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地力の高い畑とは?

こんにちは。管理栄養士のTany.(タニィ)です。

今回は「土壌と地力」について書いていきたいと思います。

土と土壌の違い

「土」は一般的な呼び名で、農業に関することでは「土壌」が使われます。
「壌」は「やわらかな土」「肥えた土」「醸す:ゆっくりと育てる」という意味があり、
有機質肥料が土の中で微生物によってゆっくり分解された、ふわふわやわらかい土のことを指します。

土壌のでき方は下記の通りです。
①地表の岩石が風化によって崩壊し、その破片(砂)が積もる
②破片が雨水等で河川に流れだし、下流域に積もる。もしくは火山噴火の時に出た火山灰が積もる。
③砂や火山灰から水に溶けだした無機物が反応して「粘土鉱物」が作られる。
この層に苔の仲間や微生物が住みつき、植物の遺体分解をして作られた「腐殖」(黒い有機物)として積もる。
①~③が反応しあって「団粒構造」(後で説明します)が形成され、土壌となる。

また土壌の状態は地域や時期によって大きく違います。
具体的なイメージは図1の通りです。

図1 土壌群の生成と堆積の概要

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自宅周辺の土壌が何かを確認する

では現時点で野菜を育てている場所はどのタイプの土なのだろうか?ということを考えていきます。
国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構のHPにある土壌分類等をみると、各地の土壌がどの分類にあたるのかをざっくり確認することができます。やはり東名阪の都市部等は埋め立て等でどのような土なのかが不明となっています。この記事を読んでくださっている方も自宅周辺がどんな土地なのか調べてみると意外な発見があるかもしれません。

https://soil-inventory.dc.affrc.go.jp/explain.html
国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構/土壌分類

私の住まい周辺は沖積地なのですが、貸農園のある場所は昔水田だったので長らく植物を育んできた土壌ですが、雨が降ったらドロドロになってぬかるみ、晴れの日が続くとカピカピに乾燥するところです。
いわゆる粘土質の畑です。里芋栽培には適していますが、少し土壌改良して他の野菜類も良く育つようにしたい、と考えています。
ちなみに日本は降水量が多くて養分が流出しやすいため、もともと養分量が少ない場所が多いようです。

地力が高い(肥沃な土壌)とは何なのか

家庭菜園を始めて疑問に思ったことの一つは、地力の高い(低い)圃場であれば・・・という話がよく出てくるけれども、どういう状態のことを指しているのかわからない。ということです。
そこで調べてみました。
地力の度合いに関係のあるものを挙げると、①物理性②科学性③生物性 でした。

図2 生産力を高める土づくりに向けた3つのポイント

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①物理性
土の硬さ、排水性、通気性等、物質の流れに関係する要素が挙げられます。
土壌団粒と呼ばれる、土の粒と粒の間に水や空気を通すための隙間が程よくできているとよい土壌と言えます。
そのためには細菌や土壌微生物の力をかりる必要があります。(図3)

図3 土壌団粒のでき方

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②化学性
酸性アルカリ性の度合い、塩基物質のバランス等が挙げられます。
pH(酸性度)は高すぎても低すぎても養分が植物に取り入れられにくくなります。
塩基物質のバランスも同様です。

③生物性
土壌微生物や小動物を通じた物質循環等が挙げられます。
土中生物が多様性に富んでいるとよいとされます。

まとめると、地力の高い畑にするためには土壌微生物が多種類生息できる環境づくりをして土壌団粒作りに励み、pH(酸性度)と塩基バランスを整えていくことが大事だということです。

次回は土壌の化学性について、私が野菜を作っている畑で調べた内容をもとに検証していきたいと思います。

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≪参考文献≫
一般財団法人 日本土壌協会・監修 「図解でよくわかる 土・肥料のきほん」、2014
加藤 哲郎 著 土壌と肥料の基礎知識、2012

≪参考資料≫
https://soil-inventory.dc.affrc.go.jp/explain.html
国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構/土壌分類

https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/attach/pdf/tuchi_kanren-1.pdf
農林水産省/農地土壌をめぐる事情

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