見出し画像

15年分の電波データから時空間「ミューマー(Murmur)」の証拠が発見された

NASAのカリフォルニア州パサディナにあるJPL研究所(Jet Propulsion Laboratory in Pasadena, Calif.)は2023年06月28日に、科学者たちは、重力波、すなわち時空の布の波紋が、普遍的な背景にあるという証拠を発見したと報告した。

ブラックホールやその他の大質量天体が宇宙空間を運動すると、重力波と呼ばれる宇宙の波紋ができる。

2023年06月28日、科学者たちは、宇宙を満たす長波長の重力波の背景を示す最初の証拠を発表した。

これらの波は、太陽の何十億倍もの質量を持つ超大質量ブラックホールが、合体する前に互いに周回することによって、長い年月をかけて作られたと考えられている。

重力波の背景を検出することは、パーティーで大勢の人が話しているときに、特定の声を聞き分けることなく、そのざわめきを聞くことに似ている。

NANOGrav(North American Nanohertz Observatory for Gravitational Waves)

NANOGravによって検出された背景のさざ波は、重力波がどのように作られ、宇宙を伝播するときに重力波がどうなるかを科学者がよりよく理解するのに役立つだろう。

また、何百万年も続く超大質量ブラックホールの合体現象の研究にも利用できるかもしれない。

科学者たちは、このような合体はほとんどの銀河で起こり、銀河の進化に影響を与えていると考えている。

NANOGrav(North American Nanohertz Observatory for Gravitational Waves)は、Astrophysical Journal Lettersに掲載された一連の論文でこの証拠を発表した。

物理学フロンティアセンター(Physics Frontiers Center)

NANOGravは、南カリフォルニアのNASAジェット推進研究所やその他のNASAセンターの科学者を含む、アメリカとカナダの190人以上の科学者からなる米国のNSF(National Science Foundation/全米科学財団/国立科学財団)出資の物理学フロンティアセンター(Physics Frontiers Center)である。この共同研究は、15年以上かけて地上の電波望遠鏡から高精度のデータを収集し、重力波を探してきた。

LIGO(Laser Interferometer Gravitational Observatory/レーザー干渉計重力天文台)

今回の発見は、LIGO(Laser Interferometer Gravitational Observatory/レーザー干渉計重力天文台)が2015年に世界で初めて検出した重力波を補完するものである。

これらの信号は、今回の発見よりもはるかに短い波長で、太陽の約30倍の質量を持つブラックホールからのものであった。

NASAは、ESA(European Space Agency/欧州宇宙機関)主導のレーザー干渉計スペースアンテナミッション(Laser Interferometer Space Antenna mission)に貢献している。このミッションは、NANOGravとLIGOによって検出された波長の中間に位置する重力波を検出する将来の宇宙ベースの観測所である。

Calla Cofield
Jet Propulsion Laboratory, Pasadena, Calif.
626-808-2469
calla.e.cofield@jpl.nasa.gov
2023-092

https://www.jpl.nasa.gov/news/15-years-of-radio-data-reveals-evidence-of-spacetime-murmur
https://nanograv.org/
https://www.ligo.caltech.edu/
https://www.caltech.edu/about/news/scientists-find-evidence-for-slow-rolling-sea-of-gravitational-waves

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?