスを体験する時間の流れを考えてみる。
※太字はタッチポイント

  1. テレビ広告を通して、UberEatsというフードデリバリーサービスがあることを認知する

  2. 別の日、お腹が空いたが家から出るのが面倒な時にUberEatsのモバイルアプリから食品を注文する

  3. 配達中に、配達員が今どこにいるのか、ちゃんと配達できているのかをモバイルアプリで確認する。

  4. 配達員が自宅に到着し、玄関前に食品を置いていく

  5. ユーザがご飯にありつける

UberEatsを利用する流れ

このようにサービスを利用する際には、時間の流れがあり、その中で様々なタッチポイントを利用している。

ユーザがサービス全体の良し悪しを感じるのは、特定のタッチポイントの印象だけでなく、実際に利用したタッチポイント全体の印象からになる。

UberEatsのモバイルアプリがどんなに優れていても、配達員のミスが多かったりすると、サービス全体の体験はよくない。
サービス全体の体験をよくするには、それぞれのタッチポイントが優れていないといけない。

ここで2つの視点でのUXがある。

  • サービス全体のUX: マクロ的なUX

  • 各タッチポイントのUX: ミクロ的なUX

サービス全体のUX: マクロ的
タッチポイントのUX: ミクロ的

UIデザインについて話す際に、「このUIだとUXが〜」ということがよく出てくると思うが、ここでUXはミクロ的なUXの話になっている。

マクロ的な視点を持った上で、ミクロ的なUXに取り組んでいくことが重要だと思う。

UIにおけるミクロ的なUX

UIにおけるミクロ的なUXの理解で、とても参考になるものがあった。

UIを実際にユーザが触った時の結果として発生するのが、ここでいうUIのミクロ的なUXだといえるかもしれない。

引用元: 設計品質と利用品質(後編)

UIのミクロ的なUXをよくする際には、この図に書いている要素をベースに考えると良さそう。

取り組みとして考えるUX

サービスをつくっていく際に、UXの取り組みを行うことがあると思うが、下記のようにプロジェクトのフェーズや状況に応じてどういう組み方を行うかは様々だと思う。

  • プロジェクトの初期の段階で、どういうサービスを作っていくかを考えるために、仮でペルソナの作成やカスタマージャーニーマップの作成、顧客の課題整理などを行う

  • 仮説として立てた顧客の課題が適切なのかリサーチを行う

  • 設計したUIをユーザがストレスなく操作できるかを調査するために、ユーザビリティテストを行う

  • 既にリリースされたサービスの改善のために、顧客にインタビューを行う

これらは、実際のユーザ(またはユーザになりうる人)に投げないと考えたことが適切そうかどうかがわからない。

顧客の課題としてこういう課題があるだろうと机上で考えても、本当にそうなのかどうかはわからない。

なので、ユーザを理解しながらユーザに受け入れられるサービスを作るには、プロジェクトのいろんなフェーズでユーザを巻き込みながら活動していく必要があると思う。

ユーザと共にサービスを成長させていく

ここでもマクロ的な視点とミクロ的な視点がありそう。

  • プロジェクトのフェーズ全体を通してUXに取り組む: マクロ的な取り組み

  • プロジェクトの特定のフェーズでUXに取り組む: ミクロ的な取り組み

プロジェクトのフェーズ全体を通してUXに取り組む: マクロ的
プロジェクトの特定のフェーズでUXに取り組む: ミクロ的

「UXやっていくぞ〜」となった時に、どういう視点で取り組もうとしているのかわからないと、共通認識がないまま進んでしまう。お互いに思ってたのと違うという状態になりかねない。

取り組みという観点でも、マクロ的な視点を持った上で、ミクロ的な取り組みを行なっていくのが重要だと思う。

まとめ

いろんな意味合いでUXという単語が使われいてるので、よく混乱したりコミュニケーションが難しく感じる時がある。

そういう時はどういう視点でのUXなのかを意識すると改善できたりするのかもしれない。

とりあえず私が今考えるUXの捉え方は下記の通り。

  • サービスを利用する時間軸でのマクロ視点とミクロ視点

  • 取り組みとしてのマクロ視点とミクロ視点

これらの視点を元に、共通認識を持ちながら取り組んでいけるといいのかなと思う。

最後に

この記事を書こうと思った理由として、ユーザ体験やUXというワードがいろいろ飛び交う中で、みんなUXに対してどういう捉え方をしているのだろうかと思うことが多かったので、まずは自分の考えを整理するために書いた。

絶対的な正解はないような気がするので、会話して共通認識を持ちながら取り組んでいけるようにしたい。

参考


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