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002. そもそも私がダイエットについて考え始めた理由

 私が医師になって驚いたことは、肥満が原因で苦しんでいる人が思いのほか多かったことです。

 循環器内科の医師となったばかりの頃、動脈硬化から狭心症(心臓に栄養を送る冠動脈が狭くなることによって、動くと胸が痛くなる病気)の患者さんと以下のような会話をしていました。
 
狭心症の患者さん:「先生、なんで私は高血圧になったり、コレステロールが上がったり、糖尿病になって、狭心症にまでなってしまったのですか?」
若いころの私:「病気になる前に、タバコを吸ったり、甘いものを食べたり、暴飲暴食をしたり…が一般的な理由と言われています。」
狭心症の患者さん:「私はタバコを吸わないし、甘いものも食べないし、お酒も飲まない。普通の生活しかしてこなかったですけどねぇ。」
若いころの私: 「・・・(たしかに、日本に住んで真面目に生活している人まで、これだけ動脈硬化の病気になるっていうのは、なんでなんだろうか???)」

 私が専門としている狭心症は、動脈硬化症によって、心臓自体に血液を送る血管が狭くなることが原因の疾患です。この血管(冠動脈)が詰まってしまうと急性心筋梗塞という疾患になり、突然死の原因となりうる他、命が助かっても慢性心不全という状態で生活をしていかなければならない可能性のある病気です。

 実は、動脈硬化症については、日本においても悪性腫瘍(主に癌のこと)に次いで死亡の原因となる病気です。この動脈硬化症は心臓だけでなく、脳や腸、腎臓、足など全身の動脈で起こりうる疾患です。

 動脈硬化症の原因には、加齢のほか、生活習慣病(高血圧症・糖尿病・脂質異常症)があり、この生活習慣病の原因となる肥満が大きく関わっています。

 つまり、肥満にさえならなければ、高血圧・糖尿病・脂質異常症を防ぐことができ、その結果、動脈硬化症を抑えることができ、心筋梗塞や脳梗塞といった、癌に次いで日本人の死因となる病気を予防することができるのです。

 上記の患者さんもまた、太ってしまうことを悩んでいました。

『日本人が普通の食事をしているだけなのに、これだけダイエットを必要とする人がいるのはなぜなんだ…?』

 私自身も医学部を卒業して10㎏増え、「このままでは自分が治療を受ける側になってしまうのでは」と思い、本気でダイエット方法を勉強し始めたのが、自分なりのダイエット方法を確立するきっかけでした。

 私が専門としている動脈硬化だけでなく、癌の一部にも肥満が影響していると言われていますし、2021年現在世界中の人々を苦しめている新型コロナウィルス感染症の重症化リスクにも肥満が含まれています。

 これを読んでくださった一人でも多くの読者の方が、私が診ている患者さんや友人のようにダイエットに成功して、動脈硬化を含めた病気の予防や、新型コロナウィルスの重症化を恐れる必要がなくなれば、医師としてこれほどうれしいことはありません。

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