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光合成ではなく、光の届かない深海で作られる「暗黒酸素(Dark Oxygen)」の発見と問題。

Forbesのレシール・カッツ(Leslie Katz)は2024年07月23日に、科学者らは太平洋の深い海底で作られている酸素を見つけたと報告した。
それを日本語に翻訳してForbesJAPANは2024年08月25日に、「光合成ではない、光の届かない深海で作られる『暗黒酸素(Dark Oxygen)』を発見」を公開した。

ただし、イギリスで起こった産業革命が、膨大な問題を噴出したように短絡的な行動は慎まなければならない。

ISA(International Seabed Authority/国際海底機構)は、国連海洋法条約に基づいて設立された国際機関であり、その主な目的は、深海底(いずれの国の管轄権もおよばない海底とその下)における鉱物資源採掘を管理している。

https://www.isa.org.jm

この現象は、多金属団塊と呼ばれる古代のプラム大の地層が点在する地域で発見された。研究者らは、この団塊が水分子の分解を触媒することで酸素生成に関与している可能性があると考えている。この発見は「Nature Geoscience1」に掲載されている。

「地球には光合成以外にも酸素の供給源がある」と、イギリスのオーバンにあるスコットランド海洋科学協会の海底生態学者で、研究の共著者であるアンドリュー・スウィートマン(Andrew Sweetman, a sea-floor ecologist at the Scottish Association for Marine Science in Oban, UK — although the mechanism behind this oxygen production remains a mystery)は言う。ただし、この酸素生成の背後にあるメカニズムは謎のままで、この発見は、生命の起源の理解や、この地域の深海採掘の影響の可能性にも影響を与える可能性があると、スウィートマンは言う。

オーデンセにある南デンマーク大学の生物地球化学者ドナルド・キャンフィールド(Donald Canfield, a biogeochemist at the University of Southern Denmark in Odense)は、この観察は「興味深い。」「しかし、多くの疑問が浮かび上がってくる一方で、答えがあまり得られないので、イライラします。」と言う。

研究者たちは、クラリオン・クリッパートン地帯の海底生態系(sea-floor ecosystems in the Clarion–Clipperton Zone)を調査していた。この地域はハワイとメキシコの間にあり、インドよりも広く、金属を豊富に含む団塊の採掘の潜在的なターゲットとなっている。

イリノイ州エバンストンにあるノースウェスタン大学の化学者で共著者のフランツ・ガイガー(Co-author Franz Geiger, a chemist at Northwestern University in Evanston, Illinois)は、この反応が分子状水素も生成するのか(触媒のおかげで工業用電解反応で起こる)、それとも水中に陽子を放出して残りの電子をどこか別の場所に移動するのかはまだ不明だと述べている。しかし、この反応を理解することで、最終的に有用な用途が生まれる可能性があると彼は言う。「おそらく、海の底には、より優れた触媒を作るのに役立つ青写真があるのだろう。」

イギリスのセント・アンドリュース大学の生物地球化学者エヴァ・シュテューケン(Eva Stüeken, a biogeochemist at the University of St Andrews, UK)は、この結果は太陽系外惑星の光スペクトルから生命の痕跡を探すという提案にも影響を与える可能性があると語る。「他の惑星に酸素ガスが存在するかどうかは、おそらくさらに慎重に解釈する必要があるでしょう」と彼女は言う。

スウィートマンは、深海採掘を始める前に、研究者は酸素生成が行われている地域を地図に描くべきだと言う。

そうしないと、団塊が除去されると、酸素に依存している生態系が崩壊する恐れがある。「酸素が大量に生成されているとしたら、そこに生息する動物にとって重要なものになる可能性がある。」

このメカニズムが解明できると、また輸送により起こる問題を解決できるかもしれない。

自然界には、分かっているより多くのことが起こっているのかもしれない。

また、多くのエネルギー企業が苦労している水素や酸素、アンモニアの管理方法も解決できるかもしれない。

2024年07月22日---海底で謎の酸素源が発見され、科学者を困惑させている
2022年12月06日---ニッポンの資源、再発見 海底・都市鉱山…資源高で脚光
2019年08月24日---眠れる鉱物標本、最新技術で脚光 京大「比企コレクション」毎日新聞

https://www.nature.com/articles/d41586-023-02290-5

doi: https://doi.org/10.1038/d41586-024-02393-7

https://www.isa.org.jm
https://www.nature.com/articles/d41586-024-00088-7
https://www.nature.com/articles/d41586-024-02393-7
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB292CR0Z21C22A1000000/
https://www.nikkei.com/nkd/company/?scode=5019
https://www.nikkei.com/nkd/company/?scode=5021
https://www.nikkei.com/nkd/company/?scode=8031
https://www.nikkei.com/nkd/company/?scode=1963
https://www.nikkei.com/nkd/company/?scode=8802
https://www.scientificamerican.com/article/dark-oxygen-discovered-coming-from-mineral-deposits-on-deep-seafloor/
https://www.forbes.com/sites/lesliekatz/2024/07/23/scientists-discover-deep-sea-geobatteries-that-make-oxygen-in-the-dark/
https://forbesjapan.com/articles/detail/72650

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