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新卒で入社するのは、大手が良いですか、それともベンチャー(スタートアップ)が良いですか。

「どっちでも好きにしてください」としか言いようがないのですが、1,000人ほどの準大手くらいの企業から設立直後の5名しかいないスタートアップに出向した経験を持つ「お父さん」的な年齢の立場の私から言うと「大手にしておけば、あとで進路は変更ができるよ」と言うことにしています。

リアルな話ですが、自分の息子の就活の時も同じことを言いました。

この質問はとても答えるのが難しい質問で、過去にも様々な方がアドバイスをしていると思います。結局は、大手に行ってもベンチャー(スタートアップ)に行っても、それぞれメリット・デメリットがあるので、それをどう捉えるのかといった視点で考えていくしかありません。

それでも、なぜ私が父親目線で大手を薦める理由が以下の2点になります。

1)いまどき、終身雇用がずっと続くと、みなさん自身も思っていないから。
ベンチャーを薦める多くの人が「大手と言っても、将来はわからない」「30年後にその仕事があるかわからないし、そんな会社に人生を捧げるのはナンセンスである」「大手で出世するのは時間がかかるし、なかなか仕事を任せてもらえないので早いうちに良い経験ができない」「(女性に対しては)男社会だよ」といった理由をあげます。要は、「大手に行っても先はあまりないよ」と言う事です。

でも、今時終身雇用がこれから先も続くわけはないとか、大手はいまだに年功序列的な社風が残っているとか、そんなことは皆さんもすでにわかっていますよね?

であれば、どちらの道を進んでも将来には自ら新しい仕事を作っていく覚悟はみんなが持たなければいけないので、そういった意味では大手とかベンチャーという区別はこの時点で意味がないのです。

どちらに行っても、皆さんは3−5年程度で一度は転職のことを考えると思いますし。

2)人材の育成に時間をかけてもらえる方が、後からそれが生きてくるから。

「ベンチャー(スタートアップ)では、早くから自分の意見を出せるし、重要な仕事を任せてもらえる」と言われます。
これ、ベンチャーにいる人も勘違いをしていることが多いのですが、ベンチャーだから早いうちから自分の意見を言えるとか、重要な仕事を任せてもらえるのではないのです。リアルな話では「長く働いている人がいないから、早いうちから意見を言って、重要な仕事も一人でやらなきゃいけない」というのが正解なんです。Canとmustの違いですね。

似たような説明に「ベンチャーでは、仕事のバリエーションが多く、多くのことを経験することができる」というのもあるのですが、これも「ベンチャーでは、ありとあらゆることを自分でしなきゃいけない」が正解です。どちらかと言えば、仕方なくそこまで手を広げなくてはいけない、と言う感じです。

一方で、大手あるいはベンチャーでも従業員数が多いところだと、人材育成や教育制度がきちんと整っているところが多いです。また、仕事のレベルも長年の歴史の中できちんと区分されている事が多いですから、OJTでも「入社時にはまずこれから、次にこの業務を経験し、慣れてきたらこっちの業務を追加していく」と言った感じで無理なく業務を覚えていく流れが出来上がっている事でしょう。ところが、特にスタートアップではそのような制度がまだ整っていない事が多いのが事実です。

スタートアップでは,人がまだまだ少ないのに色々な事が次から次に起きるので、少ない人数でそれに対応をしていく必要があります。さらに、スタートアップに在籍している先輩達でも経験した事がないこと、想像もしていなかった事もビジネスの中では起きるわけで、いつでも「猫の手も借りたい」と言ったところでしょう。そこで、猫の手として新人の意見も求められ、意見が通ると「言い出しっぺがやりなよ」と,その仕事を担当する事になるのはよく見かける光景です。

それでも、うまく回っているのであれば良いのですが、もしそこで何かミスをしてしまうと、取引先の信用を一気に失うことになったり、そのリカバリーで対応作業が膨れ上がることもあります。 大手であれば、実は「新人はミスをする」という前提で、業務を担当してもらっていますので、たとえミスをしたとしても指導をしている先輩がいつの間にかカバーしてくれます。また、例えば、会社か傾くかと思うくらいのミス(長年社会人をやっていると、誰もがそう思うようなミスの経験はあるものです)でも、大手であれば奥からよく知らない偉いおじさんが出てきて取引先に行くだけで何事もなく取引先の怒りが収まってしまうこともあります。

つまり、大手では社員に対しての教育制度やチームによるサポート、上司などを含めた大手ならでは組織力と言う力が持てるのです。流石に,小規模ベンチャーやスタートアップでは、組織力はまず期待できません。

今日は、長くなってきたのでこの辺りにしますが、何かをやっていきたいと考える時に、教育制度がないところで自ら現実の業務から知識やスキルをきちんと身につけていくということは、実はとても難しいことなのです。普段の業務に忙殺されてしまうことも多く、また長時間の労働や忙しさを充実感ややりがい、成し遂げた感と勘違いしてしまうこともあります。自分ではスキルを身につけ成長したと思っても、それは単に目の前の作業をこなせるようになっただけであり、別の企業では全く役に立たないとうこともあります。

そう言った状態を避ける為にも、実は企業にとって人材育成という視点はとても重要ですし、企業を選んでいく時に自分の将来を見据えた場合、きちんとした教育体制があるかどうかは、とても大切なポイントなのです。「そんなものいらない!!とにかく、今すぐ活躍できる仕事があるところがいいのだ!」と言われる方は、どうぞいきなりスタートアップやベンチャーに行くのも良いでしょう。ただ、業務の中で、自分の力だけでステップを登っていくことは、なかなか難しいことだと認識はしていただければと思います。

それゆえ、お父さん目線の私としては、どっちかといえば、大手系から考えた方がいいのでは?と言ったアドバイスになることを理解していただければと思います。

実は、私の一番のおすすめコースが「なるべく大手企業に就職し、そこで子会社を作ってスピンアウトする」なのですが、それについてはまた別の記事でまとめてみます。

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