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「ドーダー」と「ハッタリ」と「しゃべくり」と

先週『IT&MARKETING EXPO 2021春』という3日間のイベント(オンライン)に参加し、全30講演中20講演以上を視聴した。最後のほうは意地になって見てた感があるが、だいぶ疲れた。

マーケティングテクノロジーを中心に、行動工学など、内容は参考になるものが多かったが、何より感じたのは登壇するプレゼンターのハンパない自然体っぷり。これがすごく心地いい。こちらも構えないから、話している内容がすーっと入ってくる。

これは10年以上前から感じていたことだが、プレゼンテーションの登壇者は「どーだー、すごいだろう」というアピールが中心の「オレオレ自慢系」や、1を10ぐらいに盛ってしゃべる「忍者ハッタリ君」が年々減少し、すっかり絶滅危惧種となっている。

ペラペラペラペラ立板に水のごとく、ものすごいスムーズに喋る、講談師のような「しゃべくりプレゼンター」も絶滅しつつある。

トークセッションも、バチバチ互いを牽制しながら主導権の奪い合いなんていう場は皆無で、みな、友達の家で会話してるが如くのトークを繰り広げる。そして、パネリストは皆ともだちだ。繋がりで出演者を連れてくる。ある意味、ものすご~くゆるい世界観。

衣装も含めて「ちょっとその辺まで来たんで、寄ってみました」的なノリで、画面に向かっている登壇者が多い。『バッチリ決めた衣装で』という人は、僕の見た限り、男女とも一人もいなかった。

自社ソリューションのアピール場面でも「あ、なんか、これ見てもらえれば分かると思うんで」と、投影する画面が主役で、しゃべりの熱量が相当低い。これは、いろいろと言葉を並べたてるより、1つのファクト_成果を見せるほうがいい、と思っているからであり、自分たちのソリューションに相当の自信があるからだ。実際にそれは肌で、いや、目と耳で感じた。

ぐわーっと押し寄せる迫力ある喋り/バキバキにエフェクトのかかった映像/アニメーションをガンガンに効かせたパワポスライド・・・使ってる言葉が私の時代と年齢を表しているが、とにかく、こうしたプレゼンテーションは、すっかり過去のものとなった。

「プレゼンが上手い」なんて、もてはやされた時代が私にもあったが、ドーダー&ハッタリをしゃべくり倒してきただけ、である。昔はそれでよかったのだ。ただ、今この瞬間は、上手と言ってもらえるか自信はない。私の芸風は完全に「古典」のジャンルに分類される。

かといって「今どき風」を真似するとヤケドする。カラオケで昭和歌謡しか歌えないオッサンが、ラップに挑戦するのに等しい。それはイタイ。

となると、あとは、古典は古典でも「見てもらえる古典芸能」を目指すしかない。参考になるのは、いまだと神田伯山さんか。個人的には「笑点」かな。もちろん、あれは若者が見てるとは言えないけど「大喜利」という芸はは、SNS上でも利用され、第七世代もモチーフにするなど、今も面白がられる。

しかし、それだと、お客はあんまり入らないだろう。スーパー歌舞伎みたいなのを考えてみようか。いや、あまり余計なことはしないほうがいい。プレゼンは伝わればいいのだ。大事なのは「相手の懐に落ちるかどうか」。演出でどうこうしようと考えるのは悪い癖だ。

今度、「Hey-yo ♪」と、心の中でつぶやきながら、やってみっかな。でも、そういうことじゃ、ないんだよな(笑)。

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