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医師がコロナに感染し、自宅療養中に3カ月の乳児を含め家族全員が感染することになった話 ―発症―

 世間ではいわゆる第7波も落ち着きを見せ始め、WHOからも新型コロナウイルスの流行「収束の兆し」が見え始めたとニュースが流れていますが、我が家でコロナ感染が大流行することになりました。
 今後新たにコロナに感染し、症状が出てお困りの方のために、自宅療養中に3カ月の乳児を含め、我が家がどのようになっていったかの経験を共有させてもらいます。

 私の家族構成ですが、① 父(自分) 40代 内科勤務医、② 妻 30代専業主婦、③ 長女 小学生高学年、④ 次女 小学生低学年、⑤ 長男 幼稚園児、⑥ 三女 3カ月 乳児、の6人暮らし、2階建ての一戸建ての住まいです。全員基礎疾患はなく、自分自身は4回のワクチン済、妻も3回のワクチン済でした。

 以前はコロナの流行地である都会にいましたが、今は比較的小さな町で勤務医をしています。これまで病院内で小さなクラスターに何度か巻き込まれたり、また遊びに来ていた親戚が後からコロナの陽性診断を受けて、家族一同が濃厚接触者扱いとなったことはあったものの、家族内のだれ一人としてコロナ感染の診断は受けたことはありませんでした。

 今回、自分自身が最初に発症しましたが、感染者との接触は全く身に覚えがなく、前の週末はWebの学会に出るためほとんど自宅で過ごしており、また月曜日から水曜日までは通常通り外来や入院診療を行っていました。新型コロナ感染下での診療が始まって、すでに2年半以上経過しており、外来や入院での診察の仕方も決まったやり方が出来上がっていて、特にこの週にそれらしい患者さんの診察をしたとか、特定の患者さんを長時間診察したとか言ったこともありませんでした。
 
 水曜日(診断前日)、午前中にいつも通り外来患者さんの診察をして、夕頃急に、なんとなく空咳が出るかなぁと自覚したのが症状の始まりでした。その日はいつも通り夕食を家族と共にすませ、のどの違和感はあったものの、いつも通り過ごして就寝しました。
 
 木曜日(診断日)、午前中、多少の倦怠感はあるものの、概ね体調は通常通り。午前中の外来診療を済ませ、昼食をとったあたりから倦怠感と熱感が出現していました。しかし、午後も外来診療が続いていたので、引き続き外来診療を続けていました。
 夕頃、看護師さんが「先生もう一人診てもらえますか?」と私がいる診察室に入ってきて、私の顔を見て、「あら先生、しんどそうですね。念のためコロナ調べておきますか?熱も測りましょう。」と言われて、初めて体温を測ったところ、“37.9℃”。すぐに結果の出る抗原検査を行ったところ、「先生、抗原陰性でした!念のためPCRもしておきますか?」と聞かれました。症状自体は、前日の午後からなのでほとんど24時間経過した後での抗原検査が陰性だったので、ひとまずは安心した自分は「やはり、ただの風邪をひいただけか」と考えましたが、職業上多くの患者さんと接するほか、小さな子供と暮らしているために、完全にコロナ感染を否定するために、その場で追加のPCRを受けました。結果が出るまでに1時間以上かかるとのことだったので、ひとまず早退したのですが、帰宅後、「先生、PCR陽性でした」と電話連絡を受けました。

 抗原陰性だったにも関わらず、完全否定のため行ったPCRは陽性でコロナの診断を受けました。

 この連絡を受け、慌てて職場と家族に連絡。勤務先の病院からは10日間自宅で療養する必要があること、またその間の勤務の代理を自分で探すよう連絡を受けました。LINEや電話を使って、連絡をとりましたが、コロナ感染の診断を受けたショックのためか、この頃にはPCRを受けた時以上に熱が上がっていたためか、連絡を取り合うのはかなりしんどかったです。また、子供たちは翌週半ばまで学校や幼稚園を休まなければならないことに申し訳ない気持ちでいっぱいでした。

 自分の体調のことはさておき、自宅の中には妻と4人の子供がいて、一番幼い子供が3カ月の乳児、ということもあり、自宅療養中にどうすれば家族内に感染が広がらず、過ごしていけるか不安でした。しかし、前日まではいつも通り家族と接していたこともあり、いまさら自分や残りの家族がホテルや親元など、別の場所で過ごすことに意味があるかわからず、ひとまず自分が2階の個室にこもり、可能な限りほかの家族との接触を避ける、ということで過ごしていくこととしました。

(続く)

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