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【最近読んだ本】ノンフィクション2冊の感想『モサド・ファイル』『

基本小説しか読まない私だが、気分転換にノンフィクションを読んだら面白かったので、2冊続けてみた。

『モサド・ファイル』

イスラエルの諜報機関「モサド」の活動を時間を追って取り上げたノンフィクション。

イスラエルには3つの敵がいる。1つめは、現在の国家存続への障害となっているアラブのイスラム主義国家とパレスチナ人。2つめは、ユダヤ人虐殺を行ったナチスとその協力者(の残党)。3つめは、世界各地に暮らすユダヤ人を迫害する勢力。

これらとの戦いを、時代を追って詳細に取り上げている。

一章一章が映画化できそうなボリュームと緊迫感があって、一気に読めた。

特にナチスのアドルフ・アイヒマン逮捕やイラクの長距離砲を巡る陰謀戦のパートが面白かった。(イラクの長距離砲の話は、F.フォーサイスが「紙の拳」の元になっている)

「ヨーロッパで最も危険な男」と呼ばれたオットー・スコルツェニーも意外な形で出てくる。

平和なのが当たり前の現代の日本人にとっては、これが全て第二次世界大戦後に起こった事と思うと驚かされる。

『プロ野球「経営」全史』

日本のプロ野球の黎明期から現代までの球団を所有(ネーミングライツ含む)した企業の視点から描いたノンフィクション。

プロ野球は野球選手が試合する競技だが、それができるのも組織・企業あっての結果である。日頃取り上げられることの少ない「フロント」の興亡史として非常に面白い。

特に、戦後の混乱期の球団の乱立と14球団によるセパ2リーグ制への移行(パリーグが8球団あった)の経緯は緊迫感があって面白かった。

新聞、映画、鉄道、食品、流通、ITと親会社の主流が、社会の流れに沿って移っていくのが社会を反映している。

私もいい歳で、昔からプロ野球を見続けているが、実際には知らない球団が多い。

私が覚えているので一番古い新興球団は日本ハムだが、この日ハムが登場するのが、全446ページの351ページ目。近鉄バッファローズの解散と1リーグ制への流れ、楽天の参入による2リーグ制維持と、大きなドラマがあった2004年が399ページとかなり後半になる。

それだけ日本プロ野球の歴史が永いって事だが、個人的には、阪急・南海の撤退や1リーグ制騒動の部分は申し越し詳細を知りたいとは思った。

作者の阪神タイガースへの思い入れ(と巨人への反感)が目立ちすぎている部分もあるが、日本の産業史・企業史としても読める力作。


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