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村上耕一・斎藤貞雄『機長のマネジメント』産能大出版部、(1997)

絶版になっているのかな。15年ほどまえに子会社のマネジメントを担っていた時に読んだ本。

その子会社は、いわゆる親会社のサービスのオペレーション部門を切り離して、そのオペレーションに特化しつつ新たな価値を産んでいくことが目的だった。現在では、独立してその価値開発やオペレーションを行うという役割を終え、その機能は親会社が吸収し、他部門とより密接に関連した付加価値の創造に寄与していると思っている。

でも、設立した当時はもうね、全然うまくいかなくて→何がうまくいかなかったというと、オペレーションの専門組織のはずなのに、そのオペレーションでミスがでまくっていて、価値の創造とかノウハウの蓄積とかそんなことを考えるレベルではなかったのだった。毎日、顧客に出向いて謝るのが仕事みたいな感じ。

そんな時、類似のビジネスの先人に教えてもらったのが、「旅客機の機長」の考え方の書籍だった。想像できると思うが、飛行中は数百名の命が機長の腕にかかっている。「トラブルがなく、時間通りに目的地に到着する」という当たり前のことができて普通であるのだが、その裏側には多くの人たちの協力と、数多くの尊い命が失われた事故から学んだ知恵やノウハウが満載なのである。それが、とりあえずは人の命はかかっていない業務に役立たないわけはない。運行上のルールの取り決め、機体のマネジメント、クルーたちのマネジメントや育成、乗客のマネジメントなど様々な側面からマネジメント手法が考えられて事故を防ぎ、さらにその事故を防ぐということが「命を守る」というとてつもない高いレベルで判断されていることを知るだけでも、普段の業務改善へのアイディアの宝庫に感じたのだ。

自分が飛行機が好きで、なんだか乗る時にはなんだかワクワクしてしまうのは、こんな本を一時片っ端から読んだせいもあるかもしれない。

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