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(個人)住民税ってなんだ??

毎年6月から金額が変更されてくる住民税、入社2年目の方や退職後の最初の6月に負担を一番感じる住民税について今回は解説していきたいと思います。なお今回は個人住民税にスポットを当ててみます。


そもそも住民税ってどういったもの?

税金について意識をしたことがない方もいらっしゃるかと思いますが、住民税は一般的に言われる所得税とは似ているようで全く違います。

所得税と住民税の同じところ

今回取り上げる所得税と住民税は個人が稼いだお金に関して課せられる税金となります。所得に着目している点で住民税と所得税は同じ税金です。
なお住民税という税金はなく都道府県民税と市町村民税の合計金額となります。

まず今回の着目点は「個人」が主体となっているとこです。

法人にも法人県民税市民税がありますが、またべつの機会にお話しします。

皆さんが馴染みが深くなっているのは主体が個人つまり皆様になっているためです。これは所得税も個人に課される税金としてなじみ深いものとなっている点と同様です。

続いての着眼点は「課税所得」に対して課されているということです。

よく混同しがちなのですが【収入】【所得】は全く違うものです。
収入は文字通り入ってくるお金になります。給料をもらっている人は額面といわれるものです。一方所得は収入から経費を差し引いた利益になります。
給料をもらっている人は概算で経費が計上されますので収入により所得が自動的に計算されます。

給与所得控除

この儲けといわれる利益【所得】にから更に生活面等の考慮をする所得控除を引いた金額がやっと【課税所得】となります。
所得控除の代表は社会保険料控除で給料から天引きされている分が所得から引かれることとなります。社会保険も経費としても所得控除としても引けないとなると社会保険料分も完全に私費となってしまうため、これは非常に納得しやすいと思います。

所得税も住民税も一部計算方法が異なりますが、上記により算出した課税所得に対し一定の率で税金が課せられます。

今回は住民税のお話のため住民税の税率はこの課税所得に対して10%が課せられます。この住民税には都道府県民税、市町村民税が含まれているので、お住いの都道府県、市町村に対して支払う税金となります。ここが所得税と違うところとなります。

所得税と違うところ

なんといっても徴収主体が違います。所得税は国、住民税は地方公共団体です。
同じ所得に対して課せられていることから同じものに2つの税金がかけられる【2重課税】の問題は徴収主体が違うことから該当しないことになります。一緒にしてほしいと思うこともありますが、日本は地方分権が進められており憲法により規定されている統治機構となりますので、これを一元化することは現行憲法においては難しいです。

さてここで注目してほしいのは所得税よりも住民税のほうが税額が大きい人が多いということです。ここが所得税との2つ目の違いになります。

これはどういうことかというと所得税の税率は基本的に累進課税制度がとられている一方住民税は所得にかかわらず一定の税率(10%)となります。

所得税率

所得税は細かく段階が踏まれていてなぜか20%から23%と刻んでいるのがわかるかと思います。またここで課税される所得金額とは【所得】から社会保険料控除や生命保険料控除といった各種控除を加味したのちの金額となることから20%となるにはかなりの給与収入が必要となります。
金額的には概算で年収650万円となります。若年層ではかなり難しい水準ではないでしょうか。なので所得税の増税や減税の話よりも個人住民税の話のほうが我々の生活に影響しているのかもしれません。

次に細かい違いとなりますが、所得控除の内容が一部違います。

所得控除とは上記で記載したとおり【課税所得】を計算する際の【所得】からの控除項目となります。

例えば生活に最低限必要とされる金額(これを基礎控除とよびます。)は、

所得税  48万円   住民税  43万円

となり、物的控除といわれる生命保険料控除上限は、

所得税  12万円   住民税   7万円

となります。ここでお気づきの方もいるかと思いますが、住民税のほうが控除額が少ないです。つまり同じ所得であっても住民税のほうが【課税所得】が多くなります。この点をみても住民税のほうが所得税よりも税額が多くなる要因となります。

次に大きな違いが徴収時期の違いとなります。まず表を確認してみてください。

住民税徴収時期

これをみると住民税が忘れたころにやってくるのがよくわかると思います。新入社員が2年目に入ってから手取り額が減るなんてことをよく先輩から聞くことがありますが理由は表のとおり住民税は翌年に徴収されるためです。

これは個人事業主でも同様で制度を知らないばかりに儲かったときにお金をいっぱい使い、事業が苦しくなったときに儲かった時の住民税が徴収されることとなるので税金の支払いが難しくなって破産なんてケースもたまにあります。

また定年を迎える方も定年後の翌年は収入がないにも関わらず前年の所得から住民税を支払う必要があるため資金繰りは要注意となります。

ふるさと納税について

ふるさと納税についてはまた別の機会に記載する予定ですが、ふるさと納税も住民税に深いかかわりをもつ税金になります。
ふるさと納税とは名前から連想できるように寄付の形をとっている納税となります。ただし納税におまけがつくといった感覚ではないでしょうか。

このふるさと納税は所得税においては寄附金の所得控除となることから影響額はあまり多くありません。
例えば年収400万円の人が2万円のふるさと納税を行ったとすると、所得税の減税額はおよそ900円程度となります。

えっ??と思う方もいるかと思いますが、年収400万円だと所得税の税率は概ね5%となることからほとんど影響はありません。

では残りの17,100円はどうなるかというと住民税から控除されます。こちらは【税額控除】となります。
ちなみにワンストップ制度を利用すると上記の900円も住民税から控除されます。

ただし住民税も従業員であれば12分割されて徴収することになりますので、月に均すと1,425円となることから実感は得にくいかもしれません。

このようにみると受けている税制優遇が所得控除なのか税額控除なのかは大きな違いとなります。所得控除、税額控除も大きな話なのでこれもまた別の機会にまとめたいと思います。

まとめ

さて個人住民税についての概要をざっと説明しましたがなかなか難しかったと思います。

というのもどうしても税金というと国税を思い浮かべる人が多く、解説も国税についてされていることが非常に多く意識されることが少ないためです。
ただし数字をみてきたとおり実は個人の住民税については所得税と同じかそれ以上に大きな額となりますのでしっかりと確認することは非常に大事となります。

特に昨今ではふるさと納税により住民税に対する影響が大きいものが出てきていますし、自動車税や固定資産税など個人が身近に支払っている税金は地方税であることが多々あります。

また有権者や納税者として国税だけでなく地方税についてもきちんと確認して日本国としての税のあり方を検討していくことも非常に重要なことではないかと思います。

また今回の定額減税は個人住民税に関しても影響がありますので、その点については定額減税の記事をご確認ください。





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