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「丁寧すぎる」が、ちょうどいい。

昨年、新入社員がうちの部署に入ってきました。
頭脳明晰、明るくて性格もよい。
高橋という名の女性です。
初めての慣れない仕事にも、とにかく一生懸命。
とても優秀です。

いいんだけど・・・

そんな彼女に、割と初期にアドバイスしたのが、ビジネスメールの書き方。

経理部から急な書類提出の依頼があったので、部署内のMTGで私が彼女に「このデータ、2日前のものだから、岡田さんから最新のデータもらってくれる?」と指示したときの話です。

メールを送る相手は、現在出向先の子会社で役員を務められている50代半ばの女性社員・岡田さん。新人・高橋が送ったメールが下記。

岡田さま
お疲れ様です。
商品を販売した対象者データですが、
部長の指示で、最新版を送ってもらえますか? 
今日中によろしくお願いします。
高橋

カーボンコピー(cc)で私も宛先に入っており、これを見た私はすぐさま「ヤバい!」と思って、岡田さんに速攻でメールを送りました。

岡田さま

おつかれさまです。
先日は、大量のデータを見やすい形にして早急にお送りいただき、誠にありがとうございました。

高橋から依頼させていただいた件ですが、急遽明日の9時までに、最新の実績額を経理部に提出することになり、本日時点の最新データをいただきたく、お願いした次第です。

データは、現時点(16時)で記録されているもので結構です。加工などはお手間ですので、そのままお送りいただければ幸いです。

何度もお手数をおかけし、かつ、急なお願いとなり誠に恐縮ですが、ご手配くださいますよう、何卒よろしくお願いいたします。

 堀川

メールを送ったあと、高橋に「ちょっといいかな?」と、会議室に呼んで、次の話をしました。

・高橋が送ったメールの内容は間違っていない 
・ただ、新人であることと、相手が目上の方(しかも大先輩)であるので、文章はもう少し丁寧にしたほうがよい
・仕事は継続体なので、前後の流れや背景を意識してほしい

そして、
「丁寧すぎるぐらいに書くのが、ちょうどいいかもね」と、付け加えました。

「これを参考にしてみて」と、私が岡田さんに送ったメールのハードコピーを手渡し、上記の指導ポイントをより具体的に解説しました。

彼女は目を丸くして、私の書いた文書をみてました。私はそれ以上、何も言いませんでした。

今の若い子たちは、とにかく短文勝負。ツィッターは短文で、LINEも2〜8文字。あとはスタンプ。でも、その短文のセンスが、すごく良い。グループで部下のやり取りを見ててたまに入ろうとするが、入りづらい。私には、なかなか真似ができない。

ビジネスも、短文許容時代が来る?

ただ、ビジネスメールは、まだ、それを許容しているとは言い難いので、指導が必要です。「りょ」とか「おけ」とか、使えるようになると、それはそれで便利ですが。

私が岡田さんに送ったメールは、ちょっと、へりくだりすぎかも知れません。しかも、私もあまり好きじゃない「させていただく」も使ってます。

ただ、これは上司としてのお詫び(教育不行き届き)的な意味合いもあるので、このぐらいでちょうどいい、と思っています。

私は以前、メールで大失敗した経験があり、少し恐怖症なところがあります。それゆえ、気を遣いすぎ/書きすぎ、だなと自覚しつつ、その時間がムダかもしれず、と思いつつ、なかなか止められません。

その後、飲み込みの早い高橋は「丁寧すぎるぐらいに書く」技を、瞬時にマスターして、元々高かった彼女の人物評を盤石なものとしながら、大活躍しています。

単なるスキル、ですが、誤解の元にもなるのがメールの文章。そんなつもりは本人に全然ないのに「あの子はエラそうだ」とか言われると、もったいないので。


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