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「未経験OK!」というのは、「未経験者だからなにも知らなくてもOK」「入社してから何でも教えてもらえる」って事じゃないよ。

これ、時々勘違いしてるかのような方がいらっしゃいます。

どういうことかというと、「募集要項に未経験OK!って書いてある事は、何にも知らなくても大丈夫なんですよね」と思っているのか、その業界のこととか、仕事の内容とか、あるいは仕事をしていく中でどういうことを学ぶ必要があるのか等を全く調べていない人が時々いるんですね。

私のような年配者から見ると「いやいや、これからその仕事をしようとして求人に応募しているのに(しかも今の仕事を辞めてまで)、どうして何にも調べていないの?」って思ってしまうのですが、いまの人達は「未経験OK!って書いてあるし、未経験なんだから知らないのは当たり前でしょ? 事前情報だって教えてもらって当然」と思っているでしょうか。

面接する側としては、せっかくの面接ですし、学歴や職歴などの書類審査は通っている中で時間を作ってきていただいているのですから無碍にする事はありませんが、あまりにも調べていない人だと面接開始の数分で「あとの時間どうしようかな…」なんて思ってしまうのです。

だって、面接というのは企業のことを知ってもらう企業説明会ではなくて、候補者の事を企業が知って自社で活躍できるかどうかを判断する場なのですから。そりゃ「未経験OK!」と書いてあるし、履歴書・職務経歴書を読めば、「ああ、未経験ですよね」ということはもちろんわかります。でも、「で、あなたは何がしたいの?何ができるの?」を企業が候補者に聞く場が面接じゃないですか。

「もともと、広告やマーケティングに興味があったんです」という方もたくさんいらっしゃいます。でも、興味があるのであれば、どんな仕事なのか、どんな業界でどんなプレイヤー達がいるのか。どんな知識が求められるのかを調べて、自分にできるのかどうか、向いているのかどうかを考えてから普通応募しませんか?

例えば、食品企業を受けようと思う場合、その企業はどんな製品を製造してて、どの商品が人気で、競合企業と比べてどんな技術的な特徴があるのか?とか、その企業の人気商品の市場はどのくらいの規模で、シェアはどのくらいでとか、調べませんか?

それとか、その企業で仕事をする際にどんな資格を持っていると有利なのか、何か資格は必要になってくるのか、何を学んでいく必要があるのか?とか(まぁ、製造方法とか食材・原料の動向とか、営業としての商品知識はどこまで必要かとか)、その業界全体の経営課題は何かとか(労働人口の減少とか人員の確保とか、円安の行方とか、原材料輸出国の政情安定とか)、まぁ、いっぱいあるじゃないですか。

そもそも、そういうことまで調べてから「この業界、この企業は面白そうだし、将来性もありそうだから受けてみようかな?」って思うんじゃないですかねぇ。

広告会社やマーケティング会社にも同じものがあるんですよ。もう、応募する前に普通調べるでしょ、そのくらい?、あるいは、それを調べずになんで転職に応募できるの?っていうのが。

仕事の内容とか、業界地図とか、各社の売上規模とか、広告のビジネスモデルとか、メディアの動向とか(そもそもどんなメディアが存在しているのかとか)、消費者の動向とか(デジタル化が進んでいるとか言ったって、じゃぁデジタルメディアとマスメディアの視聴時間の比較とかさ…)、どんなクライアントがどのくらいの広告費を使っているのかとか、調べないですか?。
これから、もしかしたら働くかも知れない、業界のことですよ。

あと、そこで働くにあたってはどんな人が働いているのか?大学の時にどういうことを学んできた人が多いのかとか、どんな知識が必要なのかとか。
例えばデジタル広告の領域だったら、どのくらいのIT知識が求められるのか?とか、マーケティングの仕事ってどういうことを知っておく必要があるのかとかですよ。
だって、マーケティングも広告も大学の授業になっているくらいじゃないですか、専門の学部もありますし大学院でもやってますし、って事はそれは学問にもなっているんだから、どういうことがそこに書かれているのか、とか。ちょっと大きな本屋にいくと、「広告」「マーケティング」「消費行動」なんてコーナーや棚がある訳ですが(行ったことあります?探してみたことあります?)、そこにはいろんな学術書やビジネス書が置かれているわけですし、そこにある本にはどんなことが書かれているのか?とか。

調べないですか?これから、もしかしたら働くかも知れない、業界のことですよ。

しかも、未経験でその会社に入社しようとするのであれば、自分が入社したら周囲はみんな経験者(たとえ、一ヶ月前の入社だったとしても、すでに1ヶ月は先に経験しているので経験者です)で、自分だけが未経験になるんですね。

だとしたら、どれだけの事をすれば「経験者」の人達に追いつけるのか気になりませんか?もし、少しでも経験している人が後から来たら、あっという間に追い越されてしまう事もあるんですよね、年齢に関係なく。

もうね、「教えてもらえばいい」「未経験者だから知らなくても大丈夫」じゃないんですよ、「未経験OK!」という求人は。

どういうことかと、もうおわかりですね。

「未経験OK!」っていう求人は、実は未経験というだけで書類審査は落としませんと宣言しているだけですし、さらにはいわば、「門戸は開いている」だけなんですね。

門戸が開いているだけなので、その開いている門戸をくぐる前、くぐったあとはみんなあなた次第ということなんです。つまり「未経験OK!」ということは「もし、いまあなたが未経験だったとしても、これから必死で勉強してついてくる気があるのであれば、こちらもそのサポートは必死でします」ということでしかないんです。

このあたり、「未経験OK!」と言うことを勘違いして何も調べずに面接に向かってしまうと、面接官からの「あなた何しにきたの?」「そこを調べずにどうして応募してきたの?」といったオーラを浴びてしまうことになります。

あと、当社の場合ですが、「調べる能力」があるかどうかは選考過程で見ています。だって、マーケティングのコンサルティング会社ですから、市場動向、トレンド、競合情報、経済動向などなど、マーケティング戦略には様々な影響要因があります。

さすがにそれは、自分自身でインプットできないと一人前になれません。
消費トレンドや競合情報なんて教えてもらうもんじゃありません。あなたが調べて、教える側にならないと全く無意味なんです。だって、コンサルティングするのはこちらなんですから。コンサルタントがいろいろと教えてもらってたんじゃ、それはもうコンサルタントとしては失格です。

なので、自分で「わからない」と思ったときに、「調べる能力」「探し出せる能力」「見つける能力」「見つかる能力」とても重要なんです。

ですから、人と話をする前にどれだけ事前のリサーチができるのか?っていうのは、とっても大切なんですね。面接の場なのですから、当然それができるかできないかはその場で判断されると思ってもらって良いでしょう。

うーん。ちょっと今回は愚痴みたいになってしまった。


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