見出し画像

第4回 一旦はキャリアを捨てて新しいことにチャレンジすべき

今回、キャリア論についての連載です。テーマは「時代とともに変化させる、2軸で考えるキャリア論」ですが、時系列に沿ってどんな軸を見つけて、そしてどんな軸を考えながら進めば良いのか進めて行きたいと思います。

前回は幅を広げるための軸のずらし方の話をしました。今回は2社目での社内ジョブチェンジで気がついたことについてです。

企業あるあるな、全く違った職務領域に移動させられる

デジタルな領域からアナログな領域まで色々とチャレンジした後に、部署異動となりました。正確に言えば、それまで管掌していた部署を閉じる結果になったためです。コンテンツ制作は1回ずつ の受発注になるので、浮き沈みが激しいのと、書籍も当たれば大きいのですが外せばまったく入がない形になります。当時、安定的な収入が見込めないサービスについては取り組まないがルールだったので、そのルールに該当したためです。
ニッチな領域での勝負は波に乗れれば大きいのですが、波が落ち着き出すとニッチや特化型=マーケットサイズが大体小さい事にはまり、収益性が悪くなるのです。
そして次に担当になったのが、人材調達と調達した人材へコンテンツを提供することです。
その時にいた企業の強みは、難関大と言われる大学のうちでもトップ数校のみの学生のみを会員としていたところです。そして登録会員に教育系のアルバイト(家庭教師、塾講師、チューター)を提供するのをメイン事業としていました。なので、その大学生に会員になってもらうことと、会員の大学生に毎日メルマガを利用して情報を提供することを行ってたのですが、今回はその領域を担当することがメインのミッションとなりました。

毎日が100本ノック状態

毎日メルマガを配信するのですが、そこはベンチャー。ほぼすべて自分でやってました。やることと言えば、メルマガ配信先のデータ準備配信システムへのセット、メルマガタイトル、文面すべてを決めることです。メルマガタイトルはその日の掲載したい内容を各部署からピックアップし、どのサービスをピックアップするか、どの表現なら結果が最大化されるかを考えながら決めます。毎日メルマガ本文の中で各トピックの見出しが10件以上あるのですが、それらも前日や前回の結果を見て仮説を立てて決めていきます。配信しないのは年末年始くらいだったので、年間350日くらいはこの作業を毎日やったことになります。

学生調達はひたすら泥臭いことから

大学生、しかも特定大学の学生となると通常考えられるウェブを中心としたマーケティング施策が全く通用しません。登録してくれるのも季節性がかなりあります。結局、大学生向けマーケティングの一番の効く施策は、今でも行われてると思いますが、入学式前後のチラシ配布による訴求だったりします。しかし、この施策における一連の経験がその後のマーケティングの知識や施策のベースになりました。

実際の現場で汗をかくからわかること

このチラシ配布はとても奥が深いなと今になって思っています。チラシを実際に作って配布場所に持っていって配布するまで一貫して自分でやってみると、とてつもなく発見が多いです。実際に現場で配る際に、手渡しする場所、手渡しする立ち位置、声がけ、歩行者の目にとまるのか止まらないのか、実際に取ってもらえるかもらえないか、取ってもらって数日中に登録があるかどうか、これらが如実にわかるのです。webマーケティングなどの数値結果から読みとるのも重要ですが、現場ではそれらが露骨に目の前で起きるのです。また、実際の現場は1社だけでなく、複数社が入り混じり配布しています。これらを振り返りで、マーケティング戦略を策定する際のフレームワークに落とし込むと、いろいろなことがはっきりしてきます。

マーケティング・プロセスを学ぶ際は現場に出ろ

上記のように、実際の現場で競合や顧客となりうる方と混じり合いながら手を動かし施策を実施すると、マーケティング・プロセスを策定する際のフレームワークがなぜ重要なのかがほんと分かります。PEST分析から4C4Pまでの一連の流れが如実にわかります。確かにwebマーケティング等は数字を見える化すればスピーディーに施策は回せますが、競合の動きや顧客の思考まで探るには時間がかかります。でも、現場に出れば競合が何をやっていて、顧客はどこを押さえれば大量に接点を作れて、どんな声で反応して、どんなチラシなら見てくれるのか、手にとってくれるのかが目の前ですぐわかります。そこでちょっとでも変えていけば、顧客の反応がどう変わるのかもすぐわかります。これは机の上ではわからない、実際の現場だからこそすぐわかるし、PDCAサイクルを回すことの重要性も身を持ってわかるのです。ケーススタディーで勉強した気になるなら、チラシ配りやティッシュ配りなどを数日やることをお勧めします。

バリューチェーンを一通り経験しろ

その会社では、会員になってもらった大学生にメルマガで情報提供、そこでコンバージョンを起こしてマネタイズするのですが、これらを一通り経験することは、いわばバリューチェーン上でプロセスをまたいだ経験をすることになります。これをやると何が良いかと言うと、部分最適がいかに無駄かがわかります。入口部分を最適化しても出口が最適化されてなければ効果は薄く、また逆もしかりです。なので、俯瞰して全体がなめらかに流れるように最適化したほうが、効果は最大化されるのです。これは大きい会社ではなかなか経験が出来ない、小さい会社だからやりやすいことかもしれません

ジョブチェンジは自ら進んでやったほうが良い

ジョブチェンジは進んでやったほうが良いです。それまでの経験は捨てるのか?となりますが、そうではないです。いかにそれまでの経験を抽象化して、それまでの経験を活かすにはどうしたら良いかを考え落とし込むことで、基礎体力を強化することが出来るのです。そこが自在にできるようになると、実際に違った業務、違った職種に移ったときでもすっと新しいことに馴染むことができ、また、結果を出すためのポイントが明確にしやすくなります。これは、T型人材になるに必須なスキルかもしれません。これからの時代はこれまで以上に新しいことへのチャレンジや順応能力が高いことが求められると思います。そのスキルを付けるためにも、新しい領域でのチャレンジは自ら進んでやったほうが良いと思います。

次回、これは経験しなくてもいいかもしれませんが、キャリアどころの話じゃなくなる経験をしたお話です。

★この著者の記事
 第1回 時代とともに変化させる、2軸で考えるキャリア論
 第2回 自分の中で大切な価値観は早めに気づこう
 第3回 基礎力から出来ることをまず1つ作って強みに昇華する
 第5回 想定外の事が起きる可能性に備えておく
 第6回 名刺となる事例を作る。
 第7回 領域を広げて畳んでを繰り返し、希少価値ある人材へ
 デジタルシフトの時代に必要な「編集力」をつけるために

北野 博俊(Hirotoshi Kitano)
建築構造設計から教育系人材、不動産ベンチャーを経て株式会社ベーシックにてマーケティング部立ち上げを経験。現在、株式会社RRデジタルメディア執行役員、また、傘下の株式会社fluxusにて執行役員、株式会社sotokoto onlineにて取締役及びオンラインディレクター、グループ全体のデジタルシフト、新規事業推進を担当。
◆twitter: https://twitter.com/hirotoshikitano
◆note: https://note.com/kitano_h

▼お問合せやセミナーのご依頼はこちらまでお気軽にご連絡ください。

▼デジタルシフト実践者から学ぶ「デジタルシフト塾」塾生募集中です。

デジタルシフト塾