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013. 糖質制限ダイエットの歴史と科学的根拠

糖質制限ダイエットの歴史

 糖質制限ダイエットと言えば、“最近はやっている”と思われがちですが、実は約200年前にはこれを主張する人がいたようで、歴史はとても古いようです。

 1800年代からすでに「肉のような栄養価の高い食べ物は、ヒトを太らせることはない」、「ヒトを太らせるのは、小麦粉のような生成された炭水化物、特に砂糖である」というような事が言われていたようです。

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 また、1972年にアメリカの心臓病専門医師であるロバート・アトキンス先生が「アトキンス博士の低炭水化物ダイエット」と言う本を出版し、アメリカで、そして世界で注目されました。アトキンス博士のダイエットが流行りすぎて、アメリカで米やパスタ、ドーナツの売り上げが下がった、と言うくらいに影響力があったようです。

 歴史が長く、色々な人が独自のやり方を提唱してきたため、糖質制限のやり方も様々です。

 例えばアトキンス先生の推奨する低炭水化物ダイエットでは徹底的に炭水化物を減らすことを推奨しています。
 アトキンス先生の推奨では、最初の2週間は「炭水化物の摂取量を1日20g以下に抑える」と言うことですが前回のコンビニの例では、おにぎりなら半分食べただけで20gになってしまいますし、糖質の少ない食事として紹介させてもらった、豚角煮とサラダを食べただけで20gになってしまうのですから。普通の生活をしていたらこれは不可能なレベルだと思います。

 また、2週間以降は徐々に炭水化物を増やして、糖質制限を緩めていくことを許容していますが、それでも砂糖を含め、精製された炭水化物の摂取を全面的に禁止して、とても厳格な糖質制限ダイエットです。

 通常の我々の食事では、1日のエネルギーの60%近くを糖質から摂取しているのに対して、20gということは10%未満程度にまで抑えることになります。その他の方法では糖質は40%未満、50%未満など様々な基準があり、正確に糖質制限ダイエットではここまで減らさなければならないというような定義はありません。

糖質制限ダイエットの科学的根拠

 糖質制限ダイエットの歴史は長く、糖質制限ダイエットの体重減少効果や病気の発症を防ぐかどうかを検討した科学的なデータはここ20年間近くの間で多数蓄積されています。これらのデータは短期的なデータ(6か月や1年まで)と、長期的なデータ(10-20年単位)に分けられます。

 短期的なデータ(1年未満)では主に体重が減ったかどうかが注目されているのですが、結論から言うと、しっかり炭水化物を制限する食事を継続していれば、体重が減少することは間違いないです。また、糖質制限以外のダイエット(カロリー制限ダイエットや地中海食ダイエットなど)でもしっかり継続できればちゃんと体重減少することが示されていて、糖質制限ダイエット以外のものを否定するものではありません。

 次に長期的なデータ(10-20年)についてですが、糖質制限ダイエットを続けていた人の方が心臓病の罹患率や死亡率について減少した、というデータもあれば、いやむしろ増加した、というデータも出ていて、一貫性のある結論が得られていません。

 そもそも、短い期間であれば、個人の食事内容や体重変化を管理するのは可能かもしれませんが、10年や20年間もの長い期間、個人の細かい食事内容や体重変化を追跡することはできません。さらに、10年や20年単位となると食事以外の生活背景など様々な影響を受けることとになり、厳密に糖質制限ダイエットがよかったかどうかを示すことは困難であり、長期データの研究結果はあまり信頼ができません。

 ただし、アトキンス先生が考案したような、あまりに厳格な糖質制限ダイエットを長期的に続けていくことは推奨されていません。

 それでも、太ったまま生活していくのも健康的ではありませんので、これまで集積されてきたさまざまなデータをまとめた現時点での結論は、「厳格過ぎない糖質制限ダイエットをどのように継続していくか???」「糖質を減らした分を何で補ったか???」を考えていかなければなりません。

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糖質制限ダイエットの研究データを踏まえて、どうしていくのがいいか?

 まず「厳格過ぎない糖質制限ダイエットを継続していく」ために、私がお伝えしている糖質制限ダイエットの方法では、“やせ期(短期的に痩せることを目的とした期間)”と、“維持期(長期的に健康的になることを見越した期間)”の2つの段階に分けています。
 つまり6か月から1年を目標にしっかり痩せる期間、そしてしっかり減らした体重を維持して、10年、20年後を見据えて健康的な生活を送っていく期間に分けています。

「糖質制限をして痩せた、もうおしまいで元の生活に戻ろう!(➡リバウンドします)」でもなく、
「糖質制限のおかげで痩せられたから、このまま頑張って続けていこう!(➡頑張りすぎると健康を害する可能性があります)」でもないです。

「糖質制限をして痩せた、これからは2段階目の体重を維持して健康的に生きていく生活をしていこう!」というような形です。

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