2023年の信頼の危機。

米国の世論調査会社ギャラップ(Gallup)のフランク・ニューポート(Frank Newport)は2023年12月31日に、ギャラップは2023年、アメリカの世論に関するさまざまな尺度を取り上げたが、その多くはギャラップの同僚のモハメド・ユニス(Mohamed Younis)とメアリー・クレア・エヴァンス(Mary Claire Evans)による最近のレビューで見事に取り上げられている。
特にフランク・ニューポートの注意を引いたのは4つの大きな傾向であり、これらを総合すると、米国のの民主主義の将来にとって重要な意味を持つ。

*それは同時に、世界中に影響することだろう。

https://news.gallup.com/opinion/gallup/547508/year-review-2023-notable-findings.aspx

その第一は、アメリカ人の制度に対する信頼が低下し続けていることである。ギャラップの同僚のリディア・サード(Lydia Saad)は、2023年初めにギャラップ調査結果に関する報告書の中で、「毎年評価される15の機関のうち、イメージを修復できた機関はなく、多くの機関が過去最低かそれに近い水準にとどまっている。」と要約している。
もちろん、信頼感の低下傾向は機関によって異なる。
しかし、リディアが指摘するように、大局的な結論は、医療、教育、大企業の役割、ガバナンスなどに対する社会の取り組み方にアメリカ人が自信を持っていると答える可能性がますます低くなっているということである。

https://news.gallup.com/poll/508169/historically-low-faith-institutions-continues.aspx

これと同様に、米国の現状に対する米国人の全体的な満足度も非常に低く、11月では19％、議会の支持や経済評価も同様である。

*米国は、ひたすら、最低に向かっている。

https://news.gallup.com/poll/1669/General-Mood-Country.aspx
https://news.gallup.com/poll/1600/Congress-Public.aspx
https://news.gallup.com/poll/1609/Consumer-Views-Economy.aspx

2番目の傾向は、性生殖や結婚に関する特定の行為は道徳的に許容されると人々が言う傾向が高まっていることである。 言い換えれば、米国人の行動に対する規範的な制限についての合意は少なくなり、米国人の文化において以前はタブーであったものの多くが、現在では許容範囲内に収まるようになっている。

https://news.gallup.com/poll/507230/fewer-say-sex-relations-morally-acceptable.aspx

3番目の傾向は、アメリカ人の宗教に対する同一視の低下と、それに伴う宗教的行動の減少である。
こうした傾向はかなり前から進行しており、特に、自分には宗教的アイデンティティがないと答えるアメリカ人、つまり宗教的「無宗教」として知られる人の割合が増加している。

さらに、教会やその他の宗教施設の会員であるアメリカ人は減少しており、教会への出席者も(パンデミックによる混乱で測定するのは依然として難しいが)減少している。

https://news.gallup.com/poll/1690/Religion.aspx

宗教は歴史的に、道徳や価値観の規範、場合によっては社会のシステムや構造の根底にあり、正当化する権威ある力である。 宗教の影響力が弱まるにつれて、人々は社会のこれらの側面を恣意的または無関係であると考える傾向が強まる可能性がある。

4番目の傾向は、政治的二極化の増加であることは十分に裏付けられている。つまり、個人の政治的アイデンティティが、政治だけでなく社会、経済、文化に対する見方を形作る力である。2023年初めのフランク・ニューポートのレビューでは、ギャラップが測定した24の政策とライフスタイルの問題のほとんどについて、共和党と民主党が、しばしば大きく異なることが示された。

アメリカ人の生活における政治的アイデンティティの力の増大は、宗教の関連性の低下によって生じた空白を埋めるため、アメリカ人の生活における宗教的アイデンティティの力の減少を伴った。アメリカ人たちの世界観や人生へのアプローチを定着させるのに役立つ権威の源を探している一部の人間は、政治に目を向けているかもしれない。

https://news.gallup.com/poll/509129/update-partisan-gaps-expand-government-power-climate.aspx

これらの傾向は、アメリカ国民の間で全般的な信頼の危機。つまり規範的正当性の低下(decline in normative legitimacy)とフランク・ニューポートが呼ぶものを示唆している。これにより結果が生じる可能性がある。社会学者たちは、主要な社会的課題に対処する方法、つまり社会の機能の中核要素にアプローチする一般的な基準や方法について、社会が共通の期待を持っていたに違いないと語る。 そうしないと、混乱が支配する。 社会には、実際の法的制限を伴わない行動を管理する非公式のルール (norms/規範)も必要である。

やるべきこと？

もちろん、関心のある問題は、この正当性に対する認識の変化に社会がどのように対処すべきかということである。

こうしたアメリカ世論の変化は、最近のアメリカの状況を示す通信簿と見ることができる(国民の答えは「良くない！」)。 教育、医療制度、メディア、大企業、そして特に国の政治制度など、制度に対する信頼の低下は、これらの制度がどのように充実しているか(あるいはそうでないか)を評価する平均的なアメリカ人の側からすれば、合理的な反応とみなすことができる。目的を達成する。

そして、規範は進化しなければならないという前提の下では、道徳的規範や価値観の規範の遵守が低下することも合理的である可能性がある。

約100年前、米国の規範は女性が社会のさまざまな側面に参加することを本質的に妨げ、特に南部では、規範により黒人アメリカ人が社会の多くの経済的、社会的、政治的側面に参加することが妨げられていた。ほとんどの人は、こうした規範を変えることが社会にとって有益であると主張するでしょう。

この観点から、米国人は国民を真剣に受け止め、規範的正当性の危機を行動への呼びかけとして定義し、対処する必要があるアメリカ社会の欠陥を浮き彫りにすることができる。

より一般的に増大する冷笑主義の兆候

しかし、正当性に対する認識の低下には、国の制度における不正行為への具体的な対応や時代遅れの規範を更新する必要性だけではない可能性がある。

アメリカ人たちは、社会制度や構造に対する根本的に懐疑的で冷笑的で否定的な見方によって定義される時代に入りつつあるのかもしれない。 私たちはこれを恣意性の時代(the age of arbitrariness)と呼ぶことができる。これは、社会構造は恣意的であり、固有の正当性を持たないという考えである。

https://news.gallup.com/opinion/polling-matters/547766/crisis-confidence-2023.aspx