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第1回 はじめに 担当者が考える「デジタルシフト」で最も大事なこと

はじめに

 はじめまして。株式会社RRデジタルメディアでデジタルシフト推進担当をしている小澤と申します。デジタルシフトマガジンで連載をするにあたって私は中小雑誌出版社のデジタルシフト担当者なので他の方々とは異なり、経営者でもなくコンサルでもなく、担当者としての視点からどのようにデジタルシフトをすすめた方がいいのか、どこが「デジタルシフト」においてつまずくポイントなのかこの1年間で試行錯誤してきた内容をお伝えできればと思います。
 コロナの影響もあり、この数年経営戦略を語るにあたって「デジタルシフト」は抜いては語れないものになっているということを感じます。私はRRデジタルメディアという雑誌を3誌出している会社の経理財務担当です。経理財務が専門ではないのですが自分でも会社を経営していた事もあるため、多少数字には明るい事、経営の全般、マーケティング全般にも通じていることから、昨年RRデジタルメディアで財務と経営戦略を代表の大久保ともに進める任に着きました。
 また、私はデジタルシフトの専門家でもないのでデジタルの細かなテクニカル論は詳しくはないのですが、そこは「デジタルシフト」は経営戦略のひとつの手段と思っており、より時代に沿った経営戦略を選択するにあたって今はデジタルシフトは必須なのだ、という意識でいます。
 数字を見ながら経営をサポートしているのと中小企業なのであまりお金もかけられない、リソースも少ないのですぐにアクションに移れるように、経営についてはシンプルに考えていくようにはしています。
 経営は、要は①「どんな商品」を②「どんなマーケット」に③「どうやって運んで」④「どうお金に変えるか」ということであり、この①~④の部分をデジタルシフトしていく事が肝要だと思います。
 RRデジタルメディアでは代表の大久保とこの1年ほどで①~④の部分を少しずつではありますが、デジタルシフトを進めることで成果が出てきました。
 この点については大久保も下記のデジタルシフトマガジンの記事で記載をしておりますのでよろしければ読んでいただければ、デジタルシフトをすすめる経営者の心理も含めて分かりやすいかと思います。

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 そして、まずこちらの文章を読んでいる方(特に経営者の方)に一番お伝えをしたい事はデジタルシフトを推進するためには「デジタルシフトの担当者をきちんと決める事」そして「一度決めたからにはその担当者と二人で二人三脚で必ずやり切るんだ」という固い意志を持つこと、だと思っています。
 私は幸運にも経営者である代表と二人で右往左往しながらも、なんとか前進をすることができていて、まだまだですが結果も出始めています。また、世の中にはデジタルシフトを進める為の方法論や、クラウドサービスや、ツールは溢れています。自社ですべてを開発する必要もないです。ですので、最初にやるぞと決めてしまえばデジタルシフトの取り組みを始めることはさほど難しい事ではありません。
 しかし、デジタルシフトをしなければと思っている経営者の方々も多くいらっしゃるとは思いますし、実際に取り組んでいるというお話も聞きますが、実際のお話を聞くとデジタルシフト推進担当者を決めて、推進室をつくり、「あとはよろしくね」という経営者の方が多いように見受けられます。私の感想でしかないですが、そういう状態で取り組んでも絶対に結果は出ないですし、単なる「デジタルシフトごっこ」で終わる可能性が高いと断言できます。
 理由は先ほどの①~④の経営のポイントのお話で出したように、デジタルシフトはあくまで経営戦略の一つであり、その経営戦略を担当者だけにまかせて進められるほど甘くはない世界だからです。「商品」はその会社の収益元そのものです。これを担当者任せにできるものでもありません。「マーケット」ついても同様で自社の顧客をどう設定するか、という事は会社の経営戦略の根幹です。「どうやって運んで」ということも流通戦略ですのでこの流通戦略がうまくいかないことにはどんなにいい商品を作っても売上を上げることはできません。これも重要な経営戦略です。また「どうやって運んで」という事は「顧客にどう伝えて」という事でもあるのでこれはマーケティングの話でもありますので、さらに経営戦略の根幹です。そして、「どうお金に変えるか」はマネタイズの話ですので、これを担当者任せにする経営者はどうかしてると思います。
 つまり、「デジタルシフト」は重要な経営戦略のそれぞれを「デジタル化」する事で会社を成長軌道にのせる事とも言えますので、担当者だけでどうこうする話ではないのです。
 もし担当者任せにしてしまったとしたら、その瞬間に「デジタルシフト」をするぞという宣言は力を失い、その担当者がいかに「デジタルシフトが大事だ」と叫んでも単に「オオカミが来るぞー」と言っているだけの状態になり、その会社はおそらく1年後も同じ状態で経営をしている事でしょう。その数年後にはおそらく他社に顧客を取られて倒産してしまっているかもしれません。
 ですので、一度デジタルシフトに取り組むと決めたら不退転の決意で、担当者およびデジタルシフト推進部署と取り組むことが大事です。中国三国志「劉備・関羽・張飛」ではないですが、「桃園の誓い」くらいのいきおいで取り組むくらいでいいかと思います。
 逆に、この文章を読んでいる方がデジタルシフトの担当者であるとするならば、その担当者の方も不退転の決意をもつ必要があります。時には経営者に対して「意識を変えてください。デジタルシフトについてもっとお互い勉強していきましょう」と伝えなくてはならない事もあるかもしれません。担当者として各部署に厳しい事を言わなくてはいけない事も多くあります。
 経営戦略の一つを担っているのですから、意識の変革をした次には「組織、制度」を変え、さらには「権限、人材」についても変える必要があるかもしれません。時にはデジタルシフトに気が進まない社内の反対勢力に厳しい態度を取ったり、退場を願うこともあるかもしれません。その時に「社長が言っているから」というレベルで「デジタルシフト」を語っていたら伝わるはずがありません。

 はじめに、ということで第一回は「意識」の部分について多くを費やしましたが本当に重要だと思うので記させて頂きました。しかし、この「意識」と経営者との「握り」(簡単に言えば、あなたが本気なら私も本気でやりますよ、という事です。)の部分がしっかりできれば、あとは世の中に手段はたくさんあります。また、私も参加をしてますが「デジタルシフト塾」などで他の方に教えを請えばいいかと思います。

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次回以降の予定ですが、下記の内容で進めてまいりますのでよろしくお願いいたします。

第2回 雑誌出版社の「商品」とデジタルシフト
     うちの会社の商品って何?
第3回 雑誌出版社の「マーケット(お客様)」とデジタルシフト 
     うちの会社のお客様って誰?
第4回 雑誌出版社の「マーケティング・流通戦略」とデジタルシフト
     うちの会社はどうやったら商品を買ってくれる?
第5回 雑誌出版社の「マネタイズとデジタルシフト」
     うちの会社は何でお金もらってる?

小澤 仁裕(おざわ いつひろ) 
株式会社RRデジタルメディア 執行役員(経営戦略財務担当)  1974 年神奈川県小田原市に生まれ。東京大学農学部を卒業後、味の素に入社し、独立。現在は弊誌MADUROやソトコトの親会社RRデジタルメディアの財務担当役員等を務める。

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